今回レビューを行うHost PCは、マザーボードにインテル DQ77DM , CPUにインテル Core i7 3770 OSに、Windows 8 Enterprise 64bitを使い、Guest OSとして、Windows 7 Professional x64という異なったOSを用いてVirtual PCを構成してみたいと思います。
Host PCがサーバーOSではないので、機能に制約はありますが、対応CPUと対応チップセット/マザーボード(BIOS)が対応していれば、誰でも簡単に仮想PCを構成することができます。
今回レビューで使うWindows 8では、クライアント Hyper-Vという、Windows 7 Professinal,UltimateにあったXPモードより更にハイパフォーマンスなVirtual PCを実現することが出来ます。
Windows 8環境でクライアント Hyper-Vを実現するためには、次の要件を満たす必要があります。
①インテル バーチャライゼーション・テクノロジー対応のCPU,マザーボード(BIOSとチップセット)
②Windows 8 Professional若しくはEnterpriseの64bitバージョン
今回のレビュー対象マザーボードであるインテル DQ77MKでは、ポスト画面表示中にF2キーを押すとBIOSセットアップ画面が表示されます。
Security タブの、Intel Vertualozation Technologyをenableにします。
変更を保存して、Windows 8を起動します。
Windows8のコントロールパネルから、プログラムと機能を選択し、左タブのWindowsの機能の有効化または無効化をクリックします。
Windowsの機能の中から、Hyper-Vのチェックボックスにチェックを入れ、OKボタンを押します。
画面の指示に従い、Windowsを再起動します。
Windowsが再起動すると、スタート画面に、Hyper-Vマネージャーと、Hyper-V仮想マシン接続 アイコンが作られています。
次に、Virtual PCの環境を設定します。
スタート画面に表示されている、Hyper-V マネージャーをクリックして、Hyper-V マネージャーを起動します。
一番左のタブにある Host PCの名前(今回はZIGSOW)を右クリックして、新規 > 仮想マシンと選択します。
仮想マシンの新規作成ウィザードが起動します。
このまま、下の "完了"ボタンを押して、後で設定を変更する事も出来ますが、今回は、"次へ"ボタンをクリックします。
仮想マシンの名称と、仮想マシンの格納場所を指定します。
今回は、仮想マシン名を、Windows 7とし、可能場所は、デフォルトとしました。
仮想マシンに割り当てるメモリを設定します。
今回は、4GB割り当てました。
仮想ハードディスクの名称と容量を設定します。
名称は、Windows 7、容量は80GB割り当てました。
最後に、OSをインストールするメディアを決めます。
今回は、仮想ROMドライブ機能付HDDから、Windows 7 Professionalをインストールするので、そのドライブレターを設定しました。
最後に仮想マシンの環境概要を確認して終了です。
Hyper-V マネージャーに、仮想マシン Windows 7が作られました。
同時に、Windows 7用ウィンドウが表示されるので、指示に従い、操作メニューの起動をクリックすると、OSのインストールが開始されます。
Windows 7がインストールされ、仮想マシンに起動画面が表示されます。
このままでWindows 7は使えますが、Windows Updateやインターネットへの接続がまだできません。
Host PC ZIGSOWの項から、仮想スイッチマネージャーを起動します。
新しい仮想ネットワークスイッチを作成します。
今回は、外部接続の仮想ネットワークスイッチを作成しましたが、セキュリティ重視であれば、内部やプライベートの選択や、仮想ネットワークスイッチを作成しない選択もあると思います。
接続先のポートを設定します。
仮想ネットワークスイッチの名称を決めます。
今回は、V_LAN(Virtual LAN)としました。
無事、Windows 7もインターネットに接続できました。
先ずは、CPU-Zから
Host PCは、スピードステップテクノロジー対応なので、アイドリング時には、CPUは1.6GHzで動作していますが、Virtual PCは、3.4GHzで動作しています。
次にメモリの項ですが、今回のマザーボードは、メモリソケットに不具合があり、デュアルチャンネルで動作していません。
Virtual PCでは、クロックこそ低いですが、CL3といういかにも仮想マシンらしいスペックです。
最後に、マザーボードの項ですが、i440のエミュレーションを行っているようです。
次に、Crystal disk Markを走らせてみました。
最初に、0 fillデータでの計測です。
Host PCには、A-DATA 120GB 2台をストライピングで作りました。
一方、Virtual PCには、そのRAIDドライブから80GBを割り当てました。
仮想PCでは、RAMディスクのような速度が出ています。
仮想PCの速度が異常なので、何度も計測しましたが変わりません。
そこで、一旦ランダムデータで計測しました。
ランダムデータでは、まともなデータが取得できました。
そこで、再度、 0 fillデータで計測してみると、
ドライブに関しては、Virtual PCだからと言って、ハンディを背負っている訳では無いようです。
こんなところにも、ハードウェア支援の効果が出ているのかもしれません。
今回のVirtual PCは、1Core シングルスレッドなので、スーパーπを走らせてみました。
Host PCも、Virtual PCも、全く同じ結果でした。
シングルスレッドで動作するアプリでは、Virtual PCは、結構なパフォーマンスを持っていました。
Virtual PCのみで、Super πを走らせているときの、Host PCの状態ですが、Virtual PCでは、タスクマネージャーでCPU使用率が100%になっているのですが、Host PCでは、2%と表示されており、Virtual PCが食っているリソースが表現されていません。
しかし、メモリは、Virtual PCに4GB割り当てているので、5.3GBも消費しているうえ、CPU-Zでは、クロックが3.9GHzまでクロックアップしていました。
これは、Core i7 3770が、シングルコアで操作する場合の最高クロックです。
Host PC及びVirtual PC共にSuperπを走らせてみました。
Host PCのタスクマネージャーのCPU使用率は、シングルスレッドアプリらしく、1/8+αの14%でした。
また、ハードウェアモニターでCPUの温度を見ても、COU付属のCPUクーラーを使ったにもかかわらず50℃前後と素晴らしい結果でした。
Crystal Mark 2004 R3を走らせてみました。
総合スコアでも、Core i7 3770の6割り強という素晴らしいスコアでした。
これは、Core 2 Quad Q6600を使ったデスクトップ並のスコアでした。
最後に、約612MBの16bit 48KHzサンプリング 56分のWAVファイルを、WMA形式にコンバートしてみました。
結果、Host PCで、1分37秒(97秒)、Virtual PCで、1分44秒(104秒)という結果で、Host PCより7%程度余計に時間が掛かったのみでした。
Windows 8 上のHyper-Vは、これまでの私のVirtual PCのイメージを大きく超えた、ハイパフォーマンスマシンであることが分かりました。
Windows 8上の、クライアント Hyper-Vでは、USBデバイスをVirtual PCで利用する機能や3Dグラフィックスがサポートされない等の制約はありますが、使い方によっては、非常にコストパフォーマンスの高いシステムを構築できるのではないかと感じました。
最後に、消費電力を報告させていただきますが、今回のシステムでは、アイドリング時に、22W,Host PCで、Superπを走らせて、45W,Host PCとVirtual PC同時にSuperπを走らせても61Wという、とても省スペース,低消費電力のPCでした。