PDAの進化のゆくえ
~時代を切り開いた栄光なき天才たち~

PDA三国志の時代へ突入


Palm Vx(zigsowユーザーのもちもの)

80年~90年代初頭、国内でも一部のユーザーの間でパソコン通信は行われていたが、ウインドウズ95のヒットをきっかけに、世界は本格的なインターネット時代を迎えることになる。PCの普及も広がり、ビジネスで学校で、プライベートで、多くの人がネットを介して情報を容易に発信・摂取することができるようになったのだ。PDA市場はこの当時、多くのメーカーから実に多彩なモデルが登場し活気に満ちていたがインターネットの普及により市場のニーズはPCやネットとの親和性を今まで以上に求める方向へと動いていた。

そんな中、96年に太平洋の向こう側で颯爽と登場したのがパーム社のPalm(パーム)だ。独自のオペレーションシステムPalm OSを搭載。カレンダーやToDo、電卓や辞書などのソフトを標準装備し、文字入力にはグラフティと呼ばれる独自のシステムを採用。タッチパネル上にスタイラスペンや指で一筆書きのアルファベットを書いて入力する。またHotSyncというユニークなシステムで、パソコンとのデータの同期や充電をすることができた。TCP/IPが標準搭載されたOS2.0以降は、モデムを接続することでインターネットへの接続も可能であった。


CLIE PEG-N700C(atsuo@tokyoさんのもちもの)

Pilot 5000(atsuo@tokyoさんのもちもの)

 

このPalmの特徴は2つある。1つは「Zen of Palm」といわれた無駄な機能を省きPDAの本分である実用的なUIを重視した点。そしてもう1つの特徴はOSを他社にライセンス供与し、またプログラミング環境を無償で提供したことだ。そのため、ソニーやIBMなど多くのメーカーから個性豊かなPalm機が誕生した。またネット上には多くのアプリが公開され、ユーザーは好きなアプリを組み込んでPalmをカスタマイズすることができた。アプリの数は優に数千を超えていた。こうして一時期、世界のPDA市場はPalm系で独占された。本家Palmの日本語版の上陸は2000年、モノクロモデルのPalm VxとカラーモデルのPalm Ⅲcの2機種が登場。通話機能こそなかったが、現在のiPhoneやAndoridの環境に実によく似ている。


パワーザウルス MI-506DC(はにゃさんのもちもの)

さて同じ頃、国内ではシャープのザウルスシリーズが独自の進化を遂げてPDA市場に君臨していた。ネット時代の到来に合わせ、96年に発売したのがカラーザウルスMI-10だ。シャープのお家芸である美しいカラー液晶は65536色の表示が可能。手書き文字の一括変換やボイスメモ機能などの他、デジタルカメラカードを接続することでカメラとしても利用できた。これ以降の機種は、すべてインターネットへの接続が可能になった。

また、96年にマイクロソフトがPDAやゲーム機用の組み込み型のOS、ウインドウズCEを発表するとCASIOやNECなど各社もウインドウズCE機を発表。こうしてPDA市場はPalm機、ザウルスシリーズ、ウインドウズCEマシンの三極化が進んでいく。液晶のカラー化、アプリのラインナップ、高速化…様々な面で各陣営は火花を散らしていった。


CASSIOPEIA for DoCoMo
(zigsowユーザーのもちもの)

モバイルギアⅡ MC/R430
(zigsowユーザーのもちもの)