外付けHDDの代わりにNAS、という時代が来た。
購入から使用開始に至るまでの設定が非常に簡単である。それでいて機能に不足はなく、「NASを始めてみようか」という人だけでなく、普通の外付けHDDの代わりに導入してもいいくらいである。
ただ、DropboxやOneDriveなどのクラウドサービスを「全部」これに変えてしまおう、というところまでには至らなかった。どちらも一長一短である。大容量がそのまま活かせる用途であれば、WD Cloudは非常に価値の高いものになるだろう。
しかし、何よりNASはネットワーク環境が重要であると思う。有線にしても無線にしても、速度が遅いもの・不安定なものではNASの便利さが死んでしまう。特にクラウド機能として使うには、速度の壁が多く存在する。
それにおいて既に品質のいいもの(もしくは用途として十分なもの)を持っているなら、非常に快適に便利に使える。今は無線LANも性能が高いものが増えてきたし、インターネット回線では10Gbpsのサービスも始まったほどである。そういう意味で、かつてに比べてNASの周辺環境が整ってきたと言え、「設定が簡単なNAS」が「総合的に使いやすいNAS」と同義になった。WD Cloudの持つ価値は、今でこそ、非常に高い。
導入は非常に簡単。
NAS専業メーカーのような多彩な機能・設定項目はなく、初めてNASを使う人でも悩むことなく簡単に使えるように設計されている。
箱を開けて入っているのは紙一枚。これに書いてあるURLにアクセスすると初期設定が始まる。とにかくこれに沿って進んでいけば、簡単にNASとして使用開始できる。
クラウドとしての使用開始も簡単。それぞれのデバイスに専用アプリをダウンロードして、初期設定で決めたIDとパスワードを入れればすぐに外からアクセスできるようになる。
ただ、それ以上の応用的な利用となると、複数に分かれた専用ソフトを使い分ける必要があるし、それ相応の専門知識が必要となる。それは仕方のないことだろうが、せめてソフトウェアは1つに統合できなかったのだろうか。
ほぼ、外付けHDDと同じように使える。
①WD Cloud―(有線LAN)―無線LAN機器―(無線LAN)―デスクPC
※無線LANの有線LANポートは100Mbps
エクスプローラでアクセスでき、動画を再生しても遅延することなくスムーズに再生できた。体感的に普通のハードディスクと同じように使えるレベルだ。
デスクPCからWD Cloudまでのアクセススピードを計測してみると、書き読みともに約11MB/s(ほぼ現状の有線LANの限界値)であった。本機のLANは1Gbpsまで対応しているが、単純に外付けハードディスクのようにNASを使うならば100Mbpsでも十分であり、導入へのハードルがとても低いと感じた。ネットワーク機器が貧弱だった5年位前ではとても考えられないことだ。
もちろん1Gbpsで繋げられれば、ファイルへのアクセスはよりスムーズになるだろう。大規模なバックアップの用途として使うならばちゃんと環境を整備したい。
②WD Cloud―(有線LAN)―無線LAN機器―(無線LAN)―タブレットPC
無線LAN機器~タブレットPCまでは直線15mくらい。デスクPCまでのDLNAでも全く問題なかったので、WD Cloudでも問題なくアクセス。PCを常時起動させておかなくても良くなりそう。
AndroidならWD Cloudへのアクセスは家の中でも外でも「WD Cloud」アプリなので簡単。ゆっくり動画鑑賞など。
③WD Cloud―(有線LAN)―デスクPC
※1Gbpsで接続
WD Cloudに内蔵されているHDD(WD20EFRX)のスペック上の速度は147MB/sなので、ベンチマークでこれだけ速度が出ていれば十分でしょう。1Gbpsでネットワークを組めば、本当に外付けHDDのような感覚で使えるようだ。
④WD Cloud―(有線LAN)―無線LAN機器―(有線LAN)―PLC機器―(電力線、L1相とL2相を跨ぐ)―PLC機器―(有線LAN)―ノートPC
※無線LANの有線LANポートは100Mbps、PLCは80Mbps。
PLCの通信が劣悪。速度が出ないうえ、安定もしていない。
測定に使ったノートPCも10年前の骨董品と言えるもので、インターネットの閲覧くらいである。いくらNASが高性能でも、これでは使い物にならない。
ちなみに筆者は5年位前に③の環境で某B社のNASを導入し、全く使い物にならずに即廃用となった過去がある。NAS自体も、1Gbps対応の製品だがリードがメーカー公称で30MB/sだった。
今回WD Cloudを導入して、NASもネットワークも高性能なものが当たり前になったと感じた。
パーソナルクラウドとしてはまだまだ。
①WD Cloud―(有線LAN)―無線LAN機器―(有線LAN)―ルーター―(ADSL回線―OCNモバイルONE)―スマートフォン
家の外からのアクセス。AndroidならWD Cloudへのアクセスは家の中でも外でも「WD Cloud」アプリなので簡単。
容量がそれほど大きくない文章ファイルなら普通にアクセスできるが、音楽や動画ファイルは待ちが発生し、見られないこともある。間違いなくADSL回線(実測)のせいだが、モバイル回線が弱い(実際にあまりスピードが出ていない)ことも原因にあるだろう。喫茶店などのWiFiからならだいぶまともにアクセスできるだろう。
近日、インターネット回線を変更するので、追記したい。
(特にモバイル回線による接続待ちが多い。)
「WD CloudはDropboxやOneDriveの代わりにはなるか?」
ワードやエクセルなどの文章ファイルに関しては厳しいと感じた。DropboxやOneDriveなどクラウドサービスには「Office Onlineとの連携」という強力な武器があり、ExcelやWordの編集をかなり高いレベルで実現してくれる。WD Cloudでも不特定のPCからファイルにアクセスすることはできるが、閲覧・編集はあくまでもダウンロードしないとできない。Androidは直接Excelアプリで開いて編集できるが、仕組みとしては「Android本体にダウンロードしてからアプリ開く/本体に保存してWD Cloudにアップする」という形になっているので、この連動が何かしらの要因で外れるとWD Cloudへアップされないことが発生した。
大きなサイズのファイルを扱うということもないだろうし、連携がない以上、わざわざ文章ファイルをWD Cloudに移して閲覧・編集する必要性は感じなかった。
おそらく一番適しているのは画像ファイルの保存先として使うことだ。
画像ファイルはスマートフォンなど携帯端末では閲覧オンリーだろうし、一方である程度のサイズがある。ストリーミングではないので持続的な通信は必要ない。
スマートフォンやタブレットで撮ったものを自動でアップロードするようにアプリで設定すれば、本当に世話なし。いつでもどこでも見られるし、容量も気にしなくていい。
音楽・動画ファイルは、筆者の環境ではほぼ無理だった。なにせインターネット回線がADSL(!)なので、ストリーミング再生するには速度が足りない。モバイル回線では通信の安定感もなく、これも一因となった。
ちゃんと速度の出るインターネット回線を用意できれば、大容量を存分に活かし切れる使い方ができると思う。
静かすぎる。熱も高くないようだ。
ファンレス設計。HDDが当たりなのか、動作音もほとんど聞こえない。さすがWD redである。PCに内蔵されているWD Greenとの差を凄く感じる。
飾っておきたい、ピュアなデザイン。
辞書のようなデザインで、安っぽさがなくなかなかいい感じ。本棚に置くとすごく馴染む。
◇WD Cloudの中身と使用方法。
・動画ファイル
内蔵HDDのバックアップとして。閲覧のみ。
・画像ファイル
スマートフォン、タブレットで撮った写真の保存先として。
・音声ファイル
SSDのバックアップとして。閲覧のみ。
・文章ファイル
Dropboxで使用していたものをこちらに移動。閲覧・編集。
◇アクセス元
・デスクトップPC - 自作PC
すべてのファイルへのアクセス、および一部ファイルのバックアップ元。
【CPU】インテル Core i7 6700
【CPUクーラー】サイズ 侍ZZリビジョンB
【メモリ】Patriot Memory DDR4-2133 8GBx2 PSD416G2133KH
【マザーボード】GIGABYTE GA-Z170MX-Gaming 5
【ビデオカード】ASUS STRIX-GTX750TI-OC-2GD5
【SSD】MZ-V5P256B/IT
【SSD】SANDISK SDSSDHII-480G-J25
【HDD】WESTERN DIGITAL WD25EZRX 2.5TB
【ケース】クーラーマスター Elite 361
【電源】Corsair RM550x
【無線LANインターフェイスカード】Intel Dual Band Wireless-AC 7260 for Desktop
・タブレット - Xperia Z3 Tablet Compact
家の内外からのアクセス。家の中では動画ファイルの閲覧、外では文章ファイルの閲覧・編集が中心。
家の中では無線LANで、外では公衆無線・スマートフォンのテザリングを使用。
・スマートフォン - SO-02G
家の外からのアクセス。文章ファイルの閲覧・編集が中心。
外では格安sim(OCNモバイルONE)・公衆無線(docomo)を使用。
・ノートPC - VGN-FT90S
使用することは想定せず。参考用。
【CPU】インテル Core Duo T2300
【メモリ】CFD製 DDR2-533 1GBx2
【SSD】CSSD-S6T128NHG6Q
◇ネットワーク機器
・無線LAN - PA-WF1200HP
有線LAN:100BASE-TX
無線LAN:IEEE802.11a/b/g/n/ac(デスクPCは 802.11ac/最大867Mbps で接続)
・デスクトップ用無線LAN子機 - Intel Dual Band Wireless-AC 7260 for Desktop
無線LAN:IEEE802.11a/b/g/n/ac(802.11ac/最大867Mbps で接続)
・PLCアダプタ 親機 - BL-PA100
有線LAN:100BASE-TX
通信速度:最大80Mbps
・PLCアダプタ 子機 - BL-PA304
有線LAN:100BASE-TX
通信速度:最大90Mbps
・LANケーブル
すべてカテゴリ6aを使用。
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