○はじめに
これまではHDDしか使用したことがなく、今回がSSDデビューになります。そのために他のSSDとは比較できず、コントローラーの特性などの詳細はレビューできませんが、HDDからSSDへ換装した際の違いが最も体感できるタイミングなので、SSD未体験者の方にSSDの速さがわかるようなレビューにしたいと思います。
○開封
まずは、zigsowから送られてきたSSDを見ていきましょう。
届いたのは、SSDと封筒入りのメッセージ。SSDは茶箱入りのバルクでした。
バルク品なので、SSD本体とステッカー以外の余計なものは入っていません。3.5インチ変換マウンタやSATA3.0ケーブルが付属していないので、これらのパーツを所有していない方は別途用意する必要があります。
SSD本体は他のSSDやHDDと同じく、静電気防止袋入りです。
SSD本体表面のデザインは、これまでのインテルのSSDと同じデザインですね。黒いスペーサーも取り付けられています。
SSD本体の裏面はいたってシンプル。この製品に限らず、SSDのケースがアルミの製品の場合に裏面が擦れた感じになっているのなぜなんだろうか…。
SSD 520シリーズは7mm厚にも対応しているということなので、実際に測ってみました。スペーサー有りだと9mmですね。
黒いスペーサーを取り外した場合は、実測値で6.5mm厚でした。7mm対応というのは、スペーサー無の状態で対応するということのようです。
ちなみに、スペーサーを固定しているネジはケースを固定しているネジも兼ねているので、スペーサーを取り外すと分解も可能です。ウルトラブック等の7mm厚の2.5インチドライブしか設置できない環境では、スペーサーを外した後に再びネジで固定するのを忘れないようにしましょう。
SSDを2.5インチHDDの重さを比較してみました。比較HDDはWD5000BEVTです。SSDの方が17g程軽いですね。ノートPCのHDDをSSDに換装したからといって劇的に軽くなるわけではなさそうです。
○分解
今回はレビュー製品ということで特に保証なども無いので、分解して中身を確認してみました。
※分解すると保証を受けられなくなりますので、分解する際は十分にご注意ください。
まずは、ケースの表側に当たる基板から。フラッシュメモリが設置されています。
次に、ケースの裏側にあ当たる基板。こちらにはコントローラが実装されています。120GBより大容量のモデルではこちら側にもフラッシュメモリが搭載されているようです。
コントローラーは、SF-2281VB1-SDC。
コントローラ側のケース裏面には熱伝導パッドが付いている。
○換装
SSDをケースに設置するには様々な方法がありますが、今回このSSDを搭載するPCのケースは標準で2.5インチに対応しているので、別途パーツを用意する必要はありませんでした。
2.5インチ用の穴が空いています。
取り付けは簡単で、特に苦労することはありませんでした。
今回はせっかくのSSDなので、ツールによるSSD移行ではなくクリーンインストールをおこないました。しかし、クリーンインストールが面倒だったり簡単にSSDに換装したい方のためにインテルがSSD移行ツールを用意してくれています。
インテルのサイトに行き、目的の製品を選択。
そこから、Intel Data Migration Softwareを選択。ソフトの使用に関しては、インテルのSSDを接続していないと使用できないようです。
移行ツールでSSDにシステムを入れたら、古いHDDを取り外して
そこにSSDを取り付けます。当たり前のことですが、PCとの接続にはSATA3.0対応ケーブルで接続し、使用ポートもSATA3.0ポートを使ってください。
○インターフェース別速度比較
SSDにOSをクリーンインストールする前に、SSDが空っぽの状態での単体での速度をインターフェース別に測定してみました。
構成は以下の通りです。
・OS…Windows 7 Professional 64bit
・CPU…Core i7-2600K@4.5GHz
・マザーボード…ASRock Z68 Extreme4
・メモリ…UMAX Cetus DCDDR3-8GB-1600OC
・ビデオカード…MSI N560GTX-Ti Twin Frozr II/OC
・電源…SeaSonic SS-760KM
比較インターフェースはSATA3.0、SATA2.0、USB3.0です。
・SATA3.0…Z68 Extreme4のオンボードとMarvell SE9120
・SATA2.0…Z68 Extreme4のオンボード
・USB3.0…Z68 Extreme4のEtron EJ168A
USB3.0のケースはカブリオレ3.0を使用しました。
それでは、ランダムテストから。
オンボードのSATA3.0がやはり速いですね。一方、同じSATA3.0でもMarvellの方は明らかにオンボードより低下しています。シーケンシャルライトは350MB/s態度で頭打ちになっている感じです。ランダムライトも30~40MB/s程低下しています。Z68のマザーでSSD 520を使う場合は、オンボードのSATA3.0ポートを使うことをおススメします。
SATA2ではシーケンシャルリード以外はSATA3.0とほぼ同じスコアが出ているので、SATA2環境で使用しても大幅な速度アップが期待できそうです。
USB3.0はシーケンシャルリードが大幅低下し、ランダムのスコアも同じく大幅低下です。これがUSB3.0のチップの問題かケースの問題かはわかりませんが、少なくとも私の環境ではUSB3.0環境で使うことに魅力を見出せません。
次は、0Fillでのテストです。
ランダムと異なり、SATA3の0Fillでのライトのスコアが大幅に向上してほぼ公称値どおりですね。一方で、Marvellはランダムテスト時のスコアとほぼ同じです。
SATA2もSATA3と同じで、ライトのスコアが大幅に向上しています。
USB3.0はシーケンシャルライトのスコアが少し向上はしましたが、基本的にはランダムテスト時のスコアと同じ傾向のようです。
実際のシステムドライブとしての使用では、0Fillはあまり意味が無いようなので参考程度の数値ですね。
○OSインストール
今回はクリーンインストールをしたので、HDDとSSDでクリーンインストール時の時間を比較してみました。HDDはそれまでシステムディスクとして使用していたWD5000AAKSです。以下、比較対象のHDDはこのWD5000AAKSです。
時間はインストールするディスクを選択し『次へ』を押してから、デスクトップ画面が表示されるまでの間を計測しました。プロダクトキーを入力する場面などにおいては計測を一時停止しております。
結果をみると、インストール時間が2分も短縮されました。頻繁にクリーンインストールするわけではないですが、少しでも早くインストールできることでストレス軽減になりますね。
次にシステムインストール後のCrystalDiskMarkのスコアです。
HDDとの差は一目瞭然ですね。笑ってしまうくらい違います。また、SSD 520はインストール前後でもスコアが変わっていないのも驚きです。
さて、肝心のOSの起動時間ですが先ずは動画をご覧ください。
HDD
SSD
起動時間を数値化するまでもなく、SSDが圧倒的なのがわかります。SSDは起動が速いとは聞いていましたが、ここまで早いとは思いませんでした。顔から自然と笑みがこぼれてしまいます。
また、デスクトップ表示までの時間と常駐ソフトが起動するまでの時間をグラフにしてみました。
デスクトップ表示までの時間で既に14秒もの短縮が出来ていますが、常駐ソフトが起動するまでの時間は37秒も高速化しています。速すぎます。これだけ速度が違うと、わざわざスリープさせる必要もありませんねw
○各スコア
起動時間は速くなりましたが、それ以外ではどうなのかということで実際のPC使用時の参考となると思われるベンチマークでスコアをとってみました。
最初はエクスペリエンスインデックスです。
システムドライブがHDDの際はプライマリハードディスクのスコアが最も低く足を引っ張っていましたが、SSDでは最高の7.9になっています。驚きなのは、RAID 0を組まずともSSD単体で最高の7.9を叩き出していることです。
次はPC MARK 7です。
HDDをSSDに換装しただけでスコアが2000近くもアップしています。スコアの詳細を見ても、ストレージ関係で高速化しているのが見て取れます。
○BattleField3高速化
HDD環境でBF3をプレイしていると困るのが起動時間とロード時間です。両方ともかなり長いので、煩わしく感じている人は少なくないと思います。そこで、SSDに換装することでBF3が高速化できるのか検証してみました。
まずは起動時間です。BattleField3(以下、BF3)はブラウザからゲームを起動するシステムなのですが、起動するまでがかなり長くストレスが溜まります。果たして、起動は高速化するのか…
HDD
SSD
速すぎて何も言えませんorz
続いて、ロード時間です。BF3は起動時間も長いですが、ゲーム起動後にゲームステージをロードする時間もそこそこ長いため、こちらも高速化できるか検証しました。
HDD
SSD
はい、こちらも同じく速いです。言うこと無しです。
起動時間とロード時間をグラフで比較してみました。
起動時間は半分以下、ロード時間も半分に短縮されています。SSDはBF3においても高速ができ、BF3の待ち時間というストレスを軽減してくれると言えますね。
○TMPGEnc 4.0 XPressにおける高速化
現在、動画のエンコードにTMPGEnc 4.0 XPressを使用していますが、起動が多くイライラさせられます。SSDで高速化できるのか確かめてみました。
起動時間は確かに3秒速くなりました。しかし、これまで検証してきたものほどの高速化はできませんでした。TMPGEnc 4.0 XPressは起動時にインターネットでライセンスを確認するため、これくらいの短縮が限界なのかもしれません。
エンコード時間の短縮もできるのか検証してみました。ソースはDSC-HX9Vで撮影した1920×1080 60pで1.3GB(7分30秒)のファイルです。
差は誤差の範囲で、短縮はできませんでした。ただ、エンコード中はCPU使用率が90%後半であり、CPUの処理速度がボトルネックでストレージを高速化しても意味無かったんだと思います。
ハードウェアエンコードなどで試せば、エンコード速度に違いが出たのかもしれません。
○消費電力
最後に消費電力比較をしてみました。起動後10分経過した時点をアイドルとし、アイドル時の消費電力を測定してみました。
SSDに換装するだけで4Wもの削減が出来ました。ただ、2,5インチHDDと比較するともう少し差は縮まると思います。
電気代換算すると微々たる差ではありますが、ノートPCや省スペースPC、24時間起動のPCで消費電力や発熱が重要な環境では役立つパーツなのは間違いないと思います。
○まとめ
今回、はじめてSSDを使用してみましたがこんなに早いとは思いませんでした。こんなに快適ならもっと早く使っておけばよかったと後悔します。起動だけでなくゲームも高速化できるので、ゲーム用PCのシステムドライブをSSDに換装するのもおススメです。
SATA2接続でも十分に高速なのがわかったので、古いデスクトップや古いノートPCの快適さを向上させるという点においても十分魅力的だと思います。
ひとつ難点があるとすれば、HDDにはもう戻れないことです。この速さを体感してしまうと、HDDには戻れないどころか、他社のSSDも試したくなりました。危険です。まさに禁断の果実ですw
他のパーツと比べると、無理にSSDにしなくても困ることもなくお金を出しにくいパーツだと思われる方もいるかもしれません。私もその一人でした。しかし、この快適さに投資する価値は十分にあると言えます。高速化を狙う人はもちろん、『SSDなんて…』と思っている方にこそ是非使っていただきたいパーツです。
最後まで、長文をお読みいただきありがとうございました。これからも精進いたします。
リンさん
2012/03/11
やっぱりSSDは高速ですね^^b
レビュー内容も写真+動画と織り交ぜており非常に判り易い内容でした。
これからもSSDを大切にしてください☆
深海さん
2012/03/11
ありがとうございます。
本当速いですよね。HDD=データドライブとしか脳内で変換できなくなりましたw
箱入り娘のように可愛がりたいと思いますw
Manyaさん
2012/03/11
SSDは早いですよね。
ゲームをされる方にもお勧めですね♪
深海さん
2012/03/11
起動が速くなるのはわかっていましたが、ゲームもHDD比で1/2以上も短縮できたのは驚きでした。
ただ、ゲームをインストールすると容量を圧迫するので、ゲーム用PCのSSDは200GB以上あった方が安心かなという印象をうけました。
まささん
2012/03/13
私もその速さを早く体感したーい!
>ゲーム用PCのSSDは200GB以上
ですね! 了解(^-^)
深海さん
2012/03/13
ありがとうございます。
ゲーム3本くらいなら大丈夫ですが、最近のゲームはインストールが10GBを超えるタイトルも少なくないと思うので、ゲーム用PCは容量の大きいSSDかシステムとは別にSSDを用意した方がいいと思います。