近年関心が高まっているポータブルオーディオ市場に新たに名乗りを上げたAstell&Kernブランド。同ブランドの目指すところはズバリHi-Fiオーディオ...
Astell&Kern AK100は美しいヘアライン仕上げのアルミ素材をまとったHi-Fiオーディオクオリティを掲げる音楽再生専用プレーヤーです。Wolfson製の高性能DACチップ「WM8740」をはじめとする選び抜かれた高品位パーツを採用。S/N比110dB、クロストーク120dBという素晴らしい音響特性を実現しています。
最高192kHz/24bitのハイレゾ音源に対応し、WAVやFLACなどのファイル形式をサポート。152段階のダイヤルボリュームは、きめ細かな音量調整を可能とします。またポータブルプレーヤーには珍しい光入出力端子を装備し、様々な外部機器との連携をサポートします。
本体には32GBのNANDフラッシュ型ストレージを内蔵し、さらに最大32GBのmicroSDカードを2枚同時に挿せる「デュアル microSDHCカードスロット」を装備。レスポンスの良いタッチ式2.4型IPS液晶により本機のほとんどの操作が行えます。Bluetooth3.0に対応し、ワイヤレス機器との接続も可能です。
FitEarブランドの「須山歯研」監修によるスペシャルコラボモデル誕生
Astell&Kern AK100がオーディオ銘機賞2013の「製品企画賞」と「カテゴリー別受賞」の2部門で受賞
近年関心が高まっているポータブルオーディオ市場に新たに名乗りを上げたAstell&Kernブランド。同ブランドの目指すところはズバリHi-Fiオーディオクオリティの製品作りにあるという。その第一弾となるポータブルオーディオプレーヤーがAK100だ。手のひらサイズでありながら徹底的に音質に拘ったという同製品を、Hi-Fiオーディオマニアを自認する筆者なりの使いこなしを交えて徹底的に聴きこんでみよう。なお試聴にはゼンハイザーの最上位ヘッドフォンHD800を用いる。
AK100で音楽を再生するには、音源となるデータをCDなどからリッピングするかインターネット経由でダウンロード購入する必要がある。まずは手持ちのCDをパソコンでリッピングしてみよう。使用するリッピングソフトはPCオーディオユーザーに定評あるdBpoweramp CD Ripper。私も愛用している信頼できるソフトだ。(こちらの公式webサイトからdBpoweramp CD Ripperの購入や試用版のダウンロードができる)
リッピングする際は、予めオプションでAccurateRipを有効にしてFLACでデータを書き出そう。FLACはデータ量を元のおよそ6割近くまで圧縮できるうえ音質がほとんど劣化しない最も優れた音楽データ用ファイルだ。余談であるが2009年に発売された「ザ・ビートルズリマスターボックスのUSB版」に収録されたデータも全てFLACだ。
リッピングした「メロディ・ガルドー MY ONE AND ONLY THRILL(UCCU-1186)」から聴いてみると、携帯型プレーヤーらしからぬ透明度の高さと芯の強さが感じられる。楽器の響きが美しく、音の見通しも良好だ。低域の量感は控えめで若干腰高な音にも聴こえるが、スマートフォンなどのモバイルデバイスに付属する音楽プレーヤーとは明らかに一線を画する性能であることは間違いなさそうだ。
AK100の最たる特徴は高性能DACチップであるWolfson製 WM8740を搭載し、最高192kHz/24bitのハイレゾ音源を再生できること。音源を入手するには、オンライン販売サイトからデータをダウンロード購入する方法や、データが焼かれたパッケージメディア(DVDやUSBメモリ)を購入する方法がある。
今回はDVDメディアに176.4kHz/24bit のWAVファイルが焼かれた「HOLST 惑星(FACD028)」を聴いてみよう。データはAK100へPCを経由して直接コピーした。先ほどまでのCD音源とは空気感がまるで違う。1曲目「火星」冒頭部分の地を這うような低域は、大波が押し寄せる前の不気味さを上手く表現できており身震いするほど聴き応えがある。広大なダイナミックレンジが圧倒的なスケール感と余裕度を生み出しているのだろう。ハイレゾ音源の優位性を再確認できた。
ハイレゾ音源の販売タイトルは、ここ数年で着実に増えており、さらに大きな市場へと成長していく可能性がある。以下に代表的なオンライン販売サイトを記したので興味のある方は一見されたし。
HDtracks:http://www.hdtracks.com/
e-onkyo:http://music.e-onkyo.com/
Linn Records:http://www.linnrecords.com/
naim label:http://www.naimlabel.com/
Kripton HQM Store:http://hqm-store.com/
ハイレゾ音源が音質的に有利であることは疑いようのない事実だが、既存のCD音源とて一手間かけることにより輝きを増す。今度は44.1kHz/16bit 規格のCD音源をアップサンプリングしてAK100のスペックをフル活用することにより、どれだけ音質アップが図れるか試してみよう。アップサンプリングにはUpconvというフリーソフトを用いた。(http://hp.vector.co.jp/authors/VA018963/upconv_0xx.htmからソフトウェアをダウンロード可能)
「JS BACHゴルトベルク変奏曲(PRCD-9999)」をCD音源と192kHz/24bitにアップサンプリングした音源とで聴き比べてみた。アップサンプリングした音源は響きが数段豊かになり、倍音の煌めきが頭の遥か彼方まで拡散していく様がとても心地良い。このディスクは1980年代後半の録音で、ステレオの拡がり感にいささか不満を抱いていただけに嬉しい結果だ。
次は「ニルヴァーナ NEVERMIND(DGCD-24425)」を192kHz/24bitにアップサンプリングして聴き比べてみた。先ほどとは打って変わって、これは駄目だ。CD音源に比べてギターのうねりは鳴りを潜め、ドラムスも気合が抜けてしまった。先ほどのクラシック音源と同じく音空間の見通しは良くなったものの、パッションが削ぎ落とされてしまったようだ。試みに88.2kHz/24bitに抑えてアップサンプリングしたところ結果は上々。アップサンプリングするにも、ある程度の向き不向きがあり、好みによって使い分ける必要があるのかもしれない。
ここまではAK100に直接ヘッドフォンを繋いで聴いてきたが、次はヘッドフォンアンプとの組み合わせを試してみよう。AK100とヘッドフォンアンプはステレオミニプラグ⇔RCA変換ケーブルを用いてアナログ接続。まずはLuxmanの最上位モデルP-1uに繋いでみよう。低域方向の音圧が上がり、やや腰高に感じていた帯域バランスは良好なピラミッドバランスに落ち着いてくれた。ポータブルプレーヤーで駆動するには少々荷が重いHD800も、純A級出力の本機であれば余裕で制動できるようだ。
次は真空管アンプを繋いでみる。このアンプは双三極管ECC82/12AU7の付け替えが可能で、真空管の銘柄による音の違いを楽しむことができる。なお現在は英国Mullardのヴィンテージ管ECC82を付けている。先ほどのトランジスタアンプよりもさらに図太い低音、厚みのある中音、ほのかに揺らめく高音のアンサンブルが絶妙だ。音のシャープさは以前の組み合わせに劣るものの、私の感性を強く刺激してくれた。
総じてトランジスタアンプと真空管アンプ、どちらの特徴も分かりやすく聴き取れたのはAK100の高いピュアリティからであろう。
AK100にはデジタルグラフィックイコライザー機能が備わっている。これを使うことにより62Hz、250Hz、1kHz、4kHz、16kHzの5つの周波数ポイントをそれぞれプラスマイナス10段階に調節できる。AK100のイコライザー設定はとても簡単で、液晶パネルに設定画面が表示されたら好きなイコライジングカーブを指で描くだけでいい。例えばアルファベットの「V」を浅く描いてイコライジングすると、ギターやボーカルの聴こえてくる位置が遠ざかり、まるでホールを俯瞰しているかのような雰囲気を作り出せるのだ。
オーディオの最終目的は音楽を聴くことであるが、そこへたどり着くまでのプロセス、すなわち自分好みの音に仕上げる過程にも醍醐味がある。AK100はそういった趣味性の高いユーザーのニーズに応えてくれるプレーヤーであることが確認できた。
iriver Astell&Kern AK100 を使って試せる!レビューア募集!
Hi-Fi オーディオの「極みを」、ポケットに。Wolfson製24bitハイエンドオーディオD/Aコンバーター(DAC)「WM8740」を搭載したハイレゾ音源対応のポータブルプレーヤー「Astell&Kern AK100」のレビューアを5名募集します。
期限内にレビューを書いていただいた方には「Astell&Kern AK100」を継続してご利用いただけます。
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