小林香織はサキソフォン吹き。この項の最も初期から何度かご紹介している。
一応カテゴリー的には「フュージョン」なのだが、ジャズっぽさをあまり感じない明確な節回しとキレの良いプロウで難解でないポップス性を持っている。彼女のキャラクター的にも「アジアでもっとも美しいサックスプレイヤー（タイサックス協会による）」と呼ばれるほど華があるので、アイドル的立ち位置でもある。
初期6作は外部のプロデュースでフュージョン王道で勝負したが、このジャンル余り軽く聴こうというリスナーがいない。曲よりも演奏力、明解な曲よりトリッキーな曲の方がもてはやされる傾向にある。
7作目はセルフプロデュースに切り替えいろんなことに挑戦し、続く8作目はフュージョン、というカテゴリーでは似合わない「打ち込み」主体のR&B色を強めた、本人曰く「ワルそうな曲」が多かった。テクニック的には今まで出してこなかったような面を表に出してきたけれど、ちょっと初期の素直なメロディラインと明解な節回しとは離れてきている気がして、これってホントに香織カラーなのかな？と言う感じだった。
1年ぶりの本作は初期に回帰したような明確な路線を中心に、津軽三味線の新鋭浅野祥を迎えた異種格闘技的楽曲が数曲異彩を放つというイイ感じの王道とスパイスの調合具合。
「ザ・ファイター」はちょっと歌謡曲？風の短調の出だしだが、最近ユーミンのツアードラマーを務める加藤“Q”久幸のエネルギッシュなロック！なドラムがスピード感を出すハードチューン。F1のテーマソング「TRUTH」のころのT-SQUAREのイメージもある。香織サンのプレイもややアタックが強く、リードがよく震えている太い音。
5~6曲目が浅野の津軽三味線が加わった曲。「安土桃山」がイントロやサビが三味線メインでそれを活かすメロディラインをサックスで吹くと同音連続なども多くチョイこなれてなかった感じがしたが（浅野のソロなんかはそれはそれでいいンだけれど）、続く「江戸前」は気っ風の良い？かけ声なども入り、楽しいコラボ。ユニゾンし、対旋律をとり．．で絡み合いながら進むが、単調な感じがしない。三味線ソロ？のカランとした響きが粋でいいなぁ。ほぼ同じ発音原理の楽器にバンジョーがあるが、この和のテイストはでないな。
「キミがいた場所」は歌詞をつければそのまま良質なJ-POPになりそうなキャッチーでポップな曲。河野充生の8分音符刻みのベースが8ビートを引っぱる。香織サン本来の少し柔らかめのアタックでイイ感じのなめらかさ。こういう曲がやっぱり本領発揮と思う。
デジタルでもなく、難解でもなく、テクニックごりごりでもなく、テンションノートバリバリでもない。そういう意味では良い意味で大衆的なポップス。ホームページ上にこのアルバムの紹介で「インストゥルメンタル・ポップス」という言葉があるが言い得て妙。まさにポップス王道で、歌じゃなくてサックスだよ、という感じ。
当然？初回盤なのねんｗ
フルートはちょっと珍しいかな。
【収録曲】
<CD>
1. ハイ・フライヤー High Flyer
2. ザ・ファイター The Fighter
3. 太陽のオレンジ Sunny Orange
4. 光と影 Light And Shadow
5. 安土桃山 AZUCHI-MOMOYAMA
6. 江戸前 EDO-MAE
7. いつか見た夢 Dream
8. キミがいた場所 Now and Forever
9. 流れ星 Shooting Star
10. 涙のあとに Looking Forward
11. エンディング See You
12. 陽だまり Place In The Sun
<DVD>
1. England Funk
2. ONE!
3. Lovin’ You
4. Nothing’s Gonna Change My Love for You
5. Great India
6. City Lights
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購入金額
3,888円
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購入日
2014年06月04日
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購入場所
TOWER RECORDS
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