「PLC-ET/M2-S」は、コンセントからの電気配線(電力線)を通じてデータを送受信する高速電力線通信「HD-PLC」に準拠したコンセントLAN(PLC)アダプターです。 自宅内にある電気配線を使ってデータ通信を行うため、新しい配線の用意や特別な工事は一切不要。障害物や電波環境の影響を受けないため、無線LANが苦手とするフロア間の通信や鉄筋一戸建て住宅でも安定した通信が可能です。 使い方はコンセントに挿して既存のLANにつなぐだけ。それ以外の設定は必要ありません。
コンセントにつなぐだけですぐ使えて「超簡単!」
「PLC-ET/M2-S」は「タバコの箱2つ分ほどと思ったより大きめではあるが気にならないサイズ」との第一印象も聞かれたが、スペースの確保に関して苦労することなくほぼすべてのレビューアーが「電源のある場所なら容易に設置できるのが良い」と好印象。PC本体や外付けHDほか付属機器などで込み合うPC周りの電源で「PLC-ET/M2-Sのために壁コンセントを一つ空けるのは辛い」との意見も出たが、すべてのレビューを読む限りでは一緒に送られた「PLC-OP/TP5」を活用するなどして解決できるものと感じた。機器の接続に関してはPCを使った面倒な設定をすることもなく、LANケーブルを用意すれば「親機と子機の確認をして設置をしてあとは繋ぐだけ」というシンプルな作業のみ。これは製品の特徴でもありレビューアーからは「超簡単!」「拍子抜けするぐらいにあっさりつながった」と好評。今回のレビュー参加者は、それぞれの接続環境に「PLC-ET/M2-S」を試用するにあたり「床にLANケーブルをはわせていて不便」や「1~2階のLAN配線を撤去したい」「2階にルーター、1階にPC。曜日・時間帯で接続が遅い」などの解消を目的とし、現在使用している有線LANや無線LANに替わるものとしてレビューを行った。
無線でつながりにくいこともない、ケーブルもいらない快適な環境
各々のレビューでは無線・有線LANと比較したものが多かった。今回の設置で「製品が良かった」と評したレビュアーのレポート例を挙げてみよう。マンションの一室で同ブレーカー内、リビングに設置したルーターからハブを介したPCとテレビ、居室にはハブに接続したPCとノートPCなどがある環境。両方のハブに「PLC-ET/M2-S」を設置したネットワーク環境ではそれぞれのPCではストレスなくインターネットへ接続できることを検証した。また、テレビに接続したPS3®から「PLC-ET/M2-S」を経由しNASにアクセスしDLNAサーバーを利用した動画再生でも問題はなかった。あえて挙げると周辺に接続した家電からのノイズが原因かもしれないと思われる画面のコマ落ちがあったが「動画が見られないほどではなく大きな問題ではない」との内容だった。
目的と用途で使い分ければ至極便利!
また、「『PLC-ET/M2-S』はどの程度使えるものなのか」を計るためそれぞれがベンチマークテストを行っているレポートの中で、建物の階下・階上のLAN配線のわずらわしさから「PLC-ET/M2-S」に興味を持ち、実用に即した検証を行ったレビューアーの例。100BASE-T有線LANで86Mbpsという計測結果のあと、「PLC-ET/M2-S」を使ってのLAN接続では26Mbosとの数値。「無線LANの感覚で使用するには速度的にも同等格で、電源さえあれば有線LANに比べても設置は手軽でシンプル」としたものの、現状の設置環境では「自宅の1階と2階の通信速度はNASや常時稼働のサーバー設置の関係で、100Mbpsを下回るわけにはいかず臨時のLAN配線などにとどまりそう」との事例もあった。また、PS3®とHDDレコーダー、PS3®とテレビキャプチャーボード(I-O DATA GV-MVP/XSW)の2パターンを、それぞれ同ブレーカー内と別ブレーカーで再生するという実験を行った例では、同ブレーカー内では問題なく再生できたもの別ブレーカーでは遅延が起こり「別ブレーカーへの接続でDLNAプレーヤーは使えない」という結果になった。
設置や使い勝手は良好、無線LANが届かない場合の手段としては有効でそれぞれの使用環境や目的・用途によって使い分けできるということが、今回のレビューでの総論として的確といえる。
ポジティブな意見 / ネガティブな意見
- 初期設定や親機・子機の設定が既にしてあるので、元々繋がっていたハブの両ポートにPLCを接続しただけで問題なく接続できた。PCのルータDHCPによるIP取得も拍子抜けするくらい簡単に繋がった。無線LANだとソフトのほか色々な設定が必要だが、それがないのは大きなメリット。
- 本体の大きさはタバコの箱2つ分ほどと意外にコンパクトで好印象。
- 床に這い回っていたLANケーブルを撤去することができることを考えると、マンションよりも戸建て住宅などの1階と2階の接続などに便利だと思う。
- 無線LANの場合、間に鉄筋などがあると電波が届かない場合があったり、セキュリティ設定によっては他人に使われてしまうなどの不安もあるが、PLCの回線についてはブレーカーで遮断されるらしいのでセキュリティ的にも安心。
- 我が家の環境ではこれまで事務所からほかの部屋へは3Mbps程度しか出なかったが、PLCを導入することにより10Mpbs以上の速度が出るようになった。また、PLC対応電源タップを使用することで同じコンセントから電源を取っているほかの機器からのノイズも減り速度も安定。
- PLCのパッケージに記載されている規格値「210Mbps」はやや誇張された数値に感じる。半分の100Mpbs程度出てくれたらと控えめな期待をしていたものの、実測26Mpbsしか出なかった。パッケージ裏には「UDPで90Mpbs」「TCPで64Mpbs」と書かれてはいる。
- 親機とは別のブレーカーのコンセント使用での速度に関しては正直微妙。特にDLNA対応プレーヤーを使用できないのは問題だと思う。テレビキャプチャーボード「I-O DATA GV-MVP/XSW」とセットで使うなどのおすすめができないのはメーカー側も痛いのではないだろうか。現状での利用方法はネットサーフィンぐらいのもの。しかし私の環境に問題があるのかもしれないし、DLNAプレーヤーにしてもPS3以外を使用すれば改善できるかもしれない。
- スピードだけを考えればLANケーブルを使う方がやはり速い。価格が下がってもう少し買いやすくなると選択肢に挙がるかも。親機・子機のセットで1万円弱というのはライトユーザーの通信機器への出費としては相当な価格。