レビューメディア「ジグソー」

手軽にOCできるCOOLなPentium G3258!


今回のレビューでは、Intel Pentium G3258のパフォーマンス及びオーバークロックによるパフォーマンスアップのレビューをメインとします。
基本的なベンチマークを標準状態から、オーバークロックのステップとともにパフォーマンスアップをレビューします。
また、Pentium G3258に内蔵のインテルHDグラフィックスは、インテル クイック・シンク・ビデオに対応しているため、HD動画のエンコードを行い、オーバークロックの前後で比較を行います。
Pentium G3258は、クロックこそ3.2GHzと高いのですが、デュアルコアでハイパースレッディングにも対応していません。
そこで、クロックは、1.9GHz(ターボブースト時2.9GHz)と低いのですが、ハイパースレッディングに対応した、Core i5 4300Uを搭載したSurface Pro 3と、動画のエンコード,デジカメのRAW現像,ハイレゾオーディオのMP3変換で比較を行いたいと思います。
それでは、先ずインテル Pentium G3258の紹介から始めたいと思います。

パッケージは、Pentium発売20周年のタグがデザインされたもので、ピン足のPentiumプロセッサーがデザインされています。
特に倍率ロックフリーを表現するExtreamとか型番末尾のK,Xといった表現はありませんが、このCPUは、倍率ロックがかかっていないため、対応マザーボードでオーバークロックが可能です。


バンドルされているCPUクーラーは、Core i7 4770Kにバンドルされているものと一緒だと思いますが、今回はオーバークロック前提なので、このCPUクーラーはパッケージに戻します。
パッケージの中には、Core i7 4790K同様マカフィーのLiveSafeアプリケーションの試供に関するドキュメントとCPUのマニュアルが同梱されていて、マニュアルの裏面には、Haswell Refresh Pentiumロゴのシールが付いています。


Pentium G3258は、22nmプロセスルールで設計された、Haswell Refresh世代の最新CPUです。
動作周波数が最大3.2GHzのデュアルコアで、ハイパースレッディングには非対応なので、スレッド数も2となります。
最大TDPは53Wで、CPUに内蔵されたインテル HDグラフィックスは、350MHz-1,100MHzで動作します。
最大3台のディスプレイに対応しインテル クイック・シンク・ビデオにも対応しています。


今回のレビューでは、下記のようなシステム構成としました。
マザーボード ASRock Z87M OC Fomula
メモリ シリコンパワー DDR3-1866 8GBx2
電源 SilverStone 850W
CPUクーラー ENERMAX 12cmトップフロー
SSD インテル 730Series 480GB SSD
OS Microsoft Windows 8.1Pro x64 DSP
Pentium G3258は、市場価格で8,000円前後と比較的リーズナブルなCPUなので、メモリや電源も一般的なものとしました。

CPUクーラーに関しては、Pentium G3258が、どの程度の発熱量かわからないので、取り敢えずTDP200W対応のトップフロータイプにしました。

SSDは、前日のプレミアムレビューでレビューさせて戴いているものを使いました。


マザーボード ASRock Z87M OC Formulaは、Pentium G3258に対応したUEFI BIOS バージョン1.8としました。

Pentium G3258が問題なく認識されています。
先ずは、デフォルト状態でベンチマークテストを行いました。

このスコアに最も近いのは、私が持っている中では、SONY VAIO Duo11Microsoft Surface Pro 2Microsoft Surface Pro 3辺りです。
いずれにしても、Ultrabookやタブレットの現行品程度のパフォーマンスはありますので、WEB閲覧やメール,Microsoft Office関連のソフトウェアを使うのであれば快適に操作することができます。




グラフィック系のベンチマークでは、何れも低いレベルのスコアとなってしまいました。
3D MARKでは、最下位のOffice Computerというカテゴリーに分類されました。
オンラインゲームなどを行う場合は、外付けのグラフィックボードを追加した方が良さそうです。


まず、マザーボードのUEFIに内蔵されているオーバークロックの設定を見てみると、Pentium G3258のデフォルトである3.2GHzのクロックを、3.8GHz,4.0GHz,4.2GHz.4.4GHzにクロックアップするセッティングが内蔵されていたので、先ずは4.4GHzにクロックアップしてみました。

このマザーボードは、Core i7 4770Kを使ったオーバークロックも行ったのですが、Core i7 4770K用に用意されていたプリセットでも最高クロックのものは正常動作できませんでした。
今回のプリセットも、4.4GHzは赤文字になっていて、危険な香りがします。
ところが、今回は、あっさりWindows 8.1が起動しました。
起動したからといって、ちゃんと動作するかは別物です。
本来であれば、相当時間のストレステストを行いながら、設定を詰めるのですが、今回はレビューで行う作業自体がある程度のストレステストになることと、レビュー期間が短いこともあり、いきなりベンチマークを走らせました。
WinScore Share,CrystalMark 2004R3,CineBench R11.5,CineBench R15,3D MARK Advanced Edition全てがあっさりと完走しました。





4.4GHzにオーバークロックを行い、ベンチマークを走らせる際に、HWMonitorでCPUの温度を測定していましたが、最高でも70℃程度と、まだまだ余裕のある温度でした。
また、ベンチマークを終了すると、直ぐに30℃台前半に戻ります。

そこで、V-CORE電圧を徐々に上げながらオーバークロックの倍率を上げていきます。
温度的に余裕はあるものの、1.5Vの電圧を掛けても、残念ながら4.8GHzは、OSの起動すらできませんでした。
そこで、4.7GHzに戻して、各種ベンチマークを走らせたところ、4.7GHzでは、幾つかのベンチマークが完走できず、ブルースクリーンになってしまいました。

そこで、4.6GHzまでクロックを下げて、各種ベンチマークが完走できるか確認しました。





これまでのオーバークロックでのスコアを纏めてみると、




当然といえば当然なんでしょうが、オーバークロックによりCPU関連のパフォーマンスはクロックアップに応じてリニアにスコアが上がっているのですが、グラフィック系のスコアが伸びません。
そこで、CPUのクロックは4.6GHzに固定して、CPU内蔵のインテル HDグラフィックスをクロックアップしてみることにしました。
Pentium G3258内蔵のインテル HDグラフィックスは、デフォルトでは350MHz~1100MHzで動作しています。
ASRock Z87M OC FormulaのUEFI BIOSでは、グラフィックスのオーバークロックもデフォルトで、1400MHz,1500MHz,1600MHzの設定がありました。

先ず、1500MHzにクロックアップして様子を見てみました。





思いのほか簡単に動作してくれました。
ベンチマークのスコアを見ると、やはりグラフィック系のスコアが伸びています。
そこで、CPU同様、GPUに掛ける電圧を盛って、徐々にクロックアップしてみました。
Windowsが正常に起動できる限界が、1750MHzでしたが、この設定では、CPUのクロックアップ同様、幾つかのベンチマークが完走できませんでした。

内蔵グラフィックスのクロックを1650MHzに設定して再度ベンチマークを走らせました。






これだけオーバークロックしても、CPUは77℃ともう少し余裕がありそうだったので、再度GPU電圧を少し盛ってみました。
すると、1700MHzでベンチマークを完走することができました。





私の環境では、CPU 4.6GHz , GPU 1.7GHzへのオーバークロックが、ベストパフォーマンスとなりました。
今回は、単純に高クロックを狙ってオーバークロックするのではなく、オーバークロックのビフォー/アフターで差が感じられる実用的なオーバークロックを目指してみました。
ベンチマークを走らせてもCPUは、80℃位なので、普段使いにはとても静かなPCです。



WinScore Shareでは、ウィンドウズ エクスペリエンス インデックスの値が、CPUで7.1が7.4まで向上し、ゲーム用グラフィックスは、5.3が、6.0まで向上しました。

CrystalMark 2004R3では、CPUクロック向上に伴って、CPUパフォーマンスが、GPUクロックの向上に伴ってGPUのパフォーマンスがリニアに上がっています。熱による頭打ちを余り感じられません。

CineBench R15においても、CPU/GPUのクロックアップに伴い、スコアはリニアに伸びています。
特に、シングルコアの値は、他の上位CPUを凌駕するパフォーマンスで、高クロックで動作するCPUの特性が反映されていると思います。

3D MARKでは、CPUのクロックアップによるスコアアップは僅かでしたが、GPUのクロックアップで大きくスコアを伸ばすことができました。

Pentium G3258は、デフォルト状態でもそこそこのパフォーマンスを発揮できるコストパフォーマンスの高いCPUですが、Pentium 20周年アニバーサリーモデルに相応しいオーバークロック耐性の高いCPUでした。
トップフローの空冷CPUクーラーだけで、CPUで144%.GPUで155%もクロックアップできたのですから驚きです。
デュアルコアでハイパースレッディングも非対応なので、CPUのトータルパフォーマンスでは不利ですが、シングルコアのパフォーマンスは、CineBenchのスコアを見る限りオーバークロックすれば、Core i7 4790K(4GHz)のスコアを超えるほどのパフォーマンスを持っています。
また、発熱量が少ないので、オーバークロック状態でもシステム自体比較的静かなシステムにすることができます。


3DMARKベンチマークの中で、一番処理負荷が重いFire Strikeを、Pentium G3258のデフォルト(3.2GHz)とオーバークロック(CPU:4.6GHz,GPU:1.7GHz)状態で比較してみましたが、スコアの差ほど表示に大きな違いはありませんでした。


Pentium G3258に内蔵された、インテル HDグラフィックスは、インテル クイック・シンク・ビデオに対応しています。
インテル クイック・シンク・ビデオは、対応ソフトウェアを使うことで、動画の変換やエンコード等で、インテルHDグラフィックスをハードウェアアクセラレータとして使用できる機能で、CPUでのソフトウェア処理に比べて高速で処理できる特徴があります。
私の環境では、インテル クイック・シンク・ビデオ機能を使ったエンコードは、2パスエンコードに対応できていないので、画質とエンコード後のデータ量を細かく設定することはできませんが、スマホ閲覧用にエンコードするには、画質も充分で手軽にエンコードすることができます。
個人的にも動画エンコードの機会が増えてきているので気になるところでした。
今回は、アナモルフィック変換されたMPEG2 HD動画(12Mbps 55分 約5.1GB)をCPUパワーだけでエンコードする、x264コーデックでH.264 AVC フルHD 4Mbpsの動画に再エンコードする時間と、インテル HDグラフィックスのインテル クイック・シンク・ビデオ機能を使い、同じH.264 AVC フルHD 4Mbpsの動画にエンコードする時間を測定し、更にインテルHDグラフィックスをオーバークロックした際のエンコード時間を測定しました。
エンコード用のソフトウェアは、Pegasys TMPGEnc Video Mastering Works 5を使用しました。

スマホ用なので、インタレス解除,音声ボリュームを250%に設定し、解像度はフルHDですが、ビットレートは4Mbpsに設定してあります。
結果としては、インテル クイック・シンク・ビデオ機能を使った方が圧倒的に短時間で処理が終わり、GPUのオーバークロックも非常に効果的であることがわかりました。

Pentium G3258のCPUだけでエンコードをすると、映像の実時間の2.5倍程の時間が掛かりますが、インテル クイック・シンク・ビデオを使ったエンコードでは、CPUのクロックが標準状態(3.2GHz)でも、映像の実時間の約半分の時間でエンコードが可能で、今回のようにCPU/GPU共にオーバークロックすると、実時間の約1/3の時間でエンコードすることができました。


Intel Pentium G3258は、オーバークロック耐性も高く、コストパフォーマンスの高いCPUであることは分かりましたが、ベンチマークテストのスコアを見ると、前述のように、UltrabookやSurface Pro 2と同程度のスコアでした。
オーバークロックで、クロックを上げると、必然的に排熱量が増え消費電力も増えます。
オーバークロックを行うことは、実用的なことなのかを確認したいと思います。
そこで、私が普段PCを使って比較的CPUに負荷が掛かる作業を、Pentium G3258を使ったデスクトップPCと、最新のタブレットPC Microsoft Surface Pro 3と比較してみました。
比較を行うのは、HD動画エンコード(前述と同じコンテンツ),高画素デジカメで撮影したRAWデータのJPEGエンコード,ハイレゾ音源(PCM)のMP3変換の3種です。
HD動画のエンコードに関しては、前述のHD動画エンコードを、Surface Pro 3でも、CPUパワーだけでエンコードするx264コーデックでのエンコードとインテル HDグラフィックス 4600のインテル クイック・シンク・ビデオ機能を使ったエンコードを行いました。
Surface Pro 3に搭載されているインテル Core i5 4300Uプロセッサーは、モバイル向けの低電圧プロセッサーではありますが、ターボブースト機能もあり、最高2.9GHzで動作し、Pentium G3258と同じデュアルコアではありますが、ハイパースレッディング機能を搭載していて、アプリからは4スレッドで動作するCPUです。


結果は、Pentium G3258の圧勝です。さすがに、エンコード中の消費電力はSurface Pro 3の方が優秀ですが、エンコード時間という観点では、圧倒的にPentium G3258に分がありました。
Pentium G3258のデフォルト状態ですら、Surface Pro 3の約半分の時間でエンコードが終了しました。
特にオーバークロックを施したPentium G3258のパフォーマンスには驚きでした。
比較対象が、例えモバイルと云えども Core i5 また、インテル クイック・シンク・ビデオを使うグラフィックスも、Pentium G3258に搭載されているグラフィックスよりも格上のHD4600を搭載しているので、個人的には、互角の勝負ができれば充分と考えていました。

次に、デジカメ Nikon D800Eで撮影したRAWデータ !00コマをJPEGにバッチ変換する作業を行いました。
100コマのRAWデータといっても、3630万画素のデジカメなので、1コマのデータが38MB~59MBあり、100コマで約4.28GBのデータ量です。
RAWデータファイルの現像には、Nikon Capture NX2を使いました。
この現像ソフトは、現像のバッチ処理ができるので、100コマのRAWデータをJPEG変換し、その時間を計測しました。

RAWデータ変換処理中のCPUパフォーマンスをタスクマネージャーで見てみると、リード/ライト時のみ、CPUの占有率が下がりますが、現像中は100%占有で処理を行っていました。

変換に要した時間は、


これまた、Pentium G3258の勝利です。Pentiumプロセッサーは、10年以上前にPentium4 HT 3.0GHzを使って以来でしたので、最近のPentiumプロセッサーのパフォーマンスを知りませんでした。
正直云って、低電圧Core i5とは、良い勝負ができるのではないかと思い、レビューエントリー時にSurface Pro 3との比較を行う旨記載したのですが、Pentiumプロセッサーのパフォーマンスに脱帽です。
最後に、ハイレゾ音源(48KHz 24bitサンプリング PCM音源)のアルバム 12曲(約1.34GB)を、320kbpsのMP3に変換する作業を行いました。
個人的には、FLACコーデックを使い、スマホで聴いているのですが、より一般的と思われるMP3コーデックを使ってみました。
変換には、Freemake Audio Converterというフリーソフトを使いました。





やはり、Pentium G3258の勝利です。
Pentium G3258を使って普段使いのPCを組むと、とてもコストパフォーマンスの高いシステムを組めるのではないかと思います。


今回、Pentium G3258を使ったシステムを操作して、ベンチマークを行ったり、このレビュー用データを作成したりしてみましたが、ストレスを感じることは全くありません。
HD動画のエンコードですら、オーバークロックすれば、実時間の約3分の1程度の時間でエンコードできますし、デジカメで撮影した写真データの編集フローもストレスを感じることはありません。
普段使いのPCとしては、とても優秀なCPUだと思います。
特に消費電力が少ないことで、発熱も少ないので冷却用ファンも静かです。
常用PCとしては大事なポイントだと思います。
オーバークロックしなければ、ノートPCとさして変わらない消費電力で動作します。

今回、久しぶりにPentiumプロセッサーを使いオーバークロックを行ってみましたが、オーバークロック耐性の高さと発熱の少なさには驚かされました。
比較的簡単に40%程のパフォーマンスアップができたのは素晴らしいと思います。
このパフォーマンスが他のインテル製CPUでも実現されることを期待したいと思います。

コメント (2)

  • cybercatさん

    2014/10/08

    4.6GHzで安定しているのですねー。
    自分の個体は(あるいは自分のセッティング=自分の腕では)4.6GHzは常用できる感じではありませんでした(ただ温度的には70℃台でもうひと盛りできそうな感はあり)。

    あとPCMark8でSurface Pro 3をちょっと超えるくらいのスコアだったので(Surface Pro 3を実際には所持していないので、確かめようはなかったのですが)、実際の作業でここまで差がつくのは意外でした。
  • Picardさん

    2014/10/08

    cybercatさん コメントありがとうございます。

    CPUの個体差の幅が大きいのかもしれませんね。
    私の場合、4.7GHzはOSは起動するのですが、ベンチマークが完走しませんでした。
    4.8GHzは、OSの起動すらできず(画面真っ黒でいつまで待っても起動せず)GPUのOCを行いました。

    Officeソフトを使ったり、WEB,メールであれば、Surface Pro 3でもPentium G3258でも快適に操作できるのですが、負荷を掛けると、Pentium G3258が有利でした。
    メモリも若干速いし、16GBも積んでいたので、そのあたりが多少有利に働いたのかもしれません。

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