レビューメディア「ジグソー」

省電力、デジタル放送向けPCに

*** はじめに
今回は、レビューインフィニティ第7弾「Z68星雲」のレビューアーにご選出頂きありがとうございました。
関係者の方々に感謝を申し上げます。

*** PCの構成
【CPU】Intel Core i7 2600K


【CPUクーラー】リテールクーラー
【M/B】DZ68DB
【メモリ】Silicon Power SP004GBLTU133S22 (2GBx2)
【VGA】オンボード
【VGA】nVIDIA GeForce GT520 GF PGT520-LP/1GD3 (Virtuテスト用)
【HDD】Deskstar P7K500 HDP725050GLA360


【HDD】WD Caviar Green WD20EARS
【PCI】Earth Soft PT2


【PCI】SAA7130 TV-PCI
【PCI】E-MU 0404PCI


【ケース】3R SYSTEM L600-BK
【電源】Corsair CMPSU-400CXJP

*** DZ68DBの仕様
ATX(243.84mm*294.64mm)
Intel Z68 Expressチップ
TDP95WまでのCPUに対応
LGA1155ソケット(Foxconn)
DDR3 1333MHz、1.35V JEDEC memory対応
DVI,DisplayPort,HDMI対応。いずれか2系統同時に使用できる

USB2.0 8ポート
USB3.0 2ポート(Renesas D7202000F1)
SATA 6.0Gb/s 2ポート
SATA 3.0Gb/s 4ポート(うち2ポートeSATA)
10ch(7.1+2)オーディオ(Realtek ALC892)
IEEE1394(VT6315N)
UEFIで2TB以上のハードディスクに対応

PCI Express 2.0 x16
PCI Express 2.0 x1 2スロット
PCI 2.2 3スロット(ITE IT8892E)
1000Base-T LAN(Intel 82579V)
Legacy I/O Control Nuvoton(Winbond) W83677HG-i

PATA、PS/2が「ありません」
VGA(アナログディスプレイ)は変換プラグが必要です

*** 付属品など
DZ68DB 付属品
DZ68DB 付属品
DZ68DB 3年保証
DZ68DB 3年保証

特に6Gb/sと書かれていな普通のSATAケーブル2本、バックパネル、組み立てマニュアル、ポートを記載したシール、Virtuのガイド、LGA1155の互換性注意の紙、ドライバ、マニュアルのDVDです。
日本語のマニュアルが付いてくるASUSなどに比べると非常に簡素です。
マザーボードにしては珍しく「3年保証」です。

*** 電解コンデンサと、CPU用の電源と、ブザー
DZ68DB
DZ68DB

マザーボードを見て初めに目立つのは、今時としては珍しく電解コンデンサを使用している点です。
KZG、Matsushita、防爆弁がK字のものはメーカ名不明です。
熱くなるCPU周辺は、背の低い個体コンデンサです。
DZ68DB 電解コンデンサ
DZ68DB 電解コンデンサ

DZ68DB 電解コンデンサMATSUHITA
DZ68DB 電解コンデンサMATSUHITA

DZ68DB 電解コンデンサKZG
DZ68DB 電解コンデンサKZG

DZ68DB 固体コンデンサ
DZ68DB 固体コンデンサ


今時珍しく、CPU用の電源が4pin仕様です。
これによりTDP95Wまでの製品しか使えない、という事になっているようです。

また、これも珍しいのですが、マザーボードにブザーが付いています。
フロントパネル用のピンヘッダにスピーカーがついてなくてビックリしました。

*** 組み立て
ASUSに比べると、マニュアルが少し不親切だと思いました。
一回でもPCの組み立てをした方なら問題ないとは思いますが、初めての方は面食らうかもしれません。
私もLGA1155の組み立ては初めてでした。
切欠きを確認し、CPUを置き、ソケット手前のボルト(ネジ?)にカバーをくぐらせたあと、レバーを下す際、結構硬く感じて怖かったです。

また、CPUクーラーはマザーボードに押し込みながら、ピンをネジり固定する方式です。(プッシュピン方式)
確かにしっかりと固定されていますが、簡単すぎてなんとなく不安になります。
なお、CPUソケットとメモリスロットの間は25mmのクリアランスがあり、大体のCPUクーラーは取り付け可能だと思われます。
DZ68DB CPUクーラーのクリアランス
DZ68DB CPUクーラーのクリアランス


組み立て自体はケースとの取り合いがシビアで、バックパネルとマザーボードの固定にやや苦労しました。
バックパネルはやや押し込む形になりましたし、マザーボードは少し押してやりながらネジをはめる必要がありました。
ただ、これはマザーボードと言うよりは、ケースによって異なる部分も大きいと思います。
DZ68DB PC内部
DZ68DB PC内部


*** レガシーフリー仕様
PS/2、PATA、シリアルポート、パラレルポートの各ポートがありません。
特にPS/2ポートは、古くても気に入ったキーボードなどを使っている方はUSB変換をする必要があります。
その他はもうほとんど使われなくなってきていると思いますので、問題ない方が多いのではないでしょうか。

*** DVI,DisplayPort,HDMI
DVI,DisplayPort,HDMIの中から、いずれか2系統の出力に対応しています。
すなわち、デジタル2系統出力が出来るという事です。
全てのポートに接続した場合、初期設定ではDisplayport>DVI>HDMIの優先度のようです。
BIOSから優先度を変更することもできますし、OS上では任意の2系統を選択することが出来ます。

一つ気をつけなくてはいけないのは、DVIとHDMIは最大解像度が1920x1200(WUXGA)までとなっていることです。
2560x1600(WQXGA)、2560x1440(WQHD)には「対応していません」(未確認)
ただし、DVIはDVI-Iポートとなっており、VGAにアナログ変換して利用することが出来ます。
その際は、2560 x 1600(WQXGA)まで対応しています。

intel_hd3000_config.jpg
intel_hd3000_config.jpg

新規格という事で懸案だったDisplayportは問題なく動作しています。
ただ、Displayportに接続された主ディスプレイの電源を切ると、自動的に2番目のモニタが主ディスプレイになるようです。
再び電源をつけると主ディスプレイはDisplayportに戻り、元の状態に戻ります。
便利なようですが、主ディスプレイを固定したい場合には少し困ることになるかもしれません。

*** バックパネル
DZ68DB バックパネル
DZ68DB バックパネル


USB2.0が6つ、USB3.0が2つ、DVI、DisplayPort、HDMI、eSATA、IEEE 1394、S/PDIF、オーディオ、と充実しています。
少し気になる点としては、Displayport真上のUSBポートを使用した時、Displayportのケーブルを抜こうと思っても、指でラッチが掴めず外すことが出来ません。
かといって最上段に配置すると、ケースと当たって外すことが出来なくなる可能性がありますし、設計上難しい所で仕方のない事だと思います。

*** PCI
Intel 6シリーズでは、Q67を除いてPCIのネイティブサポートが無くなりました。
このマザーボードでは、PCIe-PCI変換チップのITE IT8892Eよって、3スロット用意されています。
DZ68DB IT8892E
DZ68DB IT8892E

Earth Soft PT2、SAA7130 TV-PCI、E-MU 0404PCIをすべて動かしても正常に動作しており問題は無さそうです。
PT2の4TS同時受信も安定しています。
ただし、0404PCIでASIOを使った際、レイテンシが以前より詰められなくなった感じがします(要検証)

*** その他バックパネルの機能
Intelのマザーボードらしく、LANはIntel 82579Vが使用されています。
サーバーなどに使用する場合は、Readtekよりも、Intelチップの評判が良いようです。

内部のUSBピンヘッダは8ポート分あり、フロント4ポート、メモリーカードリーダー2ポート、背面2ポート分と考えると十分だと思います。

*** Virtu
GT520が手元にあるので試してみました。
結論から言えば、外部GPUが必要で、かつQuick Sync Videoを使いたい方以外にはおススメできるものではありませんでした。

有効にする手順としては以下の通りです。
1,Intel HD Graphicsのドライバを最新のものに更新する(8.15.10.2476で確認)
2,BIOSの設定でConfiguration→Video→Primary Video Adaptorを内蔵に変更
3,Virtuをインストールする

Virtuをインストールした後でドライバを入れようとすると、エラーやブルースクリーン(BSOD)が発生してしまう事がありました。
Virtu Control Panelより、Virtuを無効にすれば大丈夫なようですが、先にインストールしておくのが無難だと思います。
DZ68DB Virtu
DZ68DB Virtu


3DMark 06では、オーバーヘッド以前にGT520とHD 3000の性能差が少なく、有意な結果を得られませんでした。
Core i7 2600K+HD3000
3DMark Score 4980 3DMarks
SM2.0 Score1627
HDR/SM3.0 Score1925
CPU Score6395
GT1 - Return To Proxycon12 FPS
GT2 - Firefly Forest14 FPS
CPU1 - Red Valley2 FPS
CPU2 - Red Valley3 FPS
HDR1 - Canyon Flight16 FPS
HDR2 - Deep Freeze21 FPS

Core i7 2600K+GT520(Virtu)
3DMark Score5097 3DMarks
SM2.0 Score1942
HDR/SM3.0 Score1697
CPU Score6441
GT1 - Return To Proxycon16 FPS
GT2 - Firefly Forest15 FPS
CPU1 - Red Valley2 FPS
CPU2 - Red Valley3 FPS
HDR1 - Canyon Flight16 FPS
HDR2 - Deep Freeze17 FPS
Virtu有効時の3DMark 06
Virtu有効時の3DMark 06


また、ドライバが応答停止したりする不具合が見られました。特にDisplayport(Dell 2408WFP)を使った場合、モニタを見失い、ドライバが落ちやすくなっていしました。DVIやHDMIで使用するのが無難のようです。
(しかし、そうなると2560x1600(WQXGA)、2560x1440(WQHD)のモニタを使っている方は困ると思います。)
知らないうちにGT520側のドライバが落ちていたりし、ベンチマークで画面が真っ暗だった事や、途中でベンチマークが落ちてしまうという事もありました。(FF14ベンチマーク)

消費電力はアイドル約70W、ロード時約180Wと、約15Wほど増える結果となりました。
普段は内蔵GPUを使っているから消費電力が減るかと思いきや、そうでもないようです。

うたい文句通り、GT520有効時にMediaEspressoでQuick Sync Videoを使う事は出来ました。
しかし、安定性という意味でのトレードオフが大きすぎるので使えないな、というのが本音です。

*** まとめ
PS/2ポートが無い、マニュアルの不足、電解(液体)コンデンサの採用をどう見るのかが、このマザーボードを選ぶポイントになりそうです。
Virtuを使用しなければ、スタンバイ復帰等、非常に安定して動作しており、低消費電力のデジタル放送PCを組む、という目的は達成されたと思います。(スタンバイ時消費電力1~2W)
このような機会を頂き、重ねて感謝を申し上げます。

*** 2012年11月02日追記 BIOSUpdate失敗→保証は有効でした
BIOS Version0032までは問題なくアップデートできていましたが、0032→0043とアップデートすると、CPUファンが回るだけでBIOSすら起動しなくなりました。
Intelさんの保証情報にBIOSUpdateの失敗により、保証がなくなるとの記載がなかったので問い合わせさせていただいたところ、交換対応となりました。

交換の際に驚いたのは、発送するのは静電気防止袋に入れた本体だけ、ということです。SATAケーブルや化粧箱は一切必要ありません。返送時も茶箱で返送されます。
インテル® デスクトップ・ボードの修理・交換依頼時の注意事項

送料着払いでこちらの金銭的負担はなく、メールに記載されている交換日数よりかなり早く返送されてきました。
返送された製品はBIOSが最新の0043にアップデートされており、またグリスも添付されていて、対応は非常に素晴らしかったです。感謝。
DZ68DB_RMA (1).jpg
DZ68DB_RMA (1).jpg


交換されたマザーボード自体は、リビジョンナンバーの最後が105となりました。
一部のコンデンサとボタン電池のメーカが変更、CPUソケットがFoxconnからLOTES製になっていることを除いて、まったく同じのようです。
DZ68DB_RMA (3).jpg
DZ68DB_RMA (3).jpg
DZ68DB_RMA (2).jpg
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*** 追記の余談です。
調べてみると、製造番号の最後が101の製品で同じようにアップデートに失敗する事例があるようです。
DZ68DB died after attempting to upgrade to latest BIOS 040

アップデートした理由は、HDCA-UT1.0KBをUSB3.0に接続した際にフリーズするといった症状が出たためです。


Relese Noteに「ファーストブート有効の際、デバイスマネージャでエラーが発生する」という現象が0040で解決したと書かれていたので、ちょっと違うかなと思いつつも実行しました。
返送された製品のBIOS 0043では、検討通りフリーズは解決していたので解決方法としては間違っていなかったと思われます。
なお、BIOS 0032→0043とアップデートすることにより「Renesas Electronics USB 3.0 Host Controller」のファームウェアバージョンは3025→3028となったようです。
BIOS Update Release Notes

なお、その他の動作については、レビューを書かせていただいた後、1年間順調に動作していました。
BIOSUpdateの失敗は、多くの代理店でユーザーの責任となること、また3年という保証を考えると、それだけでIntel純正のマザーボードを購入するという選択もありではないでしょうか。


*** BIOSの画面一覧
あまりにも長くなるので最後に回しました。
マニュアルを見ても一覧のようなものが無かったので、弄りそうな所を全部写真に撮ってみました。

目立った点はこの4点です。
・内蔵グラフィックの優先出力先が指定できる
・メモリの電圧は1.2V~1.8Vまで設定できる
・メモリのクロックはDDR3-2133まで設定できる
・正常に起動した際にPOST音が無い

ここが見たい、などありましたら、コメントにどうぞ。
DZ68DB_BIOS (22).jpg
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DZ68DB_BIOS (1).jpg
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23人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • harmankardonさん

    2011/09/12

    レビューお疲れ様でした.

    HD3000とGT520で差がないというのも,逆に凄いと思いました.
  • likemidさん

    2011/09/13

    ありがとうございます。
    FF11とか古めのベンチマークを回してみると、そこそこ差がついたので、3DMarkが性能差が表れにくいベンチマークであるようです。詳しくはCPUベンチマークの方に書く予定です。
    ゲーム以外の体感がほとんど変わらないのは凄いですね。

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