レビューメディア「ジグソー」

独自の思想に基づいて作られるオーソドックスなサウンド

昨日は秋葉原で「サイバー攻撃を目撃せよ! 2017」というイベントが開催されていて、仕事の中にあるセキュリティーの啓蒙活動のヒントになるものがあるかと思い観に行ってきました。

 

そのついでに「GeForce GTX 1080Tiの発表で値下げが入ったそれ以下のモデル、特にGTX 1070辺りでお買い得なものがあったら買ってみようか」などと考えて街を歩いていたのですが、気付いたら買っていたのが何故かこの品でした。

 

 

以前掲載した、Ortofon MC-10W以来となるMCカートリッジです。

 

 

 

 

 

 

 

 

本体はこのような巾着袋に収納されていて、保証書・取扱説明書は別添の封筒の中に入っていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

箱の側面に主なテクニカルデータが記載されています。ZYXは少量生産メーカーであり、高出力モデルやコイル線材変更バージョンなど、細かな仕様違いモデルをリリースすることがあるようですが、今回買ったのは最廉価の基本モデルである、R50 Bloomとなります。

 

 

 

 

 

箱を開けると、カートリッジ本体は木製の升に収められています。これはZYXのカートリッジは海外で販売される方が多いため、敢えて日本製であることを演出するためにこのように収納されているとのことです。

 

 

 

 

 

カートリッジが固定されているアクリルの枠を取り外すと、中にはブラシやドライバー、ビスが収納されていました。

更新: 2017/03/06
音質

極めて緻密で分解能も高いが、受ける印象は割合地味

とりあえず7~8時間は適当なレコードを再生してある程度音が落ち着いてきたと思った時点から試聴を始めてみました。

 

ヘッドシェルにはaudio-technica AT-LS13を、リード線にはOrtofon 7N-LW1を、それぞれ組み合わせています。

 

 

 

 

 

本当ならもう少し重めのヘッドシェルを組み合わせても良いところなのですが、比較的良質なヘッドシェルで使っていなかったものがこれしか無かったのです。後で買い換えるかも知れません。

 

 

 

 

 

元々使っていたaudio-technica AT33Rもかなり緻密な音が持ち味でしたが、R50 Bloomも負けず劣らず緻密な音です。分解能も高く、AT33R以上に演奏の細部までをはっきりと聞き取れるようになります。

 

 

 

 

 

AT33Rと比べると低域方向の力感や厚みでやや上回り、高域方向が大人しめという印象を受けるのですが、これはAT33Rがややハイ上がり傾向にあると考えた方が正しいのかも知れません。バランス的にはやや大人しく感じるもののハイハットの質感などは素晴らしく、AT33R以上に自然な金属の質感が出て来ます。

 

 

 

 

 

ヴォーカルものを聴くと、細かなブレス音などが見事なまでに描き出されます。緻密でありながら分析的と感じさせるほどではなく、あくまでレコードに記録されている音を余さず拾ってやろうという感じを受けるものです。

 

 

 

 

 

少し意外だったのがDavid Garrettで、ヴァイオリンの弦の質感が意外と硬質で、本来の音色の豊かさは少し損なわれる印象があります。弦楽器やピアノはAT33Rの得意分野であり、やや演出過多な部分があるのかも知れませんが、心地良い音色となるのはAT33Rの方でした。

 

 

 

 

 

最近の録音となる「Chicago XXXVI "NOW"」では、ヴォーカルの力強さや低域の重心の低さなど、多くの点でR50 Bloomの方に魅力がありました。AT33Rではベースの音がやや軽いという印象を受けます。高域は一見地味なのですが、ハイハットの音などはAT33R以上に細かく、それでいて自然です。

 

その他「Englishman In New York / Sting」などはR50 Bloomがとにかく素晴らしく、ヴォーカルの生々しさ、ベースラインの明瞭度、サックスの音色や空気感など、見事なものがありました。

 

 

ただ、よくよく聴いているとR50 Bloomの音はこれといった個性が無いのです。強いていえばヴァイオリンの音色が硬質になるという部分がありましたが、「アレが得意、コレが苦手」という性格は殆ど持っておらず、大体のソースを高い水準でごく普通に再生しているというのが正しいところでしょう。

 

 

ZYXの創業者であり技術者である中塚氏は、トリオ(現JVCケンウッド)からデンマークのOrtofonに移り、そこで名機MC20を開発した人物といわれています。後にレコード針やカートリッジを多く手がけた並木精密宝石(あのシバタ針の開発元でもあります)に移り、そのバックアップを受けてZYXを創業したという経歴の持ち主であり、日本では珍しいほどにカートリッジを熟知した人物といわれています。

 

それだけにどのような音楽に対しても高い次元で対応出来るという、本来あるべき姿を純粋に追い求めた結果として、ローエンドながら高い完成度を持つ本機のような製品が生まれたのでしょう。

 

これでローエンドならより上位の製品はどうなのか興味は湧いてきますが、価格面を考えれば私が買えるのはこの辺りまででしょう。ZYXは千葉県の会社であり、以前幕張のノジマ オーディオスクエアで中塚氏が自らZYXの製品紹介イベントを開催されたときに行っておけば良かったと、今になって後悔しています。

  • 購入金額

    45,900円

  • 購入日

    2017年03月04日

  • 購入場所

    ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba

16人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • jive9821さん

    2017/03/06

    > kaerki さん

    私も以前なら確実にスルーしていたであろう値段なのですが、MCカートリッジは今となっては3万円程度では入門モデルしか買えないジャンルとなってしまいましたので、ZYX製で5万円を割っていた時点でむしろ割安に見えてしまったのです…。

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