時代をリードしてきたAppleの作品たち Vol.3
──スティーブ・ジョブズとその魔法──

初代「iPod」が発売されて以降、そのファミリーも続々と登場。2004年には小型でカラーバリエーションも豊富な「iPod mini」(「iPod nano」の発売以降、生産は中止)、2005年には重さ42gとさらに小型な「iPod nano」と、『人生は偶然だ』というキャッチフレーズと共にディスプレイを取っ払い、転送した曲をシャッフルして聴けるという遊び心溢れるプレイヤー「iPod shuffle」が誕生。さらに2005年には動画も再生できる第5世代(G5)の「iPod」や2007年にはタッチパネルで操作する「iPod touch」が加わる。SONYのウォークマンが10数年かけて1億台に到達したのに対し、「iPod」ファミリーは発売から5年半で1億台の大台を突破。現在、シリーズ累計の出荷台数は3億台を超えている。

爆発的なヒットを後押しした要因の1つに「iTunes Music Store(2006年から「iTunes Store」)」の立ち上げもある。アメリカでは2003年(日本では2005年)にスタート。1曲0.99$(日本では150円~200円)で好きな曲をネット上で購入・ダウンロードできるサービスだ。今ではオンライン上で楽曲を購入するのは珍しい事ではないが、当時、楽曲をネット上に不正にアップロードされていたレコード会社はこうしたサービスに対してアレルギー反応を持っていた。そんな中、各レコード会社の経営陣を説得するために奔走し、そこに風穴を開けたジョブズの功績は大きい。日本でもすでに音楽配信サービスは存在したが、こうしたアップルの動きが大きな刺激を与えた事は間違いない。これまでに「iTunes Store」でのダウンロードされた曲は100億曲以上にも上る。

彼の優れていた点は、誰もが考えつかなかったモノを世に送り出したことだけではない。あるべき未来のネットワーク像をイメージしながらインフラを整備し、それに見合った製品を生み出したところだろう。「iPod」シリーズはアップルの売り上げの大部分を占めるようになり、2007年には社名をそれまでの「アップル・コンピュータ」から「アップル」へと変更する。コンピュータ会社からテクノロジー企業へと生まれ変わったのだ。


Power Mac G4 Cube(vvvさんのもちもの)

しかしヒットばかりを飛ばしていたワケではなく、時には計算違いから苦汁をなめたこともある。2001年に発売した「PowerMac G4 Cube」がそうだ。ジョブズの美的センスを詰め込んだかのような、外部にボタンが無い約20cm四方の立方体のボディ。発売された当時はどこか未来のオブジェを思わせるフォルムに誰もが魅了されたが、拡張スロットが無い事からハイエンドユーザーからは支持されず、また一般向けとしてはすでに「iMac」が支持を集めていたため、思うように売れずに1年で販売終了となった。しかし、Mac信者の間では今も人気のある機種である。