レビューメディア「ジグソー」

充実した中低域が広範囲に音楽を楽しく届けるポータブルスピーカー。BOSE SoundLink Mini Bluetooth speaker II

【本稿はGetNavi(2015年11月号)の『素玄目線』連動レビューです】

 

音楽を再生するとき、再生機器とスピーカー、あるいはヘッドホンやイヤホンとは一般的には有線で結ばれている。高音質で音の出口までシグナルを遅延なく伝えるにはやはりこの有線接続に勝るものはない。しかし、野外、いや室内においてもケースによってはこの有線接続というのが煩わしいことがある。

 

ヘッドホンやイヤホンをつけてなら、部屋の中を移動しながら音楽を鑑賞したいことも多いだろうし、スピーカーであっても普段スピーカーを設置していない部屋で音楽を聴きたいことだってあるがそんなとき都度結線するのはメンドウだ。

 

がっつり聴く際には有線接続でも、カジュアルに聴くときには結線不要ならありがたい、そう感じる人も少なくないはずだ。

 

そういうニーズを反映してか、最近ワイヤレス方式のスピーカーやヘッドホン、イヤホンが多い。以前はFMトランスミッターを用いたものや赤外線FM変調方式を採るものなどもあったが、最近は主流はBluetooth方式を利用したものがほとんどだ。ペアリングをする事で同一エリアで複数機器を使っても混線なく、障害物に強く、比較的高音質で音を届けるこの規格は、最近多くのスマホやDAPにはBluetooth機能が搭載されていることもあり急速に普及している。

 

Bluetoothは汎用の近距離無線通信規格であり必ずしも音に特化したものではなく、音を飛ばす規格としては若干遅延がある。そのため、映像と同期させたり、演奏のモニターに使うというのは適さない。しかし、音声だけの送信であれば問題とならない。

 

そのBluetoothを無線接続方式として用いたワイヤレススピーカーを使用する機会を得たのでレビューしたい。

 

今回使ったのはBOSESoundLink Mini Bluetooth speaker II。「SoundLink」はBOSEのBluetooth接続のスピーカーやヘッドホンに使われるブランド名。「Mini」はこのシリーズのスピーカーの中で一番小さいことを指す。まず届いたスピーカーを見て驚いたのがその小ささ。ネットの写真などではTV等に使うサラウンドシステムのセンタースピーカークラスのようなイメージを持っていたが、幅180mmで成人男性の手の上に完全に乗ってしまうほどの大きさ。奥行きと高さはそれぞれ59mmと51mmでおおよそ6cm□未満であり、手軽に持ち出せるサイズだ。

「掴める」大きさ。

重さも0.67kgと決して「軽く」はないが、野外での設置などを考えると風等で動いてしまうほどの軽さはむしろ欠点となるし、かといって持ち出すのが億劫なほど重くもない。絶妙な重さ。底面は硬質ラバーのような材質で滑り止めを兼ねている。ボディもアルミの質感が良く、それでいて表面はサンドブラスト加工のようなザラザラの手触りの加工がされていて持ち出すことによる傷つきなども最小に抑えられそうな表面処理。フロントに入れられた「BOSE」のロゴも主張しすぎず、でも知っている人にはアピールする。

 

順序が逆転したが付属品と梱包に触れておこう。梱包は洒落た造りになっている。まず筒状の外装をとると上面に“Our Commitment to You”と描かれたBOSEの製品全体の指向性ともいえるものが書かれている「蓋」がある。それを開けると「蓋」の裏にはセッティングの概略が書かれていて、緩衝材を取ると本体とご対面。面白いのは箱の下側に引き出しのような構造でひとまとめにされた付属品が入っているという洒落た造りなっていること。

外箱の筒をスライドさせると...

 

一番上に書かれているコミットメント

 

蓋の裏はセッティングの流れ

 

青い箱の引き出しに付属品が纏められている。

 

充電クレードル、専用電源アダプター、USBケーブルと説明書類

 

同梱されているアイテム達

 

SoundLink Mini Bluetooth speaker IIの操作系はトップに纏められている。

ボタンは5つのシンプルなモノ。

 

ゴムコーティングされたボタンは、電源、Bluetooth、音量上下のボタンに加えて中央にマルチファンクションボタンがあるだけで、かなりシンプル。電源とBluetoothはそれだけの機能だが、音量+-は言語選択の送りも兼ねるし、マルチファンクションボタンは「決定」ボタンであるとともに、iPhoneのワンボタンリモコンのような働きもする。

側面には有線接続用の入力端子もある。

 

端子としては底面に充電クレードルとの接点があるとともに、向かって右側面に充電用Micro-USBポートと3.5mmステレオジャックの外部入力端子がある。このスピーカーの真骨頂は当然Bluetoothによる無線接続だが、その機能がない機器のスピーカー出力にも対応できるワケだ。

 

その隣にあるMicro-USBポートは充電用のもの。これを使えばのSoundLink Mini Blueooth speaker IIは単体でも使用することができるのだが、充電用のクレードルが付属するので、それに充電用USBケーブルをつないで定位置に置き、本体のみを持ち歩くようにした方が利便性が高い。このクレードルは幅16cmのコンパクトなものでSoundLink Mini Bluetooth speaker IIで覆い隠されてしまうような大きさで邪魔にはならない。

 

スピーカーとクレードルの接点は複雑ではなく、はめやすい

 

ただこのクレードルの設計、唯一難点がある。クレードル側の充電用Micro-USBポートは背面についているのだが、付属のUSBケーブルのプラグ部分が大きく、かなり後ろに出っ張ってしまうのだ。プラグ根元の曲げによる損傷防止の機構の部分まで入れると約3cm後ろまで硬い部分が出っ張ってしまう。

 

後ろへの出っ張りは大きい。

 

本品のコンパクトさを活かして液晶ディスプレイ下に設置したり、壁につけて設置したい場合はこの3cmの出っ張りはかなり邪魔だ。

ディスプレイの足と干渉して後ろにつけられない。

 

クレードルの内部にはあまり多くの配線などが隠されている様子はないので、USB端子を奥に入れるような形の設計の方が設置の自由度を高められるのではないかと考える。

これぐらい「ざくり」を入れられれば良かったのだが。

 

あと本品に関しては詳しい使用スピーカーの諸元が得られていないが、外観から見る限り先代のSoundLink Mini Bluetooth speakerと同様な構造と見られ、本体前面左右のステレオスピーカーと中央前後に対をなす形でパッシブラジエーターが配されていると思われる。

前面:左右の端にスピーカー中央にパッシブラジエーター

 

背面:裏にもパッシブラジエーターが配される

ステレオスピーカーなのに筐体としてはわりと小さめのものがひとつという構造、そして裏にもパッシブラジエーターを持つ形式のワイヤレススピーカー。実際どんな音を聴かせるのだろうか。

 

使用するには、まず充電を行う。本体を充電クレードルに載せて⇒USBケーブル⇒専用電源アダプターでコンセントにつなぐか、本体に直接USBケーブルを接続するかのどちらかの方法で充電を行う。

 

充電があらかたできたらセットアップに入る。最初に言語選択だ。電源スイッチをオンにすればすぐこのモードに入る(一度設定すると再度は聞いてこない)。音量の+ボタンを押すごとに11言語(英語⇒スペイン語⇒フランス語⇒ドイツ語⇒中国語⇒日本語⇒イタリア語⇒ポルトガル語⇒オランダ語⇒ロシア語⇒ポーランド語)が切り替わるので、使用する言語のところで中央のマルチファンクションボタンを押すと言語設定される。

 

その後引き続き右端のBluetoothマークが点滅するので、ここでiPhone等の接続したい機器をBluetooth機器検索モードにしてやれば、ペアリングが終了する。説明書によれば、8台までのBluetooth機器を接続できるため、スマホとDAPを繋いだり、家族でシェアする事もできる。なお、連続してペアリングする際はスピーカー本体のBluetoothボタンを再度押す必要があるのは注意が必要だ。

 

今回iPhone 6 Plus

Suface2

 

を接続したが、その制御としては再生機器の切替操作が必要なわけではなく、再生機側がBluetoothモードになってさえいれば、「その時鳴っている」機器の出力がスピーカーから出音する。この時複数の機器を同時に再生させても混線はなく、「先に再生開始した機器」が優先の「先勝ちスタイル」。ただし、その機器が再生停止すると速やかに後発の再生機器の音に切り替わる。

 

このときの再生音量は再生機器側で決定されるようで、スピーカーの音量を固定して切り替えても再生機器によって音の大きさが全く違う。Bluetooth接続なので本体の音量ボタンを操作すると再生機器側の音量スライダーも動くのだが、今回用いた機器ではSurface 2の方が音量が小さく、Surface 2側が最大音量表示でもまだiPhoneより音が小さい。ただこの状態でさらにスピーカー側の「+」ボタンを押すと、まだ音量が上がるので最終的な音量としてはかなり大きいところまで上げることができる。一方iPhone 6 Plusの方は、スピーカー側をSurface2のときと同じ音量のまま、iPhone側の音量スライダーを最大にすると耐えられないほどの大音量となるので、このあたりが標準化されていると便利だと感じた。

 

またこのとき感じたことだが、音量ボタンを含む各ボタンは、ゴムコーティングされているが「押した感」に乏しく、やや慣れが必要な感じだ。また押し込み量も深くて素早く操作することも難しいので、「再生機器を切り替えたら爆音が鳴ったので素早く本体で音量調整したい」というのには操作性が良くない。かといって、スピーカーの電源ボタンを押してオフしてしまうと当然スピーカーからは音が出なくなるが、ペアリングしてある側の再生機器のスピーカーが鳴り始めてしまう。これらを解決するには本体側にミュートボタン(機能)があった方が良かったかも知れないと感じた。

 


まず室内で音質を確認した。PCデスクの上、正面のディスプレイの下にSoundLink Mini Bluetooth speaker IIを充電クレードルに載せた状況で設置し聴いてみた。位置的には正対、耳より下に位置する感じのスピーカーからの出音を50cmくらいの距離で聴く感じ。

こういう配置

 

耳からの角度的には45度くらい下方向のスピーカーからの出音は、エネルギッシュで塊感がある感じ。低域は重低音はないものの、中低音程度からはガッツリとあり、机の「鳴り」も含めて弾む低音を紡ぎ出す。静かな室内で近接して聴くと、最重要な中域から中高音域にかけても明瞭で明るい音がダイレクトに耳に届く感じ。高音はスピーカーからの角度が急なので少し落ちている。これは座って聴いているときはあまり感じないのだが、立って机から少し離れるとスピーカーとの角度が緩和されるため、高音が伸びる傾向が感じられるのでそうと気づく。一方音像としては広がりはさほどにない。さすがに左右20cmも離れていないスピーカーだと、それによって「ステレオ感」を表現するのは難しいようで、左右パンしているようなSEだと鳴っている位置が左右に動くのを感じられるが、一般的なステレオ録音では各楽器の定位を分離良く聴き取ることはできない。カタマリで攻めてくる音、という感じだ。ただWebラジオなどの聴取は声の領域が明瞭で聴き取りやすく、ステレオ感などは不要であるため小音量でも聴取が可能だった。

 

こういった特性を持つポータブルスピーカーを野外に連れ出してみた。イジワルに?スピーカーにとっては条件が悪いシチュエーションを検証した。それは騒音の大きな広い場所(空港駐車場)、水の流れる音が絶え間ない水辺(郊外の田んぼのそば)、音が吸収される木が茂る公園。これらは一般的に「良い音で音楽を楽しむ」には厳しい場所。ここでJ-POPからオーケストラ曲、ジャズにへヴィメタルまで各種ジャンルの音楽を流し、「音を楽しむ」ことができるかを検証した。

 

まず、空港駐車場はアスファルト敷きの遮るものがほとんどない場所。70cmほどある照明灯の支柱の台座に置いて検証した。ここでのポイントは広い空間で「音が散らばってしまうかどうか」。この遮るものがあまりないところでSoundLink Mini Bluetooth speaker IIの周りを半周するような感じで音楽を聴いてみた。

 

さすがに正面と裏側では音が違うが、正面側はかなり広い範囲まで「音楽してる」ことがわかる(動画の音はコンパクトカメラのモノラルマイクで録っているので、実際より音質的にはかなり悪化しているが、ニュアンスは良く再現されている)。裏面に開口するパッシブラジエーターのおかげか、裏に回っても音楽そのものは聴き取れるが、さすがに高域は著しく減衰するので「楽しむ」という感じではない。ただ前面側は正面のスイートスポットは高域が「届く」ため高音質だが、そこからやや外れた斜めの位置でも中高域中心にあまり「こもる」ことなく、十分音楽が楽しめる。「拡散」というと印象が悪いが、中高域以下は広い指向性を持つスピーカーだと感じた。

 

次にキャンプやBBQであるシチュエーションとして絶え間ない水音がする「環境騒音が大きい場所」。水田の近くを流れる用水路縁での再生。

奥に見える用水は手前から段差を持ってかなりの速度で流れており、騒がしい

環境騒音で低域や高域はマスクされる形になるが、本スピーカーの真骨頂である中域は突破力?があるエネルギッシュな音色で音を届ける。正面側では中域の充実で意外に音量を上げなくても音楽を楽しめたのは、キャンプなどで隣のグループに迷惑をかけないという点でもよいかもしれない。またこの高域がマスクされるような環境では、駐車場のときより前面背面の音質の差が大きくなかったので、音量を上げればより広いエリアで音楽を楽しむことができる。

 

最後に樹木が多い公園。青々と...というより、うっそうと生い茂る樹木に囲まれた小さな広場でのリスニング。ここでは木々に音が吸収されてしまわないかという点の確認。スピーカーからかなり離れて聴いてみた。また、屋外で使うスピーカーに求められる耐候性をテストするため、ボディ表面に温度計

のセンサーを貼り付け、異常が出ないかも同時に検証した。

夏(8月)の暑い日で35℃以上気温があった

 

音に関しては面白い現象が見られた。今まで空港は堅いコンクリート製の照明灯の台座、用水路そばではその用水路の溝を形作るコンクリートの枠に置いたのだが、今回中が中空と思われるプラ系素材のベンチにおいてみた。すると低域が非常に弾む。ベンチも一緒に「鳴って」いる感じで、ベースのランニングなどはかなり明瞭(公園が比較的静かだったのも有利に働いているとは思われるが)。また聴いたポジションがスピーカーの位置より一段下がった位置だったので、耳に近い高さで聴くことになった。そうすると正面で聴けば5m以上離れても高音が減衰せずきちんと届いた。シンバルの響きやメタルパーカッションきらびやかさも聴き取ることができ、かなり音の遠達性はある。ただその高音が「堪能」できるエリアはさほどに広くない。

 

しかし真正面をはずれても中高域以下はきちんと届き、「拍」が取りやすいので、ストリートダンス等の練習などには最適だ。手元にスマホやDAPを置き音を飛ばして練習、間違えたところや繰り返したいところは手元の操作で曲を戻したり進めたりすることができる。

 

同時に確認した温度の検証では、直射日光に照らされたベンチ周囲の気温は38℃、黒いボディのSoundLink Mini Bluetooth speaker IIの表面温度は44℃を超える状態にまでなったが、20分程度のリスニングでは問題が起こることはなかった。...スピーカー側には。実は同じ位置に置いておいたiPhoneの方が先に音を上げ、温度異常で操作を受け付けなくなった(音楽再生も強制終了した)。検証の本筋ではなかったが、再生側機器とSoundLink Mini Bluetooth speaker IIの耐熱性の差が判明し、この意味でもスマホやDAPを別の環境が良いところに置くことができるワイヤレスシステムのメリットがあぶりだされた。

 

なお、ポータブルスピーカーの性能として重要なバッテリーの保ちだが、満充電の状態から約1時間、野外で結構な音量で使ったがSoundLink Mini Bluetooth speaker IIの自己申告では「充電90%」(電源ボタン長押しでバッテリー残量が読み上げられる⇒上のベンチ上での再生動画参照)。カタログ上は「通常音量で10時間の連続再生が可能」ということなので、ほぼ公称通り。これなら1日の外出ではバッテリー切れの心配はほぼないだろう。

 

今回幅広い音楽ジャンルを検証した。

対象曲は、MISIAの高品質ベスト“Super Best Records-15th Celebration-

 から最近のライヴアレンジに近いように音がぐるぐるパンするような刺激的な音像処理が入った「INTO THE LIGHT (15th ver.)」、ちょっと古めの王道歌謡曲路線のイメージがある人気ゲームデレマスの追加キャラ新田美波の持ち歌「ヴィーナスシンドローム」。

ボカロ曲なのにあまりトリッキーな曲調ではなく正統派JPOPという感じの曲を創る40mPの2ndアルバム“小さな自分と大きな世界

 

から無機質なシーケンスパターンが印象的な人気曲「トリノコシティ」に、一転してハードなへヴィメタル、古のメタルバンドVOW WOWから高速ハードメタル「SHOT IN THE DARK」。

古い録音だがライヴとは思えない完璧な演奏でフュージョン界に燦然と輝く名盤、CASIOPEAの“Mint Jams

から彼らの代表曲「Asayake」、3ピースのジャズは大野雄二トリオが奏でるムーディな曲、TV版ルパン三世の初期のエンディング曲「ラブ・スコール」のジャズアレンジ、「Love Squall ~ラブ・スコール」を“LUPIN THE THIRD “JAZZ” ”から。

最後にオーケストラ曲として、「正統派」ではないが新しい録音で各楽器の「たち」が良くわかる“第二次艦隊 フィルハーモニー交響楽団

 

から勇壮な「飛龍の反撃」といった7曲を選択した。

 

押し出しが良く楽しい音のSoundLink Mini Bluetooth speaker IIに、ノリノリの「INTO THE LIGHT (15th ver.)」は合うかと思ったが、この曲の高域までファーッと広がるようなSE、ぐるぐると左右を駆け巡るサンプリングヴォイスのあたりがこのスピーカーだとあまり再現されず、やや印象が違う感じに。ただぶんぶん唸るシンベとハイハットの刻みが気持ちよく、ノリはいい。正対して聴くとキッチリと高音域まで伸びるので、ダメなワケではないが聴く位置が限定される。

 

比較的新しい打ち込み曲「ヴィーナスシンドローム」もギターのアルペジオやエレピ風のシーケンスパターンは左右を駆け回るのでやはり正面が良いが、「INTO THE LIGHT (15th ver.)」より音の分布的に高音が伸びておらず中域中心の音作りなので、正面から外れた場合の許容範囲は広い。

 

トリノコシティ」はやや軽め(音域が高い)のベースと複雑に絡むピアノの和音中心のバッキング、ボーカロイドを使いながらも中域中心の音造りが強い構成で、このスピーカーの良いところが出る。人声に比べると線が細くバックに埋もれがちなボーカロイドのメロディラインがこのスピーカーの元気が良い音で際立つ。

 

古めのヘヴィメタル「SHOT IN THE DARK」は録音的なものか、既に30年経とうとしているCD製作の年代的流行か、本当はジャンル的には低音域が強くあるべきがやや腰高の中域に集まった音色で作られている。上にも伸びきっておらず、中低域~中高域までの分布でやや高音寄りというのが元音。そのためこのスピーカーのオイシイところに音が集中しているので、広いエリアで曲を楽しむことができた。...あと試聴中に邪道な使い方も発見。この曲、あえて「裏側」から聴く。どのみち元音に高音域はないのでそこは諦め?、裏のパッシブラジエーターからも聞こえる中高音がいいバランスになって「こもる」感じがなくなるまで音量を上げると、低域中心の出音になりガンガン来る。

 

古めの録音でライヴ録音なので音数も少ない「Asayake」は、BGM的に聞くレベルで良いなら広いエリアで楽しむことができる。ただトリッキーなシンバルプレイの妙やラストの高音のキラキラしたキーボードの音などは真っ正面でないと聴き取れない。

 

大野雄二の奏でる優しいピアノが印象的な「Love Squall ~ラブ・スコール」は、ピアノのタッチが弱いところは少し埋もれる感じになるし、ブラシのニュアンスはやや大味になるが、徐々に弾んでいくウッベのうねりとピアノの左手は充分「出る」領域である中低域にさしかかるので、グルーヴィで楽しい。

 

音数の多い「飛龍の反撃」は各楽器の分離は明瞭でなく、コントラバスやティンパニの地を揺るがす迫力も感じられないが、マーチング風に絶え間なく鳴るスネアのキレが良く、中低音くらいからは塊感があって勇壮なこの曲を盛り上げる。

 

全般に中域の明瞭さとそれを下支えする中低域の充実が感じられる押し出しの良い音でポップ系~ビート系の楽曲が最適。アコースティック系やオーケストラ系のニュアンスを聴き取るのはやや重荷だが中域の充実は周囲の雑音に紛れず、音楽を楽しめる。一方音が動くような効果音が入った曲、高域でキラキラしたような音が広がるような曲はそれを堪能できるエリアはあまり広くない、という音色傾向だった。

 

SoundLink Mini Bluetooth speaker IIはコンパクトな大きさと適度な重量のため持ち歩きには最適なポータブルワイヤレススピーカーだった。ペアリングも簡単で気軽にスマホなどの外部スピーカーとして使える。

 

音色は、正確に音を伝えるようなモニター的な性格ではなく、中~中低域を中心にエネルギッシュに持ち上げ、いい意味での「脚色」をむしろ許容して音を楽しく届けることに注力しているような傾向

 

外に持ち出すことも多いスピーカーとしてはいつも定位置で聴けるとは限らないが、(曲にもある程度左右される面もあるものの)リスニングポジションが比較的自由なのも魅力。ほぼスピーカーの真横という位置はもちろん?、曲の種類によってはスピーカーの裏側でも大きな破綻のない音で曲が楽しめた。一方耳の位置(高さ)を合わせて正面に位置して聴くとかなり遠方まで繊細な高音を届ける

 

唯一気になったのは充電クレードルとUSBケーブルの接合部で、かなり後ろに大きめで硬いUSBプラグ部分が飛び出すこと。この影響でクレードルの後ろに4cm近い空間がないと設置ができない。特にコンパクトさを活かして液晶ディスプレイの下に設置して、充電しつつ室内のスピーカーとしても使おうという向きには適さない。本体側面にはUSBポートがあるのでそちらを使えば設置の自由度は上がるが、接合が容易なクレードル上で充電しながらのリスニングに節約を受けるのは改良を望みたい。

 

今回試用したBOSE SoundLink Mini Bluetooth speaker IIは出先や普段スピーカーを設置していない部屋でのカジュアルリスニングに最適な、コンパクトなボディと比較的広いリスニングエリアを持つワイヤレススピーカーだった。騒音の中でも音楽の核を届けるそのキャラクターはキャンプなどの音楽鑑賞などに最適だし、遠達性が高く中域が充実していて聞き取りやすい音質は、屋外での少人数のダンスレッスン、小規模な集会でのPAにも使えそう。使い方はアイデア次第?

 

アクティヴに人生を楽しみたい人の友に!

【仕様】
外形寸法:180(W) x 51(H) x 59(D)mm
質量:0.67kg
カラー:カーボン、パール
電源電圧:AC 100V-240V (50/60 Hz)
外部音声入力:3.5mmステレオミニジャック×1
防磁対応:非防磁
付属品:充電クレードル、専用電源アダプター、USBケーブル(1m)

BOSE SoundLink Mini Bluetooth speaker II 商品紹介ページ

コメント (6)

  • れいんさん

    2015/09/24

    とっても良い音を聴かせてくれるなぁと
    関心したのですよ。
    秋葉原のとある専門店で。
    しかし
    _l ̄l○lll ガクッ
  • cybercatさん

    2015/09/24

    音はまとまってていいな、元気いいし。
    しかし?
  • ウルカラさん

    2015/09/25

    個人的の考えですが、重低音は強すぎて長時間を聞くと疲れ易いです。
    見た目より重いで、携帯性はチョットですね。
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