第3世代インテル® Core&trade i7 プロセッサー

5人1組のチーム制、合計30人がレビュー!

zigsowでは、インテル® vPro™ テクノロジーによる5つの機能を「5つの謎」に置き換えて、5人1組のチーム制で解き進む「冒険レビュー」を実施。「解読のストーリー」は、レビューアーに選出された30名をランダムに組み合わせて5人1組全6チームに編成し、テーマとして伝達された「謎=機能」を制限時間内で実験・検証を行うレビューです。各チームが行う実験・検証のプロセスを記したレビュー(冒険記)は自由に閲覧することができるので、インテル® vPro™ テクノロジーに対応したプロセッサーを最大限有効に使いたい時には最適です。

5人1組チームレビューの詳しい企画内容はコチラ!
インテル® vPro™ テクノロジー  第一の謎

「インテル® バーチャライゼーション・テクノロジー」とは!?

「インテル® バーチャライゼーション・テクノロジー」とは!?

仮想支援─仮想PCがより安全かつ自在に動ける支援機能─

 

 

パソコンにはもちろんOSが入っている。その中で更にOSを入れ子として動かすのがいわゆる「仮想PC」。その名の通りOS上でもう一つのパソコンを「仮想」して、一つのパソコン・OS上で複数のOSを動かすというモノ。

そいつをハードウェア的に支援するのが今回の「インテル・バーチャライゼーション・テクノロジー(以下 IntelVT)」だ。

 

そう言うとなんかハードルが高そうなモノに見えるが、Windows7の「Xp mode」の名前くらいは聞いた事がある人も多いかもしれない。

別途ダウンロードが必要・Pro以上のエディションが必要とはいえWindows標準の機能として実装されている訳だから、意識せずにその恩恵を受けている人も居るかもしれない。恐らく今回のVproレビューの中では身近な存在と思われる。

 

 

さて、あくまでこのIntelVTは「支援」機能なので、変な話それが無くても仮想PCというものは動作する。というかIntelVTが無い頃から仮想PCという概念はあったのだから当たり前だ。

 

じゃあこのIntelVT、何をしているのか?…なんかVT-dだの何だのと世代ややれる事で区別されていたりするし、やってる事はまさにハイテクな事なので私みたいな素人では何言ってんだかよく判らない。強引だがここはもうかいつまんで「結果的にどうなるのか」を見てみよう。

 

 

 

まずIntelVTが無い場合、CPUやメモリ・周辺機器を仮想PC側で「使いたい」という命令を出すと、一旦仮想PCを作っているソフトを解して、本体側のOSを通り、伝言ゲームのようなカタチでやっとハードウェアに命令が伝わる。

 

現場の希望(仮想OS)→現場管理者の伝達(仮想OSソフト)

          →本社の指示(本体側OS)→実際の行動(CPU等)

 

…と想像すればどうしても非効率になるのは想像できる。実際のPC内部ではもっと複雑な事をしているのだから、中間管理職…じゃなかった、仮想PCソフトの負担も大きい

だからといってあくまで本体側のOSで動いている「たかが1ソフト」、いわば下っ端が直接実際の行動を決めるのはセキュリティ上よろしくないし、そんな権限は無い

 

しかしそれら動作の一部をハードウェア側で安全かつ効率的に動作させる機能や決まり事があれば、現場が直接即座に行動する事ができる。という訳でIntelVTというのはソレ。

仮想OSにハードウェア面から手助けをして、実際動作しているCPU・メモリ等をより自由に、即座に使えるようにし、仮想PCのパフォーマンスを上昇させる支援機能だ。


繰り返しになるがあくまで「支援」機能なので、別にコレだけがあれば仮想PCが動かせるわけではない点に注意。実際仮想PCを構築するにはXp mode(Windows Virtual PC)やVmWare等の仮想PCソフトの準備が必要なのに変わりは無い。

インテル® vPro™ テクノロジー 実施・検証レビュー

Xp mode(Windows Virtual PC)を使ってみる

と、比較的身近な技術だけに、実使用も一番身近な面からいってみよう。
先ほども名前を出したWindows7の「Xp mode」だ。

誰ですか、お前それしか使えないから誤魔化してるんだろとか言ったのは。

図星なんで言わないで下さい。

仮想OSといっても正真正銘のOSなので、その分のライセンスが必要になるのだが、「Xp mode」に関してはWindows7のPro以上にその分のライセンスが含まれている形になる。

そしてそれを使うための仮想PCソフト「Windows Virtual PC」もあわせてダウンロードすればあっという間に仮想環境の出来上がり(余談だがXP modeは別の仮想PCソフトで動かしても問題ない。VM wareにはインポート機能もある)。


今回使用するPCはレビュー用に用意されたパーツを含めて下記の構成。

 CPU:Intel Core i7 3770

 M/B:Intel DQ77MK

 MEM:DDR3 1600 16GB(XPmodeの割り振り2GB)

 HDD:HGST 320GB Deskstar HDT721032SLA380

 OS:Windows7 Ultimate 64bit

 

実際の設定はハードウェア的な機能だけにマザーボードのBIOS(UEFI)設定画面から行う。今回使用するIntel DQ77MKは「Security」というタブがあり、その中にVT関連の項目がある。



 今回使用できる「VT」は2つあり、CPU側の「VT-x」とチップセット側の「VT-d」だ。一般的に現在IntelVTというとCPU側のVT-xの事を指す場合が多く、マザーボードでの設定項目名も「Intel Virtualization Technology」と「Intel VT for Directed I/O (VT-d)」とVT-x側がメインの名前になっている。

 

 

ちなみにH77チップを搭載したIntel DH77DFと3570Kの環境だと…

 


同じSecurityの項目が随分スッキリしていてVT-d等の項目がない。この辺がQ77&無印3770の効果か。

 


 で、そもそもXp mode…というかWindows7の「Windows Virtual PC」は当初IntelVT(VT-x)が「必須」だった。つまり対応していない環境や無効になった状態だと起動時に弾かれてしまったという訳。しかし今はその制限が撤廃されているので「必須」ではなく「推奨」といったところ。

VT-dに関しては特に記述が見当たらないので…効果が無い可能性が高いがとりあえずやってみよう。

VTの項目をそれぞれ・両方オフにしても見た目上は変わらず起動する。但しVT-x設定をオンにした方がXP modeの起動は速くなっているようだ。

 

そこで起動時間を計測。XP modeを完全にシャットダウンした状態からの起動速度と、恐らく通常利用で多用される休止状態からの復帰速度をVT(両項目)有効・無効状態、そしてVT-x or VT-dのみ有効の状態で計測してみる。

 

VT-x/VT-d無効  :シャットダウンからの起動→59秒  休止状態からの復帰→8.2秒

VT-xのみ有効    :シャットダウンからの起動→48秒  休止状態からの復帰→6.7秒

VT-dのみ有効    :シャットダウンからの起動→59秒  休止状態からの復帰→7.3秒

VT-x/VT-d有効:シャットダウンからの起動→52秒  休止状態からの復帰→6.8秒

 

 

VT-xを有効にすると起動・復帰共に確実な速度向上が見られている。今回使用したPCは2008年製の古いHDDを使用しているので、最近のHDDやSSDならより速くなるだろう。

 

普通はあり得ないだろうがVT-dのみ有効の場合はあまり速度変化が無く、休止状態からの復帰が少々早い程度だ。 

 

…が、何故か両方有効にするとVT-xのみの時より起動が遅くなってしまっている。何かの間違いかと思って何度か計測したのだが…結果は変わらず。HDD古すぎたか?

尚、休止状態からの復帰の場合ほぼ同等。手動ストップウォッチなので誤差もあるし同じようなものか。まあきっとその分パフォーマンスがよくなるんだよウン!

 

 

 


 しかし起動速度以外、XP mode動作中の使用感は正直なところ差がわからない。「Windows Virtual PC」内のOSがシングルスレッド動作に限定されてしまうのもあるかもしれないがとにかくわからん。

とりあえずベンチマーク…少々古い世代だが定番のCrystalMark2004R3を使用。
マザーボードの「Intel Virtualization Technology」と「Intel VT for Directed I/O (VT-d)」を両方オン・片方オン・両方オフの4パターンで計測だ。念のため複数回計測して真ん中辺りのスコアを出したものを結果としている。


 
HDDのスコアはおかしくなったのでスルーで、CPUとメモリが関連するAPU/FPU/MEM辺りが今回のポイント。
 
…いや、確かにそれぞれ有効にした方がスコアは上がっているのだが体感できる差なのかと言えば疑問符を付けざるを得ない。途中からVT無しでもXp mode起動OKにした理由がなんとなくわかる。Core i7 3770の元の性能が高すぎて力技のゴリ押しが効いてしまっているようだ。

 

 

 ためしにXPmode内とホストOS(Windows7)側で同時にCrystalMark2004をぶん回してみた。VTは双方有効なので先ほどの左上のスコアと比べていただきたい。メモリこそ双方から同時アクセスしたせいでスコアが低下しているが、CPU周りのスコアは大した低下が見られない。CM2004R3自体が4スレッドまでの使用とはいえどんだけ余裕あるんだよお前は。


 とりあえずXp mode(Windows Virtual PC)単体起動においてはVTあろうが無かろうがCore i7 3770のゴリ押しパワーでなんとかなってしまうというここまでひっぱっておいて台無しなオチを作ってしまった。どうすんだよこれ!

 

他の方のレビュー結果をカンニング…じゃなかった拝見すると、どうやら複数の仮想PCを同時稼動させる等重負荷がかかった時により本領を発揮するようなので、私が今回やったようなXp mode単発起動というフツーな使い方ではこの結果も妥当なところのようだ。

 

 

 

 


 とはいえ次回のお題であるトラステッド・エグゼキューションテクノロジーをオンにすると強制的にこちらのVT2項目も有効になる。きっとこれが次回につながるハズ…というかつながってくれ。

 

 

余談だけど我が家のメインPC、Xeon E3-1260L+B75という組み合わせでVproプラットフォームではないもののVT-x・VT-d双方使用可能。XPモードもソレで動かしていたのでVTに関しては今まで「よくわからんけど仮想化にいいんだろ」くらいな感じて使っていたので勉強するいい機会でした。

逆に全く使った事がないコレ以降のレビュー、果たして付いていけるのか…

TEAM REVIEW
5人1組のチームで計30人がレビュー