先ほど、紹介した「インテルAMT」を設定・使用してみましょう!
【1.LANケーブルの差し込口】
今回、検証に使用するマザボード「DQ77MK」には、
2つのLANポートがあります。
丸と矢印で示されている「Intel AMT」と書かれた赤いポート。
下の方にあるEthernetポート。
Intel AMTを使用する場合には、
必ず、「Intel AMT」と書かれた赤いポートにLANケーブルを差し込んでください。
Ethernetポートでは、「Intel AMT」が使用出来ません。
最初、間違えてEthernetポートに挿しっぱなしで設定しようとしてできなかったのは秘密です(笑)
【2.BIOSにて「Intel ME」「Intel AMT」の各種設定をする(操作される側の設定)】
それでは、設定していきましょう。
Intel AMTの環境を構築していくのは、とても簡単で、様々な方法があります。
a.設定ソフトを利用する
PIT-Configurator for AMT
Intel® Setup and Configuration Software (Intel® SCS)
b.Intel ME BIOSより設定する
今回は、【b】の方法で設定して行きたいと思います。
まず最初に、Intel ME BIOSを起動させます。
起動方法は、通常のBIOSとほぼ同様ですが、入力するキーが違います。
電源投入後、「Ctrl」+「P」を連打or押しっぱなししてください。
すると、このような画面が表示されます。
「MEBx Login」を選択。
パスワードの入力を要求されます。
初期のパスワードは、「admin」です。ネットではこのパスワードがなぜか隠されていることが多いので、疑問です(笑)何か問題があれば、連絡お願いします。即修正致します。
その後、新しいパスワードの入力を要求されます。
パスワードの条件は以下のとおりです。
1.8文字以上32文字以内
2.1文字以上の小文字アルファベット
3.1文字以上の大文字アルファベット
4.1文字以上の数字
5.1文字以上の特殊文字(記号)
※記号の入力は、特に注意が必要です。詳しくは、こちらのページ下部をご覧ください。
パスワード設定完了後、ログインされます。
そして、このような画面が表示されます。
次に、IPアドレス等の設定をしていくため、
この中の「Intel (R) AMT Configuration」を選択します。
「Network Setup」を選択。
「TCP/IP Settings」を選択。
「Wired LAN IPV4 Configuration」を選択。
DHCP Modeを「Enabled」にすれば、IPを自動割り当てしてくれます。
当環境では、自動割り当てで問題ないので、「Enabled」にしてます。
「Disabled」の場合です。
各種項目を入力します。
これで、Intel AMTで操作される側の設定が完了しました。
ね?簡単でしょ?
次は、操作する側のPCの設定です。
【3.Manageability Developer Tool Kit(MDTKを使用して各種設定をする(操作する側の設定)】
それでは、操作する側のPCの設定です。
操作する側のPCは、vpro対応の有無関係なく、
WindowsでMDTKが動けば大丈夫です。
今回は、BootcampにてWindows 7 Proを導入したMacBook Proを使いました。
はじめに、Manageability Developer Tool Kit(MDTK)をダウンロード・インストールします。
インストール完了後、MDTKを起動します。
同じようなプログラムがいくつかあるので気をつけてください。
このような画面が表示されます。
「Start」を押すと、指定したIPアドレス内のAMT実行可能PCを検索します。
なぜか、検出してくれなかったので今回は使用しないで、手動で設定します。
「File」→「Add」→「Add Intel® AMT Computer...」を選択。
青い枠には、AMTで操作するPC(操作される側)のIPアドレスを指定します。
赤い枠には、【2】の段階で設定した「Intel ME BIOS」のパスワードを入力します。
入力後、OKボタンで保存します。
そうすると、自動的にツリーにPCが追加されます。
赤い枠の中の「Connect」を押します。
「Web UI」の項目が「Enabled」になれば接続完了です。
ならない場合は、LANケーブルの差し込み場所・IP&パスワードの確認をしてみてください。
この時点で、BIOSの遠隔操作が可能になります。
ちなみに、「Web URL」をクリックするとシステムの詳細を確認することができます。
「Remote Control」のタブへ移ります。
このメニューで遠隔操作の実行を行います。
青い枠で囲んである「Take Control」押すと、
マシンがフリーズしてしまった時に使う、強制再起動や、シャットダウン。
BIOS起動やCDBOOTを行う際に使うものです。
今の段階だと、TakeControlの機能しか使えず、
肝心のOS操作が行えません。
OS操作ができるようにするには、下の赤枠「KVM」の矢印で指している▼をクリック。
KVMの設定ウィンドウが出ます。
KVM Stateを「Standard Port Only」
※パスワードは、今後使わないので設定する意味がわかりませんが、入力します。
※外部VNCソフトを使用する場合に使用します。
入力後、「OK」で保存します。
保存後に、上の画像のように「Enabled」の文字が出れば設定完了です。
【4.実際にIntel AMTを使ってみる!】
それでは、手始めにBIOSを操作してみましょう!
先ほど紹介した「Take Control」をクリック!
真っ黒な画面が出てきますが心配ご無用。
基本的に「Remote Command」の項目を使っていきます。
操作する側のPCの電源状況(ACPI)を確認するには、赤枠の部分をチェック!
ACPIは、S0からS5まで種類があります。
S0:電源ON状態
S1:低消費電力状態(プロセッサ・チップセット電源ON状態)
S2:低消費電力状態(プロセッサ・キャッシュ電源OFF・チップセット電源ON状態)
S3:スリープ(プロセッサ・チップセット電源OFF・メモリに状態保存)
S4:休止状態(プロセッサ・チップセット電源OFF・HDDに状態保存・ほぼ電源OFF)
S5:電源OFF状態
Remote Commandの項目について説明します。
Normal Reboot:普通のOSからの再起動を行います。
Power UP:電源投入
Power Down:強制終了(電源ボタン長押しみたいなやつ)
Remote Reboot:強制終了&再起動
Remote Reboot to Redirect Floppy:強制終了&フロッピーBoot
Remote Reboot to Redirect CD:強制終了&CD・DVDBoot
Remote Reboot to PXE:強制終了&ネットワークBoot
Remote Reboot to Diagnostic:強制終了&LinuxベースのCPU負荷テスト?
※「Remote Reboot to ~」で強制終了になるのは、電源ON時のみです
BIOSを操作するには、「Remote Reboot to BIOS Setup」をクリック!
「はい」を選択。
BIOSが起動しました!
それでは、次にOS起動!
「Take Control」から「Power ON」をクリック!
緑の枠で囲んである、「KVM Viewer Standard Port」をクリック!
コードを入力。
起動成功です!
【番外編.スマートフォンからIntel AMTを使ってみる!】
スマートフォンが急激に普及していますね!
そのスマートフォンでIntel AMTが利用できるのか?
検証して行きましょう。
今回、検証に使用した機種は、
この2機種。
スマートフォンでIntel AMTを利用するには、
1.独自のソフト等使わない
2.VNCに対応
この条件を満たしていれば使えると思われます。
では、iPhoneから!
検証に使用したアプリはこの2つ。
Pocket Cloud リモートデスクトップ
Mocha VNC
どちらも無料版で検証しました。
結果は、
どちらも撃沈でした。
Pocket Cloudの方は、パスワード入力後にアプリが落ちてしまい、PCを操作することができませんでした。
パスワード入力はできるので、もしかしたら、別のiPhone端末でやるとできるかもしれません。
Mocha VNCは、接続の時点でエラーが発生してしまいダメでした。
お次は、Android!
検証に使用したアプリは、また2つ。
Pocket Cloud リモートデスクトップ
Jump Desktop
こちらも無料版です。
結果は、
Jump Desktopにて動作しました!
Pocket Cloudは、またパスワード入力後にアプリが落ちました。
iPhone・Android両端末で同じような挙動を起こしているので、アプリ固有の問題かもしれませんね。
やりました!Jump Desktop
IP指定後、VNCパスワード(KVMの時に設定したパスワード)を入力。
操作される側に出ているコードを入力。
POST画面。
BIOSも操作OKです!
Windows起動中。
起動完了です!
技術の進歩って素晴らしいですね。
ですが、1つだけできないことがあって。
Intel AMT専用のアプリでないため、「Take Control」の各種機能が使えません。
そのため、BIOSを起動・強制再起動等をするためには「操作する側」のPCが必要になります。
リモートデスクトップやその他遠隔操作ソフトもいいですが、
Intel AMTは、既存の遠隔操作ソフトの欠点を補われている最高の遠隔操作技術ではないでしょうか?
ぜひ、皆さんも、vPro対応第3世代Core iシリーズとインテルQシリーズマザーボードを使って、Intel AMTに挑戦してみてはいかがですか?