今回、ネットワーク機器で定評のあるネットギア社製のホームセキュリティカメラArlo Pro がZIGSOW PREMIUM REVIEWに公募されたのを知り、早速応募しました。
仕事柄、集合住宅向けの業務用防犯カメラを扱っていますが、家庭用のセキュリティカメラは自身ではあまり触ったことが無く、ましてVMS4230は屋外設置も可能ということでどのように防水性能を保つのかも大変興味ありました。
最近、巷で良く見かける天井などに取り付けるドーム型の防犯カメラです。
業務上の経験も生かして皆さんにとって参考になるレビューを書きたいと思います。
家庭用セキュリティカメラとして十分な内容
まず、Arlo Pro (VMS4230)のセット構成ですが
・ベースステーション・電源アダプター(ベースステーション用)・LANケーブル
・Arlo Pro カメラ×2・充電式バッテリー×2・USB電源アダプター(カメラ用)・USBケーブル
・壁掛け用マウントキット・壁掛け用ネジ
となっています。カメラ2台と(将来的にいろいろなIoT機器が繋がるであろう)ホームゲートウェイとなるベースステーションがセットになっており、価格的には5万円弱と個人向け製品としては高価ですがホームカメラシステムに必要な内容がすべて揃っているので初めての人でも簡単に取付ができます。
マルチな使い方が出来るホームカメラ
仕事で、業務用の防犯カメラ製品を多数取り扱ってるので防水タイプとは言え、家庭向けの製品が屋外で実際に使えるのか大変興味がありました。
Arlo Proの防塵防水機能はIP65となっており、防犯カメラ業界ではIP:Ingress Protection(侵入に対する保護)規格を表示することで防塵防水性能を表示しています。
数字2桁で性能を規定していて最初の数字が「防塵」後の数字が「防水」です。現在の殆どの防犯カメラはIP6xとなっており、防塵に関しては「完全な防塵構造」となっています。
以下に例を示します。
IP65の防水
・いかなる方向からの水の直接噴流によっても有害な影響をうけない
→台風や昨今のゲリラ豪雨の直撃などの激しい雨の場合には浸水の恐れがある為、一般に「防滴型カメラ」として表示しています。
IP66の防水
・いかなる方向からの水の強い直接噴流によっても有害な影響をうけない
→台風などの激しい雨でも浸水の恐れがない防水性能の為、一般に「防雨型カメラ」と表示されますが、屋外で使用する際は雨のかかりが少ない軒下などを推奨しています。
IP67の防水
・規定の圧力、時間で水中に浸漬しても有害な影響をうけない
→一定時間、水中に浸漬しても浸水の恐れない防水性の為、「完全防水カメラ」と表示しています。最近の屋外防犯カメラはIP67が主流になっています。
ただし、IP67すら浸水させることがあるのが昨今のゲリラ豪雨ですが・・
上記は、プロ用の安全なマージンを見込んだ設置環境の話しなので、家庭用の機器で、そこまでは求めないもののVMS4230はIP65ですので、屋外に設置する場合は雨がかりの少ない軒下に設置するか別途ハウジングに入れる方が無難かも知れません。(この辺りは屋外設置で継続レポートとします)
取付後、長雨が続いていますが全く問題なく動作しています。下記の画像の通り、本体の防水性はゴムを使ったパッキンを使用し密閉性を向上しています。
カメラ性能
カメラ自体の性能は高く、暗いところでもかなり明るく映ります。この辺りのイメージセンサーの性能の向上は目を見張るものがあります。
画質としてはHD品質(100万画素)ですが、電池で長期間駆動すること優先する場合はいたずらに高画質しない方が良いと思います。動画でも解説していますがデイ・ナイトの切り替わりもスムーズでナイトモード(赤外線照射による録画)も鮮明に撮れます。
録画品質は用途に合わせて変更可能
カメラ単体の性能として最大フレームレート 24 fps 最短撮影距離 60.96 cmとなっています。録画の解像度は、デバイスの設定-録画の設定で3段階に変えられます。
実質的に使えるのは高品質録画(1280x720)と最適化(640x352(360))でしょう。高品質にすると電池の減りが早くなるようです。デフォルト設定は最適化(640x360)です。(マニュアルにはデフォルト720Pと書かれていますが間違いだと思います)。フレームレートに関しては電波の受信状況により変わるようですが13~24fspでは録画されるようです。
驚異の電池持続時間を実現するのは動作検知センサーか?
ネットギアのホームページでの説明では「Arloカメラの電池は通常の使用で約4~6ヶ月の寿命になります。 通常の使用とは、最適化の画質設定で1日に約4分間の録画または映像の表示をした場合です。」とあり電池駆動だけで非常に長い期間設置が可能になります。また、仕様の中の動作検知方式が「モーション」では無く「温度変化、音声」となっています。これは動体の検知をカメラのイメージセンサーを駆動するモーションセンサーでは無く別途、人感センサーと呼ばれる赤外線センサー(熱検知)を搭載し、通常はイメージセンサの電源を切って、待機電力を大幅にカットすることで省電力化してる事になります。
人感センサーによる録画の開始は省電力化に繋がるものの、イメージセンサーの立ち上がりに時間がかかるため若干のタイムラグが生じます。また、感知距離が短い欠点がありますが、モーション駆動の有効範囲は7mとなっていますので十分かと思います。ただ、ペットなどの小動物では反応しないことも考えられるので、この辺りも動画の中で確認していきます。
小さなものでも画面を横切る動きには良く反応しています。また、夜間モードも赤外線反応から録画開始までの立ち上がりも速く、防犯カメラとしての機能も十分果たしていました。
屋内も屋外も、見守りから防犯まで幅広く使えるホームカメラと言えます。
ペットの見守り、駐車場の防犯に最適
ベースステーションは白を基調とした台形の、オシャレなデザインを採用しています。カメラの形状とも合わせているため室内に設置しても違和感がありません。
カメラは配線が一切不要な設置方法
開封から親切な梱包!
余談ですがパッケージを見たとき”どこから開けるの?”と思いましたが、ちゃんと開封方法が書かれています。いろいろなハード製品や機器のパッケージを見ていますが、このように親切な表記は初めてです。
マニュアルも分かりやすく、機械が苦手な女性でも簡単に設定と設置が行え、10分ほどで使用出来ます。
利用環境にもよりますが、ベースステーションはデザインもオシャレでリビングに置いても全く違和感がありません。自宅のリビングは白を基調としてコーディネートしたのでホワイトベースのデザインもベストマッチです。惜しいのはベースステーションの電源アダプターが黒なのでコード類を、見栄えを優先する場合隠蔽する必要があること。
以下からは動画で、Arlo Pro (VMS4230)の設定から設置までをレビューします。
(長くなるのでレビュー動画は分割してアップしました)
前半の設定部分で特に難しい部分はありませんが、ベースステーションのインターネット接続には「有線LAN」が必須となります。インターネット接続にWIFI環境しか無い場合は別途、WNCE4004などイーサコンバータが必要です。
一般的な防犯カメラは必ず配線(信号と電源)が必要ですが、Arlo Proのカメラはバッテリー駆動、無線通信のため電源を含め配線が一切不要です。下記動画のプレビューにもあるように手持ちでの動作も可能です。セキュリティカメラとしては画期的な仕様です。
今回は屋外が”自宅の庭から駐車場”を撮り、屋内は”リビング内やペットケージ”を撮ってみました。
後半のアカウント設定やカメラ同期も難しくありません。購入のタイミングによってはカメラのファームウェアアップデートが行われるかも知れません。カメラのアップデートは1台ずつ行ってください。取付・設置に関しては別途、取付金具や部材が必要になる場合もあります。
ArloのPC用Webサイトもモバイルアプリも動作や使い勝手に大きな差はありません。
スマホアプリはアプリを立ち上げてすぐにカメラの過去のスナップショットが表示され、タップすることでライブ映像に変わるのは使い勝手の良いアプリだと思います。
主にペットの見守りで使っていますが、防犯目的の室内外の監視などにも使えます。
安心感が全然違う!
今回のレビューアーに選出され、一番に思ったのは「良かった!これで安心!」という気持ちでした。
何故なら、たまたま愛犬(プロフィール写真)の具合が悪くなり、咳が沢山出ていたので留守中の様子がとても心配だったのですが、カメラをケージの間近にセットし動体検知と音声検知をONにしてアプリからの通知をONにしておきました。
これで、ゲージの中でもそもそ動く様子や、咳をする様子がアプリの「音声検知」通知でライブラリから録画を確認する事が出来ました。ライブラリには検知内容と録画日時がサムネイル表されるので、日に日に咳(音声検知)による録画が少なくなり、薬が効いて改善していく様子もよく分かりました。ペット(特に犬)は飼い主のそばでは元気にに振る舞うので、病気の時に一人でお留守番している様子を観察することはとても重要です。
また、ライブ映像を見ることでもペットの様子が伺えとても安心できます。(大体寝ていますが・・)
最近は、短時間の外出時は犬をサークルに入れず、リビングに放し飼い状態にしています。(レビューサンプル動画)基本的に人が居なければ広い場所でも寝ていますが、多頭飼いなのでたまにじゃれ合ったりします。
興味がある音がすると興奮してる様子が分かります。スピーカーから声をかけることも出来ますが、飼い主の声だと理解できずに吠えまくります(笑)
IoT機器との組み合わせで高度な防犯が可能なホームセキュリティーカメラになる
ペットの見守りや駐車場の防犯以外も女性の一人暮らしに安心な機能として留守の時に自動で警戒モード(動作検知をすると録画するモード)に切り替わる「ジオフェンス機能」があります。
これは、スマートフォンのGPS機能を利用して、Arloアプリを入れたスマホを持って自宅を離れたら、自動的に警戒モードになり、家に戻ると自動的に警戒が解除(待機モードに移行)されるという機能です。出かけるたびに警戒モードに変更したり帰宅後に待機モードする必要が無く、常に留守宅が見張れます。
また、最近は外出から赤外線を使って照明やエアコンのオン・オフが出来る家電リモコン機器がでています。(ネットギアさんからはでないのかな?)
照明がリモコン対応なら、夜遅い時間の帰宅前に室内を明るくして置くことで、真っ暗な部屋に帰る不安も無くなりますし、実際の帰宅時間をストーカーなどに悟られることもありません。また、音声機能などで会話を流せば、在宅の演出効果も上がります。これらを「居るフリ防犯」と言います。室内の照明が点いているかはArlo ProのLive映像で確認出来ますのでさらに安心です。
実際の侵入犯に対してはベースステーションから、大音量サイレン(100 デシベル以上)を鳴らすことができます。
また、業務用の監視カメラのような設定も出来ます。例えばあるカメラに動作検知が合ったとき、その先に設置した別のカメラで30秒間の録画を撮る、などということも可能です。
この機能を使えば、集合住宅のゴミ置き場や、駐輪(車)場などの進入路で動きを感知し、現場を一定時間録画したり、カメラの台数を増やして対象(人物や車両)動向をトレースすることで特定も出来ます。アパートのオーナーさんや管理会社からは「防犯カメラを増設したいが配線工事が大変で」という声を良く聞きますが、Arlo Proなら配線不要で手軽に取り付けが可能です。(充電の手間はありますが)また、防犯カメラの効果(取付場所や画角など)をお試しで確認するため一時的に取り付けるなどの利用法も考えられます。
いろいろな機能が標準で使え、IoT機器との組み合わせでは、かなり高度なホームセキュリティーができます。これらの機能が標準で使えるArlo Proのようなホームカメラが出てくると私たち防犯カメラ業界でにとって、脅威かも知れません(苦笑)
等々、良い点もありますが改善要望もあります。
まず、ベースステーションにはUSBストレージを接続でき自動で検知画像の録画が出来ますが、折角の保存画像がWebやArloアプリから確認出来ません。保存画像を確認するには一度、ベースステーションからUSBストレージを取り外し、PCなどに接続し直して閲覧する必要があります。手順が煩雑な上、タイムリーな閲覧が出来ないので折角の機能が使われない気がします。例えばベースステーションにUIを追加してベースステーションにログインしてUSBストレージの中身が見られると良いと思います。
また、業務的用途になりますが、カメラの電源が給電されている状態ではUSBストレージに常時録画を行い、イベント検索が行えると業務用のNVRに近くなると思います。(ホームカメラとしては不要な機能なのかも知れませんが)
スマートホームセキュリティの「見守り」という部分では、ルールの追加で「「動作検知」が一定期間無いときアラートメールをだす」と言う機能があると高齢者向けの見守りが出来ます。
要望を上げればキリがありませんが、将来的にはAlexaやGoogleアシスタントなどのスマートホームのプラットフォームにArloが繋がることが予想されます。(既にIFTTT(イフト)で連携してるようですので日本で使えるのも間近でしょう)他のIoTやWebサービスと連携する事で、ホームカメラの垣根を越え、多くの可能性、将来性がある製品と言えます。
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