レビューメディア「ジグソー」

重量盤2枚組 その真価を味わうためには それなりの装置が必要

 

天才山下達郎 職人山下達郎 音に拘る山下達郎

彼の10枚目のアルバムにして、最高傑作との評判が高い「アルチザン」

1991年 発売当時はCDだけでリリースされておりました。

それ以前に発売されているレコード盤は、おりからのブームと相まって当時の定価を上回る価格で

取引されているようです。

そんな状態に心を痛めている山下達郎ご本人が、リマスタリングした上で

新たにCDとレコード盤の企画を進めてくださったのだそうです。

 

レコード盤は音に拘り 音溝に余裕をもたせることができる2枚組

そのうえ やはり音質面で有利とされる重量盤で発売されました。

販売価格は税込み4400円ですが すでにAmazonでは それより高い価格が付いております。

 

真のプラチナと称されるチケットを手に入れた事数度という友人が 

さっそく予約で買い求めたものの 他の企画プレゼントでもうワンセット当選したので あげる。

なんて嬉しい なんてラッキー

さっそく手持ちの91年発売のCDと聴き比べてみましょ。

はたして?

更新: 2021/09/15
プチ贅沢度

10分ごとに ボリュームを絞って アームを上げ下げして 針先のホコリを取り除いて

 

他のどれにも似ていない名曲 アトムの子供 から始まるA面

続く さよなら夏の日 で A面は終わり

その度にアンプのボリュームを絞り アームを上げ 盤を裏返し 針先のホコリを取り除き

そっとリフターをおろした後 所定の位置までボリュームを上げる。

 

外の気温に合わせて、数回スロットルを踏み込み、チョークレバーの位置を探りながら

キーを捻りエンジンに火を入れる。

チョークレバーに備わるハンドスロットルカムを引き上げるまで引くのか 寸止するのか

五感を使ってキャブレターや燃焼室と対話したあの頃を彷彿とさせる作業です。

 

CDなら70分

今や配信なら一日中なにもする必要がありません。

敢えてのビニール

これを贅沢と言わずして なんと表現すればよいのでしょう。

 

ただ スピーカーから流れる音にも 説得力があるのかどうか? 

気になりませんか?

更新: 2021/09/15
驚き

想像通りでもあり 残念でもあり 故に 興味が深まります

愛用のアンプには入力切替と音量調節ノブしか備わりませんが、幸いなことにリモコンが装備されております。

 

 

オルトフォンのMMカートリッジOM-10の出力は ヤマハのCDの2割減ほど

ほぼ同時に楽曲をスタートさせ リモコンで微調整を加えながら 音質チェックの始まりです。

 

 

ACサーボ・軽いアルミダイキャストのターンテーブル 

昭和のビクター製プレーヤーでレコードを楽しんでいた頃と比べると

フォノイコライザーのSN比がかなり違いますし

サーフェスノイズ、静電気に起因すると思われるノイズも格段に減少しております。

カセットデッキとレコード盤が共存していたあの時代に出現したCDデッキは

俗に言う回転ムラと隔絶することが出来たと喜んでおりましたが

今にして思うと、当時 回転ムラだと感じていた音のゆらぎは

お寺のお堂で、りんの音が 境内で鐘の音が 一定の周期で揺らいでいたものと同じだったのかも

しれないと 今頃になって気づいております。

 

換気扇やエアコンを止めて、かなり大きめの音量設定をしないと 音が出る前のノイズからですら

それがアナログ盤なのか 突然音が出るCD盤なのかを 特定しづらい。

 

それが令和の今 私が使っている普及機から出るサウンドです。

 

結果

期待していたアナログ重量盤2枚組から聞こえる 明らかな違い それは感じませんでした。

言い方を変えれば 大きな音でなる音源のほうが 良い音に聞こえる そんな印象でした。

 

疑問と期待

でも あの山下達郎が そんなレベルのリマスタリングするかな?

   あの山下達郎が わざわざ2枚組にして 音溝に余裕をもたせるかな?

 

伝聞

直線距離にして数十キロ 私のお店から一時間ほど離れている田辺市という場所から

週に1〜2度 通ってくださる同年代のお客さんがおられます。

彼は息子さんに達郎と名付けたほどの達郎マニア。

英国LINN社のネットワークシステムに、LAN経由のフォノイコライザーを増設し

レコードプレーヤーにはアキュレイトLP12

ラウドスピーカーにはDYNAUDIOのかつての名機コンフィデンスC1という

俗に言うハイエンドハイファイシステムをお持ちなんです。

もちろん今回発売されたアナログ重量盤も 更にリマスタリングされたCDもお持ち。

 

 

で どうなの?

リンで聞いたら レコード盤の値打ちあるの? ぜんぜん違うの?

うちのお店で聞く限り ほぼ一緒なんやけど?

 

答え

ぜんぜん違うとのこと

特にボーカルの艶 色気が ぜんぜん違うのだとか。

ブラインドテストで間違うレベルじゃない違いがあるのだとか。

 

ただし

ディナウディオでは、音が綺麗すぎる。

新調したリンのレコードプレーヤーで楽しむために買った、1959年あたりのジャズ

たとえばコルトレーンやマイルスの名盤を楽しむためには と考えて

サブスピーカーとして導入した中古のJBL4341アルニコのグレーキャビネットで聞くと

時にリマスタリングしたCDの方が楽しく聞ける と感じる楽曲もあるそうです。

 

郷愁

私にしても、リアルタイムで「アルチザン」を楽しんでいた頃を思い出すと

まだまだ第一線で楽しんでいたレコード盤

グレースのS字トーンアームと組み合わせていたのはオーディオテクニカのAT−15EaG

 

SL-10には、テクニクスのMC

 

方や豪快な音 分厚くて切れの良い低音

 

方や繊細な音 高い分解能

 

アナログは、カンチレバーの細さや 形状 それが 出てくる音を正しく推測させてくれました。

 

プロジェクトのストレートトーンアームにオーディオテクニカのVMを組み合わせてみたい

 

シュアーのV-15や97相当のJICOを組み合わせてみたい

 

アナログならではの チューニングで 好みの音を出してみたい

 

そんな気持ちになりました。

 

更新: 2021/09/15
happy指数

高気圧ガール それとも クリスマス・イブ

何度も繰り返すように 山下達郎をかけていると

 

家内が 夏も終わりやで と

 

そうか 確かに 高気圧ガール 悲しみのジョディ ビッグウェーブのテーマ 

 

でも  クリスマス・イブ も有名だし さよなら夏の日 もあるよん

 

高音質盤 レコード盤 音に拘る山下達郎ですが

 

私が思う 彼のナイスサウンドって 2つのスピーカーの真正面・中心に座って

 

音の定位を厳密に楽しむ種類のものじゃないと感じてます。

 

時に踊りながら 時にラジカセから モノラルラジオから カーステレオから

 

声の響き ギターの鳴き ドラムとベースの協調 飛び込んでくるストリングス

 

良い音の「カタマリ」を 楽しむのが目的だと思ってます。

 

若い頃に体に染み込んだ 山下達郎が その音の「カタマリ」が

 

いつかまた その楽曲を聞いた時に その時の光や匂い 体温を 蘇らせてくれる

 

その触媒としての力を高めるために 丁寧に音を重ねてくれているんだと思います。

 

 

余計なことを書いてしまいますが

 

本来 スタジオに籠って 音を重ねれれば重ねるほど ハイファイからは離れるはず。

 

立体音響 ステレオ 

 

ワンポイント録音に代表される、定位を大事に再現する手法の傍らで

 

マルチモノラルと呼ばれる、モノラル録音された楽器やボーカルをコンソール上で並べる

 

パーティションで仕切りつつ 同時に録音する

 

別日に録音したものをコンソールで並べる

 

いろいろなステレオサウンドがあると思うのですが、私の脳は、重ねて重ねてを繰り返した

 

サウンドを嫌がる傾向にあるんです。

 

だから 友人のハイエンドシステムで このアルバムを楽しませてもらっても

 

声の艶の差を感じることができても  トータルで素晴らしいな と思えるのかどうか?

 

いつかの宿題にしたいと思っております。

 

とりあえず リマスタリングCDを借りて 手元のオリジナル盤との違いは確かめなくちゃ

 

でも それも同じに感じたら

 

自分のシステム・部屋がボロいのか 自分の脳がボロいのかを 疑わなくてはなりません。

 

トホホです。

 

 

更新: 2021/09/15
大切

心がこもっている

 

発売当時はCD もちろんレコード盤も同じジャケットデザイン

LPサイズだと 迫力を感じます アートやね。

 

 

新たに山下達郎さんご自身が書き下ろされたライナーノーツが「大切」

 

 

でも当時のCDにも 素晴らしいライナーノーツが封入されておりました。

これはこれだけの「大切」 心がこもっております それを感じます。

 

 

レコードジャケットの内側もアート これはこれだけの「大切」

 

 

初回版の特典として 7インチシングルレコードプレゼントに応募するための「券」が封入されていましたが 

それは くださった方にお返ししました 「大切」だから。

 

ジャケットアートワークも サウンドも とにかく 大事に大切に仕上げておられます。

更新: 2021/09/15

達郎さん曰く

達郎さんが言われるには

 

再び注目されているビニール(アナログレコード)ですが 若いファンの方がお持ちの

 

再生装置では、この重量盤の良さを十分に引き出すのは難しいだろう。 と。

 

アナログの良さは普通盤 一枚組に音溝を刻んたレコード盤でも十分に楽しめると思う。

 

そうおっしゃっていたそうです。

 

リンのプレーヤー ディナウディオのスピーカーなら わかると思うよ

 

ということなのかもしれません。

  • 購入金額

    4,400円

  • 購入日

    2021年09月頃

  • 購入場所

    いただきもの

14人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • jive9821さん

    2021/09/15

    私がこのレコードを聴いてCDとの違いを感じたのが、エネルギー感でした。

    レコードは「アトムの子」の冒頭から音の塊が押し寄せてくるような
    エネルギーを感じたのですが、CDではちょっとあっさりしているな、と。
    実際、山下達郎自身もそこにこだわった結果、2枚組にしなければいけない
    程の溝の幅を必要としたらしいです。

    ヴォーカルはAT-ART7で聴くと沁みてくるような表現となりました。
    普段のAT-OC9/IIIだとちょっとそこは不足していたかも知れません。
  • フェレンギさん

    2021/09/15

    うちのシステムだと「ターナーの汽罐車」

    その楽曲で レコード盤からは むせ返るような中低音を感じます。

    Jive9821さんのレビューを覚えていたので アトムの子 で それを期待したのですが

    響きの良さ エネルギー感 それを 良さとして感じるまでに至らなかったんです。

    ただ 過去の経験から 合う カートリッジを選べば 満足できそうな気がするんですよね。

    試してみたいです

    アナログ 楽しいですわ 改めてそう思おいます

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