レビューメディア「ジグソー」

「芋虫」・・この言葉から連想されるのは・・

どんな感情だろう?

虫好きな方は
「ころころして可愛い」と思うのかもしれない。

だが普通は・・
「ちょっと気持ち悪い・・」だろう。

仮面ライダー好きを前面に出している
私だから「カブトムシやクワガタ、バッタ」などは
むろん平気なのだが
彼らの幼虫・・芋虫形態のときは
正直触ることができない。
というより触りたくない。

そんなタイトルを持つ小説の
具象化である本劇画は丸尾リズムの
最骨頂と言えるかもしれない。

乱歩の持つ影の世界・・覗き見の世界を
パノラマ・・で見せた表現力をそのままに
見事なまでに描き出している。

表紙のベース色は黒。
その上に紡ぎ出された色彩は
鮮やかでもありどぎつくもある。


乱歩は所謂「畸形」に「惚れて」いた。
そしてその「畸形」に惚れた自分をも
愛していたと思われる。

勲章とともに帰った夫は「畸形」の極みである
「芋虫」となり果てていた。
帝国軍人の貞淑な妻の鑑である「時子」
なんとも残酷な名前である・・

彼女は残りの人生を「妻の鑑」として
「芋虫」と暮らして行かなければならない・・
「時子」の時間はこの時に止まったであろう。

食欲と名誉(勲章、新聞の切り抜き)だけが
残された「芋虫」と化した夫との爛れた情事。

多くは語るまい。
乱歩ファンならずとも一読あれ。
「異世界」への切符を手に入れることができる。
  • 購入金額

    0円

  • 購入日

    2012年06月16日

  • 購入場所

14人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (4)

  • 屋根裏の散歩さん

    2012/06/17

    届いたんですねー。
    なによりご堪能されたようで良かったです。

    この手のジャンル、大丈夫な方ですか?
  • 退会したユーザーさん

    2012/06/18

    屋根裏@大首領さま。

    堪能しますた(・・b
    パノラマもよかったでつが
    こちらはより乱歩っぽかったでつね(・・b

    このくらいのエロやグロならだいじょぶでつ(・・b
    嫁が読むことはないでせうが
    見つかってもだいじょぶなレベルかと(・・b
  • めぐりさん

    2012/06/30

    確か、この話の内容をモチーフにしたのかな、寺島しのぶが賞をとられた『キャタピラー』って映画作品は・・・・予告を観て本編鑑賞は断念しました。。

    ホラー漫画で(って、私は苦手なんですが)似たような状態にされる人の話が、トラウマニなっております(^^;
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