車載ワイヤレステレビチューナー PIX-BD100 をレビューします。
この製品は、クルマの中に設置して iPhone や iPad で地デジテレビ放送を受信できるようにするものです。
Wi-Fi のアクセスポイントとして動作するようになっていて、内蔵のフルセグ/ワンセグの TV チューナーで受信した映像と音声のデータを Wi-Fi 経由で iOS 機器に再送信します。
iOS 機器側には専用の受信アプリをインストールしておき、アプリで映像と音声をデコード。チューナーのチャンネルを変えるなどの操作もすべてアプリから行います。
本体とアンテナを車内にベルクロテープで留めるだけの簡単設置
製品構成
さっそく開梱して、クルマに設置してみました。
製品構成は、
・本体
・専用アンテナ
・シガーライター電源コード
という3点だけ。
本体とアンテナをベルクロ付きテープでクルマに固定して、アンテナ線と電源コードを本体につなぐだけで使えます。
アンテナは移動中でも安定して電波が受信できる2本がセットになったダイバシティアンテナですが、今回はさらにオプションでアンテナをもう1セット追加して、2セット4本のダイバシティアンテナを設置します。
設置
車両
設置する車輌はプジョー 307CC です。電動式の屋根が開閉して、クーペとカブリオレに切り替えることができますが、それがあだになって、設置にいろいろと制約がありました。
メーカーでは本体をリアトレイかシートの背中に、アンテナをリアウィンドウに、それぞれ固定することを推奨しています。
ただし、可動部分には設置できません。これがやっかい。
本体
まず本体です。
リアトレイはけっこう広々としているように見えるのですが、実は屋根を開閉するときにいろんな部分が激しく動きます。
どんなときにも動かないのはリアトレイ中央の部分だけだということがわかりました。ここ以外に選択の余地はありません。
仮留めをしてから屋根を開閉して、可動部分が干渉しないことを確認します。
アンテナ
次にアンテナ。
固定リアウィンドウはありません。開閉しますので、ウィンドウガラスへの固定はできません。
最初はここに取り付けてみました。
しかし、アンテナが鉄製のボディに隠れるため、電波の受信状況があまりよくありません。その上、
屋根を閉めたときにアンテナがCピラーに完全に隠れてしまいます。
ロッドアンテナが前に傾く向きにするとぐっと良くなるけれど、ワイヤーアンテナがドアに隠れているからまだ弱い。
乗っている人の邪魔にならず、ガラス越しに外が見える場所となると、ほぼここ以外に選択肢はありません。
右側はこんな感じ。
アンテナ線接続
アンテナを固定したら、アンテナ線を本体に接続します。
アンテナからの線を本体に差し込むとき、アンテナが1セットの時と2セットの時で差し込む場所が違うので注意が必要です。マニュアルにも丁寧に書かれていますが、1セット(2本)のときは4つあるジャックを一つおきに使います。
2セット(4本)の時は、一つおきの互い違いではなく、各セットの2本を隣同士にしてつなぎます。
本体とアンテナを固定したら、アンテナのケーブルをシートとボディの隙間に突っ込んで本体まで引き回します。
電源も同様にシートの脇からフロアマットの下を通して、シガーライターソケットまで伸ばします。今回は、ダッシュボードの裏に増設してあるシガーライターソケットにつなぎ込んで、表からは電源コードが見えないように処理しました。
以上で設置は完了です。
設置後の様子を後ろから見たところです。本体はそれほど大きくないので、どうにか違和感なく収まっています。
アプリ
インストール
設置できたら、iPhone/iPad に専用アプリをインストールします。
アプリは、App Store で「クルマTV」と検索してインストールするだけ。
iPhone/iPad の Wi-Fi 設定で、PIX-BD100 から出ている Wi-Fi 電波を掴んで、本体シールに貼ってあるパスワードを入力すれば準備完了です。
アプリを起動すると、チューナー本体側で自動的に放送局の電波をスキャンして、テレビの受像が始まります。
座席の手元で安定して綺麗な画像のテレビが観られる
フロントシートで
設置がすんだので、早速使ってみました。
Yahoo! カーナビがリリースされたのに合わせて、10年近く使ったクルマに備え付けのカーナビを取り外して iPhone をカーナビがわりに使っています。
カーナビを外して空いた 1 DIN のスペースにインダッシュトレイを戻し、トレイに固定したホルダーで iPhone を固定しています。
インダッシュトレイに固定した iPhone 5s でカーナビ+テレビ
この iPhone に「クルマTV」アプリをインストールして、Wi-Fi を PIX-BD100 に接続、アプリを起動ました。
難なく、地デジ放送が受信できました。フルセグでキレイです。
アナログ地上波のTVチューナーとは雲泥の差
外したカーナビに付いていたTVチューナーはアナログ波用だったので、もう使えなかったのですが、アナログとフルセグの地デジでは解像度に雲泥の差があります。実にシャープです。
また、画質についても、アナログは移動中に電波の受信状況がめまぐるしく変わって、ノイズが入ったり同期が外れたりしていたのですが、地デジは受信状況が時々悪くなっても画像は安定しているし、データが欠落しても映像が一時的にポーズしたように見えるだけでストレスが少ないですね。
リアシートで
後部座席の同乗者も iPhone にアプリをインストールするだけで手元で好きなテレビ番組が観られるというのは、革命的。
長時間のドライブでもいい暇つぶしになりますし、ドライブ中に観たい番組があると駄々をこねられることがなくなります。
ダイバーシティアンテナの威力
設置の時にご説明したとおり、今回のモニターではオプションのアンテナを追加して4本のダイバーシティ構成ですが、標準状態の2本の場合と比べて走りながら受信してみました。
厳密に同じ場所を繰り返し走って比較したわけではないのですが、都内の電界が強いところでは2本でも十分実用になるように感じました。
受信が不安定になるのは、ビルが林立しているところの谷間やトンネルなどの極端な場所で、これはアンテナ4本でも不安定になりますので、おあいこです。
郊外や地方に行くと、はっきり差が見えてきます。中軽井沢周辺では、フルセグではなくワンセグに切り替わるぐらいの電波の強さでしたが、2本では走る向きによっては全然受信できなくなってしまったりするのですが、4本にするとドロップアウトに気が付かないぐらいに安定して受信できた、というようなことがありました。
クルマの中でテレビを観るシーンの自由度が上がる
これは「使える」
以上、クルマの中で iPhone や iPad をワイヤレステレビにするチューナー、PIX-BD100 をレビューしてみました。
今まで、クルマの中のテレビはインダッシュのカーナビに固定されていて、しかも受信状態が不安定になることが多く、設置してはいたものの、ほとんど観ることがありませんでした。
しかし、この製品を使うと、同乗者が手元で好きなようにコントロールでき、安定した状態でテレビを観ることができるので、クルマの中でのテレビ視聴の自由度がグッと上がることを実感しました。
一般の車載テレビと同程度の実売価格で、手元で自由に観られるテレビが手に入ると考えると、対応している iPhone や iPad をお持ちの方には文句なくオススメできます。
複数のクルマで使い回すときは、アンテナと電源コードだけ追加
レビュアーに選出していただく前は、本体を別のクルマにも持ち運んで、どのクルマでもテレビが観られるという環境を作れるのではないかと期待していたのですが、アンテナを半固定的に設置しておく必要があるため、本体の使い回しは難しそうなことが分かりました。
しかし、オプションの別売アンテナは買えますから、電源コードをなんとかすれば、クルマ毎にアンテナと電源だけ設置しておいて、本体設置場所にベルクロテープを貼っておけば、使い回しも絶対に無理というわけではなさそうです。
いろんな設置場所が選べそう
メーカーでは、本体をクルマのリアトレイの上か、シートの後ろに固定することを推奨しています。
しかし、電源コードとアンテナ比較的長さに余裕があるので、本体をトランクルームに押し込んでしまって、そこまでコードを引き回すのもよさそうです。今後、試してみたいと思っています。
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