レビューメディア「ジグソー」

インテル入ってるプレステ2

 

「過ちて改めざる 是を過ちと謂う」

出典:論語
意味:人は誰でも過ちを犯すが、気付いているのに改めようとしないのが、最大の過ちである。

 

いやはや、昔の人は上手いこと言うものですな。
前回のレビューにおいて掲載期限の問題で苦戦した事から、二度と応募ネタで異機種改造はやるまいと思っていたのに、ノリで応募したら今回も当選。

その「過ちを敢えて進んで繰り返す」私みたいな奴は、

孔子に言わせりゃ最大級の大馬鹿者なのであろう。

 

大 馬 鹿 者 大 い に 結 構 だ が な !

そういうわけで、懲りずに今回も異機種改造ネタです。

今回も、前回同様の突貫工事ではありますが、背面パネルの処理以外は大体予定通りに作る事が出来ました。


ニコ動とか秋葉原のPCショップなどで製作しているような、プロの犯行レベルからすれば玩具みたいな改造ですが、ゲーム機改造PCとしては現行最強級の性能じゃないかな、多分・・・

廃熱処理や静音化に、まだまだ改良の余地が残る仕上がりですが、もう掲載期限ギリギリなので、残る改良は掲載後に追加することとして、とりあえず公開です。



まずは、CPU自体の概要を見てみることにしましょう。

今回のレビュー対象である、Intel Core i5 3570K は、Core iシリーズの第三世代にあたる製品で、ミドルクラスに位置づけられるCore i5の中で、最速の性能を誇るCPUです。

末尾のK型番からも判るように、倍率ロックが外されているため、容易にオーバークロック動作が可能となっています。

TDPは上位製品であるi7同様の77Wのため、消費電力と性能のバランスという点ではi7に遅れを取るものの、i7と比較して一万円程度安い価格帯に設定されており、強力かつお得なPCを作りたいというときに有力な候補となる製品です。

中身一式。クーラーが予想以上に薄い。


コア単体の速度としてはi7と殆ど替わらないため、HyperThreadingが効きにくいソフトにおいては、ほぼi7と同等の速度が期待出来ると推測されます。

 


今回、異機種改造のベースとしたのは、かつて据え置きゲーム機として「世界標準」となり、現在でも恐らくは世界一所有者数が多い『Play Station 2』です。

容積が比較的大きいゲーム機なので、ゲーム機改造PCを作るにしてもラクだろうと言う甘い考えで選定したのですが・・・

うん、思いっきり考えが甘かったです(汗)
やってみりゃ判るのですが、PS2の筐体はギリギリで「MiniITX基盤が入らない」のです。

PS2の筐体は、材質がABSで箱型。
内部基盤やドライブ類は、互いに組み合わさって一つのユニットを形成しており、筐体は『ユニットを収める箱』としての機能しか持っていません。

つまり、筐体は内部ユニットを「包んでいる」だけ。
ユニットは一塊になるよう設計されているので、結果として内部に仕切りや強度確保用のダボなどを設けられず『筐体の外装そのものでかなりの強度を稼ぐ』設計となっています。

ABSで、箱型で、仕切り無しに強度を稼ぐには?
そりゃ『外装部分を分厚く作る』しかありません。

結果として、PS2の外装部分は厚みが3ミリ近いABSで成型されています。
そのため、筐体の大きさからMiniITX基盤が入るように見えて、実際には入りません。
僅か1ミリ強ではありますが、外装の厚みによってMiniITX基盤が収まってくれないのです。

そのため、MiniITX基盤を収める為には外装の一部を切るか、内側を削る必要があります。

今回、MiniITX基盤を収めるにあたり、最初に行った事は筐体背面を基盤長に併せて切り取ってしまうことでした。

当初は筐体背面が利用出来ると踏んでいたのですが、まずは筐体内に基盤を収めない事には、残る筐体改造の目星も付きません。

基板の仮配置中。


基盤を収める上で邪魔になる部分を片っ端から切り取り、まずは基盤配置を確認。
部品が全て筐体に収まることを確認してから、残る構成を考えていきます。

本来、最初に基盤のサイズとか筐体のサイズを計測した上で、簡単な設計図を引いておくのがベストですが、私の座右の銘は「人生万馬券」ですので、そんな綿密な計画など知ったこっちゃありません。

さくさくとブッタ斬り、基盤が入ることを確認した後、ユニットの撤去で穴だらけになった筺体前面部を、背面を斬った時に出た廃材を駆使して閉鎖。

このとき取り外したスイッチ基盤は、フィルムケーブルのコネクタを基盤から引っ剥がした後、スイッチ基盤の端子配置をテスタを使って確認。

電源スイッチ端子と、LED端子の位置を確認した後、汎用コードを半田付け。
そのコードにピン端子コネクタを圧着して、PC用のスイッチにそのまま流用しました。

スイッチ裏側の配線状況。元々はここからフィルムケーブルが伸びる。


DVDトレイ開閉スイッチは、リセットボタンに流用する予定でしたが、電源スイッチとの並びが近すぎて誤って押す可能性が高いと判断し、こちらはLEDのみHDDアクセスランプとして流用。

この改造スイッチを筺体へ取り付けたら、次にゴム脚をつけたMiniITX基盤とDC-DC基盤を筺体へ接着。配線を取り回して、左半分の加工は完了。

加工完了後の状態。

マザーの脱落と、ファンの脱落を二重に抑える金具。百円ショップで入手。



右半分の加工はもっと単純で、SSDを固定するための3.5-2.5変換金具を筺体へ直接接着。
SSDの交換を考慮して、ネジを回すためのドライバ穴を下側に開口。
大きく開いた背面部を、0.8ミリのアルミ板で埋めて完了。

右側加工完了の図。金具貼って、吸気口を一部閉鎖しただけ。



排気ファンは20ミリ厚のPC用6センチファンに交換。
これも背面パネルを分割→長さ調節して再接着したものに、直接接着。
残る部分を適当に四角く加工、その横に穴を開け、DC-DC基盤からACアダプタ用コネクタをネジ止めして完了。

排気ファンのアップ。背面カバーを加工した後、接着してある。


ACアダプタの接続口。



・・・なんつーか、今回も接着だらけです
本来ならネジ止めとか考慮したほうが良いのですが、コニシボンドのウルトラ多用途SUが便利過ぎなのですよ。
金属とABSとか無茶な組み合わせでも簡単に接着出来てしまうのと、振動その他を考慮してもネジ止めより強固な上に加工が容易。

実際、接着したファンを全力でブン回しても、全くガタ付く様子無し。

これが無かったら、恐らく期限内の完成は覚束なかったと思います。


また、今回筐体を加工した際に困ったのが、切り取った部分が下の写真のように、白濁してしまうことです。

裏から見たとき、これが非常に目立ってしまうため、ライターで炙ったりしたのですが、炙るよりもクリアブルーの塗料を使って白濁した部分をカバーする方が簡単であることに気づき、途中から炙るのをやめています。

効果としては炙った方が綺麗なんですが、他の部分の変形を引き起こすこともしばしば。

対象部分を彫刻刀で削って馴らした後、熱処理した例。


透ける筐体を、そのまま使うとなると塗装やパテ埋めといった誤魔化しが出来ないため、色々と面倒な手間がかかってしまいました。


さて、それでは完成写真の公開でございます。


背面については、時間切れです。

そのうち時間作って、せめてアルミ閉鎖したところの再塗装だけでもどうにかしたいです。

(2012 9/7:修正しました。修正後の写真↓)

ミラーテープによるお気楽修正ですが、見た目は大幅にマシになりました。



電源については、今回Abee製の150W-ACアダプタ「AC150-AP04AA」を使いました。


筺体サイズから電源の内蔵は絶望的でしたので、選択肢はこれ以外にありません。
計算上、出力は120か130Wでも足りると判っていましたが、CPUの動作安定のため多少余裕を持たせておきたいのと、価格差が1000円も無かったので、最大出力である150Wモデルを採用しました。
温度も極端に熱くならず一定しており、出力も安定しています。



CPU温度については、意外にも全く問題ありませんでした。
排気ファンの風量が意外と大きく、思っていたより多く吸気量が確保出来ているのと、CPU以外の発熱物が無いことが大きいようで、アイドリングは36度、最高温度は55度と、純正ファン搭載の割にはまずまずの数字を示しています。

アイドリング15分後


ベンチ取得中


CPU周辺に吸気を集中させるため、敢えてスリットの下半分を裏から閉鎖してみたのですが、これが思いのほか上手く行ったようです。


カートンテープを二つ折りしたものを、セロテープで留めただけ。




OSは今回、Windows8のReleasePreview版を入れてみました。
その出来については、Vistaの再来とまでは言わんが、お世辞にも良いとは言い難い(苦笑)

3DMark系のベンチマークは06、11共に動作しませんでした。
FF11Benchですら途中でアプリエラーを吐き、MHFは完走するものの超が付くほど遅い(Win7では最大解像度でも問題ないのに・・・)し、FF14Benchに至っては起動すらしませんでした。

動作安定性についても、理不尽なフリーズというか、動作中のアプリケーションが一個でもロックすると、スタートメニューが出てこない or デスクトップに戻れなくなる(タスクマネージャすら呼べない)のは、正直どうかと・・・Win7と比較して、明らかに不出来だなぁ。

閑話休題。今回はOSのレビューじゃない。
上記の理由から、取得出来たベンチはCPU単独系が中心です。
取りあえず、毎回取得しているSandraは取れたので、こちらを参考値として出しておきます。

Sandra結果。ミドルクラスって数字じゃないよなー・・・・


CineBench結果。900番台のi7をさらっと抜いてますね。


CrystalMark2004


 

追記(2012/09/06)

 

Windows7にOSを入れ替え、ベンチマークを取得してみました。

ただ、何故かグラボ系のベンチ、特に3DMarkは正しく取得出来ないです。

モニタの全画面表示で転んでるのだけは判ったのですが、D-SUBでもHDMIでも転ぶ上にモニタを変更してもダメ。

ドライバも最新版へ更新したり、解像度設定や画面比率維持設定なども変更しましたが、解消出来ないため諦めました。

 *ちょもさんの御協力にて取得出来たので、ベンチ結果掲載します。

 

SingleChannel動作

DualChannel動作


 

SingleChannel動作


 DualChannel動作


SingleChannel動作

 

DualChannel動作

  

他のレビュアーが取得した数値より、明らかにメモリとグラフィックスの数値が低くなっています。

これは、明らかに搭載したメモリがPC1333であることや、搭載本数が一本だけであることが響いていると思われます。

 

ただ、困ったことに筐体の設計上このPS2/PC・・「メモリスロットが片方使えない」(汗)

一部切り書いてブチ抜けばいいのですが、今回は見た目重視なので諦めました。

 

2012 09/09 メモリを交換してDualChannelに変更しました。

それに伴い、SingleChannel動作時とDualChannel動作時、双方のベンチマーク結果を並べて掲載しました。

 

 

 SingleChannel動作


DualChannel動作(09/09追記)


速いにゃ速いんですが、同価格帯のAMD-FX8150(79.9GOPS)に数値上は劣ってます。

半年前の価格なら勝負ありですが、今の価格帯ならBullも結構お得感強いですね。

ただ、QSVの有無とかHD4000の有無とか考えると・・・・どうだろ。

 

SingleChannel動作


 DualChannel動作

 

Win8と数値上変化ありません。

OSのCPU負荷はWin7と8で極端な差は無いってことかなあ。

 

OpenGL 

やっぱ本職のビデオと比較して、OpenGLみたいな作業は厳しい。

HD4000の性能、下手な3Dゲーなら大半動作する(GhostBusters1とかCivilizationVとかは問題なくプレイできた)ので、コンシュマーに特化していると考えた方がよさげですが。 

 

 

(2012/09/13:追記)

 

Zigsowの定番(?)、ワットチェッカーにてシステム全体の消費電力を計測してみました。

 

待機電力

 

ちょっと高め。 

下小川氏宅で利用されている120Wモデルでも同様の傾向とのことで、採用したAbee製ACアダプタの仕様と考えた方が良さそうです。

 

アイドリング状態

 

 

 Cinebenchi(CPU)実行時

 

3DMark Vantage Test2(GPU)実行時

 

  3DMark Vantage Test4(CPU)実行時

 

皮算用していたより、だいたい30Wほど低めに出てます。

これだけのスペックで、あっさりと100Wを大きく 切ってきたのは正直予想外。

待機電力が高めなことだけが残念ですが、デスクトップPCとしては中々優秀な数値と言って良いかと思います。

 

起動速度も、10秒前後と結構高速。

ネタで作っただけなのに、普段使いのPCとしても結構良さそうな性能に仕上がってます。

Intelのプラットフォームをさすがと褒めるべきか、自分偉いとふんぞり返るべきか迷いますが、取りあえず個人的には後者のほうを選んでおきますね。

 

俺様すげえ!(阿呆

 

うん、速いです。ついでに、意外とエコです。

18000円台にこの性能のCPUとか、AMDがFX8150投げ売り状態だったのも頷けますというか、明らかに狙ってますよねコレ。

全体的に高速かつ消費電力も低減されており、TDP77Wという数字の割には廃熱もさほど高い感じはありません。

 

IvyBridgeのグリスバーガー問題は、OC状態でない限りはさほど問題にならない、という話がありましたが、確かにそのようです。

PS2という、明らかに廃熱上不利な筐体を利用してもなお、実用上全く問題なし。

性能のバランスも良好です。

今回、Windows8をテストOSとして導入してしまったことで、HD4000の動作検証が殆ど出来ずじまいでしたが、これについては後日改めてWindows7への入れ替えを行った後、再検証したいと思います。 


(2012/09/06:Win7での結果も掲載しました)

 

最後に、今回レビューの機会を与えて頂いた、Zigsow並びにIntelの関係者各位に感謝。

コメント (34)

  • いぐなっちさん

    2012/09/04

    おもしろい魔改造、ご馳走様でした。
    私もチャレンジしたくなりました。
  • cybercatさん

    2012/09/04

    お疲れ様です!!
    CPUのレビューなのに、躯体制作でそのほとんどが終了しているという潔さ!
    そしてできあがった「インテル入ってるプレステ2」のCOOLさ!
    すばらしい....

    ぜひ
    「過ちて改めざる 是を過ちと謂う」
    悔い改めることなく、今度はi7をスーパーファミコンn(ry
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