レビューメディア「ジグソー」

あらゆる完成度を高めたAndroidタブレット

「ASUS ZenTour 2016」の東京開催分に参加させていただき、このZenPad S 8.0の使用レポートをする機会をいただきました。

 

私はこれまで主要なモバイル系OSを採用するタブレットは一通り使ってきましたが、仕事柄Windowsタブレットだけはやはり別格の存在となっています。というのも、仕事の一つとしてMicrosoft Accessを利用したシステム開発を手がけているため、少なくともAccessやVBA(VisualBasic for Applications)が使える環境とそれ以外とでは同列で論じることが出来ないためです。

 

私の中でAndroidやiOS、Windows RTなどのOSを採用したデバイスは、主に個人用途でWeb閲覧やメールのやりとり、Twitterの閲覧・送信、オーディオ/ビデオコンテンツの再生用など、パーソナルユース向けという割り切りを持って使っていますので、今回も主にそのような視点でこの製品を見ていきたいと思います。

 

今回のレビューでは、Android系のOSを採用する、以下の2つのデバイスを比較用として用意しました。

 

 

 

 

まずはGoogleブランドで発売されていたNexus7(2012年版の初代モデル)です。こちらはLTE非対応ながらSIMフリーモデルであることが大きな特徴です。

 

Nexus7はASUSが製造を担当していて、そのコストパフォーマンスの良さから日本におけるAndroidタブレットの牽引役となりました。元々はASUSの自社製品であるMeMO Pad ME370Tがベースとなっているものの、Nexus7化するにあたり様々な改良や仕様変更を経ているとのことです。

 

 

 

 

 そしてもう1台のデバイスは、Amazonから発売されているKindle Fire HDX 7 16GB(現在は製品名から「Kindle」の文字は削除されています)です。

 

これはOSとしてAmazon独自のFire OSを採用していますが、このFire OSはAndroidをベースとしていて、用意されているアプリケーションこそ少ないものの使い勝手はAndroid製品とさほど変わりません。AndroidをAmazonサービスの利用向けにカスタマイズしたものというべきでしょうか。

 

タブレットのハードウェアとしてはAndroid向けそのものであり、比較的低価格ながら高性能でお買い得といわれていた製品です。

 

 

時にこれらとの比較を交えつつ、ZenPad S 8.0の魅力を探っていきたいと思います。

更新: 2016/04/08
仕様と特徴

あらゆる箇所が最新の仕様

それでは比較用に用意した他のデバイスも含めて、主な仕様を確認してみましょう。

 

(クリックで拡大)

 

 

 

まだ発表から日付が浅い最新モデルであるZenPad S 8.0は、さすがに小型化・高性能化が進んでいることが判ります。

 

まず、比較用に用意した2機種は、いずれも7インチの液晶パネルを採用しています。7.9インチのZenPad S 8.0と比べると、やはり一回り画面サイズは小さく感じます。

 

そして7.9インチでQXGAという表示能力を持つZenPad S 8.0は、Androidタブレットとしてはこのクラス最大の情報量を誇るということになります。もっとも、7.9インチQXGAという画面サイズはApple iPad mini Retina(iPad mini 2)以降のiPad miniシリーズで以前からお馴染みであり、Androidデバイスがようやく追いついたというべきなのかもしれません。

 

ネットワーク機能については、まずNexus7-32Tのみ3G対応のSIMフリースロットを装備しています。というより、SIMフリーだったからこそ、この機種を買った訳です。Wi-Fiが無ければインターネットに繋がらないというのは、モバイルデバイスとしては間違いなく大きな弱点だと思いますからね。

 

一方、Wi-FiについてはいずれもIEEE802.11nまでには対応していて、ZenPad S 8.0はIEEE802.11acにも対応します。一見さほど大きい差ではないように見えるのですが、よく見るとNexus7-32TのWi-Fiは2.4GHzのものにしか対応していない事も判ります。場合によってはスループットに大きな差が生じる可能性はあります。

 

CPUはARM互換製品を搭載する比較対象2機種に対して、ZenPad S 8.0はIntel Atom Z3580というx86系互換のものを搭載しています。Atom Z3580(Moorefield)は、簡単に言えば格安Windowsタブレットなどでお馴染みのAtom Z3700系(Bay Trail-T)のグラフィックス機能を、Intel HD GraphicsからPowerVR G6430に置き換えたものであり、CPU単体での能力はほぼ同等ということになります。GPU部分のPowerVRは、これまで多くのモバイルデバイス向けに採用されていますので、Windows以外のOSとの親和性も重視した結果でしょう。

 

OSは初期搭載と最新版を併記していますが、Nexus7-32TのAndroid 5.x系はとりあえず動くという水準であり、快適な動作とはほど遠い状況であることも付記しておきます。

 

 

ところで、通常この類のレビューで端末の性能に言及するのであれば、ベンチマークテストを実行するのが一般的ですが、私の場合はモバイル端末ではこれは敢えて行いません。

 

もちろんPCの評価などでは私もベンチマークテストを利用するのですが、仮に弱点が見つかったとしてそれを改善する術の無いモバイル端末でそれを把握する意味がどこまであるのか疑問ですし、モバイル端末では自分が利用したい目的を快適に実行できるか否かが唯一の判断材料であるべきという考えによるものです。

 

当然これは私自身の価値観であり、モバイル端末にハードウェア的な魅力を求める方などは当然ベンチマークを利用されるでしょうし、それは意義のあることだと思いますが。

更新: 2016/04/08
デザイン性

指紋や傷が目立たない?

実はZenTour 2016 東京の会場で某氏が保護フィルムやケースの使用について質問した際に、ASUSのシンシアさん(以前Impress PC Watchで『ASUS JAPANシンシアの「華華(ふぁふぁ)通信」』を連載されていた方ですね)が回答された内容によると、

 

・画面のガラスは最新のCorning Gorilla Glass(恐らくGorilla Glass 4)で傷が付きにくい

・指紋も目立たないよう表面加工されている

・外装デザインも傷が付きにくい仕上げ

 

とこだわって作っているので、出来れば保護フィルムもケースもつけないで使って欲しい(但し純正ケースは発売されている)とのことでした。特にこの製品のセールスポイントである画質やタッチ操作の感覚を損なわないようにするためには、それがベストだということで、その点は間違いありません。

 

しかし、しばらく素手で操作していた画面は、やはりこうなってしまいます。

 

 

 

 

 

確かに使用中に気になるほどの指紋は付きませんが、電源を切っておいておくとどうしても気になってしまいます。市販のスマホクリーナーなどを使えば綺麗に落ちますが、やはり傷・汚れが付いてしまう前に保護シートは貼りたいところです。

 

個人的に本体の傷などはさほど気にしないのですが、鞄に本体を押し込んだときなど、周囲にある尖ったもので傷が付いてしまうと、画面へのダメージもやはり懸念されますので、ケースやジャケットも何か用意することになるでしょう。

 

 

本体のデザインそのものについては「7.9インチでこんなにスッキリまとまるんだ」と感心する部分です。個人的にはPCでいえばLenovoのThinkPadのような無骨なビジネスマシンという雰囲気も嫌いはありませんが、このZenPad S 8.0のようにIT機器感をあまり感じさせないデザインもなかなか良いと思います。

 

 

 

 

 

 

更新: 2016/04/08
画質

高精細且つ良好な発色。動画再生能力は圧倒的

まずは静止画の表示品質について検証してみましょう。

 

画質について説明しようとすると、どうしても主観的な表現となってしまいますので、保護フィルムの有無などもありますが同じ写真を表示して、それをデジタルカメラで撮影してみました。撮影機材はこの組み合わせです。

 

 

 

 

 

どうしても写真で撮影している以上、肉眼での見え方とは大きく異なる訳ですが、傾向の違いを感じ取っていただければと思います。なお、撮影した画像は縦横40%に縮小しています。原寸だとZIGSOWで使えるファイルサイズの上限を超えてしまうのです。

 

 

まずは本機ZenPad S 8.0から。

 

 

 

写真で撮影しても発色の鮮やかさやきめ細かさはよくわかります。個人的にグレア(光沢)パネルはあまり好きではないのですが、この画質をみせられれば納得してしまう部分はあります。

 

 

 

次にKindle Fire HDX7です。

 

 

 

こちらも7インチWUXGAとなかなかの精細パネルであり、ドットの粗などは全く判りません。発色はZenPad S 8.0と比べればやや地味ですが、これも比較的良好です。ただ、実物で比較してしまうと、ZenPad S 8.0よりもノイズ感があります。

 

 

 

そしてNexus7-32Tです。

 

 

 

発色はまずまずなのですが、ノイズ感がかなりあります。ドットの粗も少々目立ちますし、世代の古さがはっきりと表れたものとなってしまいます。かつてはそれほど不満は感じなかったのですが、改めて見比べてしまうとちょっと厳しいというところです。

 

 

 

続いて動画の表示品質です。これは比較画像を作るのは困難ですから、文章によるものとなります。

 

私の自宅にはDLNA配信用のサーバーがあり、PCとしてもそこそこの性能(Intel Core i7-3770+16GB RAM)ですのでフルHD程度の動画送信であればパフォーマンスには十分な余裕があります。

 

そこで無線LAN経由でこのサーバーからフルHD動画を読み出し、それぞれの端末で共通して利用できる動画再生アプリであるJ2 Interactive製の「MXプレイヤー」で再生してみました。

 

 

まず、はっきりと実用にならないといえるのはNexus7でした。動画の動き自体もかなり引っかかりますし、動画と音声のずれも大きく発生してしまいます。初期のスマートフォン向けに用意しておいたWVGA解像度のmp4ファイルであれば快適に再生できましたが、フルHDとなってしまうとお手上げです。iPhoneでいえばiPhone4程度かそれより劣るという感覚でしょうか。MXプレイヤーではNVIDIA Tegra 3向けのコーデックが用意されていて、もちろんそれは導入しているのですが、Tegra 3のパフォーマンスではさすがに現代的な水準にはついて行けません。

 

OSこそ違うものの、後継のNVIDIA Tegra 4を搭載したMicrosoft Surface 2では同じ動画も十分快適に再生できましたので、CPUの性能不足が惜しまれるところです。

 

 

 一方、Kindle Fire HDX7はさすがにAmazonビデオの鑑賞も念頭に置かれている端末であり、また当時ハイエンドだったQualcomm Snapdragon 800搭載ということもあり、十分に快適な再生となります。無線LANの速度も安定しているため、DLNAのストリーミング再生ながらシークバーによる場面移動も実用的な水準でこなしてくれます。

 

 

そしてZenPad S 8.0ですが、実は最初の再生の時には妙にコマ落ちが多かったのが気になりましたが、これはMXプレイヤーにx86互換CPUのコーデックが導入されないまま再生していたためでした。むしろそれでも実用レベルで再生できていたというのが凄いところです。

 

x86用コーデックを導入した後は、SWコーデック利用でもKindle Fire HDX7と比べてもさらに軽快に動くようになりました。この状態でさらにプレイヤーの設定をHW+コーデック利用に切り替えると、いわゆる倍速駆動液晶のようなフレーム補完が働くのか、まさにギクシャク感が皆無というほどのスムーズさになります。ただ、この状態では描画化けが頻繁に発生するため、通常はSWコーデックで利用するべきということでしょう。

 

ZenTourでの説明でもZenPad S 8.0では家庭用TVと同じような描画エンジンを搭載しているとのことでしたので、完全に機能を発揮すればこれまでのタブレットとは次元が違うといえる動画再生となりそうです。もちろんSWコーデックだけでも、Atom Z3580の性能で十分快適な動画再生が楽しめます。

更新: 2016/04/11
音質

Bluetooth接続にメリット

スマートフォンと比較すると音質重視を謳うモデルがあまり無いのがタブレットですが、このモデルでは音質についてもある程度のこだわりを見せています。

 

まずは内蔵スピーカーについては、フロント側の上下にスピーカーを仕込むことにより、横長で使った場合にステレオ再生となるように設計されています。小型の本体に内蔵するスピーカーですし、筐体も非常にコンパクトにまとまっているモデルですので、低音はかなり薄くしか出てきませんが、ワイド感は結構出ていますのでビデオ観賞用などには割合適しているといえます。

 

スピーカー出力にもう少しこだわるのであれば、純正のオプションとして「Audio Cover」が用意されています。(注.現時点で発売されているのは「ZenPad S 8.0」用ではなく「ZenPad 8.0」用のものでしたので訂正しました)

 

AudioCoverはスピーカーと駆動用のバッテリーを内蔵したボディーケースで、ZenTour 2016の会場では取り付けた状態で展示されていて、映画の再生で試させていただきましたが、かなりの音量がさほど歪むこと無く出てくる辺りはなかなか驚きでした。ZenPad S 8.0用にも発売されれば、動画鑑賞やradiko.jpの音楽再生が主な用途という方であれば、これを利用することで満足感はより高くなるでしょう。もっとも、前述の「出来れば本体のみで」という意図は反映されなくなってしまいますが…。

 

一方、ヘッドフォン出力についてですが、まずステレオミニ端子からの音をこちらで聴いてみました。

 

 

 

 

はっきり言ってしまえば、こちらの音は特筆するべき点はありません。一般的なスマートフォンなどと同じレベルの音質でしょう。手持ちのスマートフォンの中では、XPERIA Z1 SO-01Fと比べればやや劣るというところです。傾向でいってしまえば、レンジ感、音場ともに狭めで解像感もやや甘いというところです。専用のオーディオプレイヤー(SONY NW-A16等)と比較してしまうとさすがに厳しいものがあります。

 

有線接続では目立った長所のない音質ですが、このZenPad S 8.0はBluetooth接続時のコーデックとしてaptXを利用可能であり、比較的高音質な伝送が可能となっています。

 

Bluetooth接続時の音質はこちらで検証しました。

 

 

 

出てくる音の基本的な傾向は、有線接続時とさほど変わりません。ただ、元々Bluetooth接続では有線接続と比較して音質は劣化しますので、その劣化の度合いがあまり大きくない辺りは好印象でした。

 

タブレットの使い方として、外出時に持ちだして音楽鑑賞というものがあるのかといわれれば疑問ではありますが、Bluetoothでワイヤレスヘッドフォンを接続してビデオ鑑賞という使い方であればアリでしょう。

更新: 2016/04/08
カメラ機能について

スマホカメラとの比較では?

いくらタブレット内蔵のカメラが画質にこだわったところで、さすがに本職のカメラと比較して同等の画質となる訳ではありません。現実的には普段持ち歩くスマートフォンと比較してどうかという話をするべきでしょう。

 

そこで今回は以下のスマートフォンのカメラと撮り比べてみました。最後に参考としてミラーレス一眼で撮影した画像も載せておきます。

 

 

 

 

まずはスマートフォンの定番といえるiPhoneです。最新の6sやSEは持っていませんので、前世代のiPhone 6となります。性能としては大したものでは無いのですが、意外と写りが良いカメラと評判で、プロの写真家の方も高く評価していました。

 

 

 

 

次はKYOCERA製のAndroid端末、URBANO L03 KYY23です。主に高齢ユーザー向けの廉価端末と見られがちでしたが、実はAndroid 4.4世代でSanpdragon 801搭載と扱いの割には高性能な端末でした。ただ、カメラやオーディオの品質は性能の割には高くないモデルです。

 

 

 

 

 

 

そして廉価スマートフォンとして、サードウェーブデジノス製のWindows 10 Mobile端末のDG-W10Mを使います。価格改定により税込みで1万円割れという圧倒的な安さとなって話題の製品です。さすがにこの価格ですから、カメラは一応搭載されているというレベルのものであり、品質にこだわったようなものではありません。

 

 

それでは、同じ位置から同じように撮影した画像を並べてみましょう。レンズ性能や焦点距離、アスペクト比などが違いますので、同じ位置から撮影しても、撮影できる範囲などは異なってきます。

 

 

 

まずは、本機ZenPad S 8.0で撮影したものです。

 

 

 

 

発色などはまずまず良好ですが、全体的に白っぽくなる印象がありますし、解像感はなく細部は潰れてしまっています。位置付けとしてカタログにも「800万画素 Webカメラ」と書かれているものですから、あくまで写真撮影はおまけレベルというものなのかもしれません。

 

 

続いてiPhone 6です。

 

 

 

 

同じ800万画素のWeb(iSight)カメラなのですが、こちらの方が解像感が高く、発色も良好で肉眼に近い写りです。手前の花の形もはっきりと写っていますし、空の色も割合自然です。これくらいの水準の画質が得られるのであれば、低価格なコンパクトデジタルカメラは必要とは感じられないかも知れませんね。

 

 

続いてAndroid端末のURBANO L03です。

 

 

 

 

こちらは1300万画素のCMOSセンサーを搭載しているのですが、傾向としてはZenPad S 8.0に近いものとなります。画素数の違いほど解像感の差は感じられず細部の潰れが気になります。階調表現などはいくらかこちらの方が良いでしょうか。いずれにしても単品のデジタルカメラとの差は歴然としています。

 

 

最後にDG-W10Mです。

 

 

 

 

発色自体も不自然ですし、解像感もありません。こちらも800万画素カメラなのですが、より細部の潰れも大きく見えるようです。このカメラで写真撮影というのはあまり考えない方が良いでしょう。あくまでWebカメラ兼メモ記録用と考えるべきです。

 

 

ここで単品カメラ(ミラーレス一眼)のCanon EOS M3で撮影したものを見てみましょう。レンズは表示品質比較でも利用した、マウントアダプターEF-EOS Mを介して装着した、EF 17-40mm F4L USMです。

 

なお、原寸ではアップ出来ないため、縦横40%に縮小しています。

 

 

 

 

さすがに本職のカメラですから、格の違う画質ですね。拡大していただければ、他のデバイスとの写りの違いがはっきりとおわかりいただけるでしょう。

 

 

ZenPad S 8.0のカメラとしての性能を見る限り、最近の高性能スマートフォンよりははっきりと劣り、格安クラスのスマートフォンや一昔前のスタンダードクラスと同等程度と考えて良いのではないかと思います。

 

表示品質や音質にこだわりをみせた製品であるだけに、カメラに関してはそれが感じられないというのは少々残念です。Apple iPad miniシリーズなどはこの辺りのバランスはさすがだと思いますからね。

更新: 2016/04/17
操作性

慣れれば快適なZenUI

もちろん基本的な操作性はAndroid自体の性格に左右されます。従来のAndroidに慣れていれば何も問題なく馴染めるでしょうし、WindowsやiOSばかり使っていれば違和感を感じるかも知れません。

 

 

▲ホーム画面。基本的にはごく普通のAndroidのUIと変わらない
▲ホーム画面。基本的にはごく普通のAndroidのUIと変わらない

 

 

 

なかなか面白いのは、ZenMotionと名付けられた機能で、画面内のアイコン等が無い箇所のダブルタップすると、スリープボタン押下と同じ動作をするということでしょうか。つまりスリープ状態で画面の任意の箇所をダブルタップすることでスリープが解除され、逆にホーム画面の壁紙部分をダブルタップすることでスリープ状態に入るというものです。

 

さらにZenMotionではスリープ状態の画面上で特定の文字を書くことで、指定されたアプリをクイック起動するという機能も実現されています。これは「タッチジェスチャー」と呼ばれるもので、現状では出荷状態で以下のように割り当てられています。

 

 

 

 

残念ながらこれ以外の文字に動作を割り当てることは出来ませんが、それぞれの文字に割り当てられたアプリは任意のものに変更することが出来ます。

 

 

 

 

もっとも、割り当てを変えてしまう(例えば「V」に地図アプリなど)と、自分が直感的にわかる文字で無ければなかなか思い出せないかもしれません。元々の割り当ても実用的なものですので、個人的には敢えて変えないようにしようと思っています。

 

 

さらに、地味に便利かもしれないと思ったのが、画面側を下にして置くことで、音声がミュートされるという機能も用意されていることでしょうか。

 

 

 

標準ではこの機能は無効化されているのですが、こっそりとビデオを見たいという不純な目的のためには有用かもしれません。もちろんそのような用途を推奨するものではありませんが。

 

更新: 2016/04/17
便利な機能

オプションのZ Stylusで快適な手書き体験

今回のZenPad S 8.0には、本来オプションとなっているスタイラスペン「Z Stylus」が最初から同梱されていました。

 

 

 

パッケージに傷みがあるのは、私がZenTour 2016会場で一度開封しているためです。

 

 

 

 

中のスタイラスはこのようなごく普通のペン形状です。電池には単6型を使います。この電池は一見特殊な仕様なのですが、私が使っているASUS TAICHI 31に添付されているN-Trig製のスタイラスペンでも利用されているもので、意外と大手の家電量販店などでは店頭販売もされています。

 

 

 

 

本体内にはZ Stylus利用時の設定項目が予め用意されていますので、利用開始前にまずここでZ Stylusの動作を設定します。

 

 

 

 

 

それではZ Stylusで出来る操作について紹介しましょう。

 

まずは設定パネルの表示です。これは画面内の任意の背景部分を、Z Stylusのペン先側ボタンを押しながらタップすることで次の表示となるものです。Zen UIの基本的な設定はここから行います。

 

 

 

設定パネルの表示はあくまで最低限の利用法です。Z Stylusが本領を発揮するのはここから。

 

 

まずは「Instant Page」です。これは簡単に言うとスクリーンショットと画像加工がセットになったようなもので、スクリーンショットに何らかの加工を加えたい時に利用すると良いでしょう。

 

まずは加工したい任意の画像をギャラリー等で表示して、Z Stylusを画面に近づけた状態(接触はさせない。これを「Hover」と表現している)で、Z Stylusのペン先側のボタンを押します。

 

するとランチャーが表示されますので、その中から「Instant Page」アイコンをタップします。どのアイコンがそれに該当するかなどは、ASUSのサポートページに用意されているZ StylusのE-Manualをご覧ください。なお、このマニュアルは現時点で日本語版が用意されていないようですので、比較的読めそうな任意の言語でご覧ください。

 

 

 

この例では、左側の青いノートのアイコンがInstant Pageです。手書きの文字を加えたりすることが出来ます。例えばこんな感じですね。

 

 

 

 

 

続いてSmart Cropです。簡単に言うとワンタッチで画像を切り抜くというものです。

 

 

 

この写真からSmart Cropを使ってカメラ付近だけを切り出してみましょう。

 

 

矩形での切抜きを利用したのが上の写真です。少しZ Stylusに慣れればワンタッチ感覚でこのような切り抜きが出来ます。これも手順としては簡単なのですが、文字で説明するのがなかなか難しいところです。E-Manualを見つつ実際に試していただくと、すぐにご理解いただけると思うのですが…。

 

 

そしてSuperNoteです。これは端的に言えばMicrosoft OneNoteのように手書き、画像、各種メディアファイルを交えて1つのノート的にまとめられたファイルを作成できるというものです。起動するには、先ほどInstant Pageを立ち上げたランチャーで上側のオレンジ色鉛筆アイコンをタップします。

 

 

 

 

テンプレートやPDFからもファイルを作成できるようですが、今回は空のノートブックを作成してみましょう。

 

 

 

 

私がもう少しZ Stylusでの手書きに慣れれば、もっときれいなノートを作ることが出来そうです。

 

Androidデバイスは原則的にタッチパネルデバイスですが、その割にこのようなアクティブスタイラスを採用して積極的に使わせるというデバイスはあまりなかったように思います。現状ではZ StylusはZenPad S 8.0およびZenPad 10専用のオプションとのことですが、対応デバイスの拡充が望まれます。もっとも、構造とコストを考えれば、比較的上位の製品に限られてしまうのでしょうけど…。

更新: 2016/04/07
問題点

やはりSIMフリーであるべき

この製品を受け取ったZenTour 2016でも、ASUSの方が改善点や要望を募ったときに、会場の皆さんがほぼ満場一致で希望したのがSIMフリーモデルの投入でした。

 

私自身、AndroidやiOS、Windowsのタブレットを何台も使ってきましたが、結局ある程度常用したのはNexus7-32TやTEKWIND CLiDE9というSIMフリーモデルばかりでした。SIMスロットが無くても常用するのは、Microsoft OfficeのVBA(Visual Basic for Applications)が動くWindowsモデルだけとなってしまいます。

 

というのも、それぞれ利点があって入手したモデルですので、それなりに魅力はある訳ですが、インターネット環境が無いと結局はスマートフォンで最低限の用事はこなせてしまうので、改めてタブレットを取り出して、モバイルルーターを立ち上げるという手間を敢えてかける気がしないのです。スマートフォンも、機械的な性能ではそれなりに高水準のものが多くなっていますからね。

 

もちろん、自宅内にPCが家族用の1台しか無いなどという家庭であれば、PCが塞がっているときにタブレットが活躍するというシーンはあるでしょう。しかし私の家の場合は、私が無駄にPCの台数を揃えていますので、1部屋に何台もPCが転がっているという状況で、しかもそのうちの数台がほぼ常時起動していてフル機能のWindowsが常に即使える状態ですから、敢えてAndroidタブレットを取り出す機会もあまり多くはありません。となると、タブレットが活きるのはやはり外出時なのです。そして外出時に思う存分活用するためには、やはりインターネット常時接続環境は必須といえますからね。

 

 

ハードウェアそのものの完成度はかなり高いと思いますが、やはりメーカー側の感覚とユーザー側とでどうしてもずれを感じるのが、やはり画面や本体の保護についてでしょう。

 

先にも触れましたが、メーカー側としては保護フィルムやケースをつけない状態で開発やチューニングを行っていますので、その状態で使うのがベストという主張はもちろん理解出来ます。しかし、一般的な庶民の感覚として、このクラスのタブレットは使い捨てするほど安価なものではありませんので、出来れば傷や破損のリスクは少しでも軽減したいのです。私など普段持ち歩いているバッグの中に筆記用具や精密ドライバーなどを無造作に突っ込んでしまいますので、その状況で持ち運んでも大丈夫なようにスマートフォンはほぼ全てジャケット及び保護フィルム装備となっています。それでも年に2~3枚保護フィルムを激しく傷つけてしまったりして、交換する必要が出てくるのですから、一切保護せずに持ち歩くというのは不安要素でしか無いのです。

 

出来ればメーカー純正または推奨で、高い次元での画質や操作品質を担保した、これらのオプションを用意して貰えれば、恐らくそれを選んで使うと思います。

更新: 2016/04/10
総評

良く練り上げられた完成度の高さは光る。あとはSIMスロットだ

ここまで私が実際にタブレットを利用するであろう色々なシーンで試してみて、ZenPad S 8.0は殆どの要素において不満を感じさせることが無く、完成度の高さが実感出来ます。恐らく、この製品を選ぶ時点で何か明確なAndroidタブレットの活用法を想定しているユーザーであれば、大抵不満無く使える製品に仕上がっているのではないでしょうか。

 

特にこの製品の長所はコンテンツビューアーとしての完成度でしょう。さすがに高音質オーディオを楽しむという水準ではありませんが、液晶画面の画質の良さと動画再生能力の高さは素晴らしいとしか言い様がありません。写真を見たり、ビデオを再生したりという用途を想定されている方には文句なくお薦めできます。

 

 

デザインに関しては好みの問題であり、純粋な良し悪しで語れる要素ではありませんが、IT機器然とした取っつきにくさを感じさせない外観ですから、メカ的な感覚が苦手な人にも受け入れやすいものに仕上がっていると思います。

 

ZenUIも既存のAndroidに馴染んだ人よりは、これからAndroidを積極的に活用しようと考え始めた人にマッチしそうな使い勝手を提供していると感じます。そこそこAndroidに馴染んでいる人だと、ZenUIを介さないAndroidの基本操作で無意識に動かしてしまいそうですから。私自身、ZenUIで簡単にできる操作を、ついAndroidの基本操作で行ってしまうということが何度となくありました。

 

 

基本的には非常に良くまとまったAndroidデバイスであると思うのですが、それだけに「何故SIMがささらない?」という思いがより強くなります。SIMがささってくれれば、画面サイズの割にコンパクトにまとまったZenPad S 8.0は外出時のお伴に最適なのですが、SIMがささらなければあくまで屋内利用がメインとならざるを得ないのです。そして屋内に限って使うのであれば、正直言ってもう少し本体が大きくなろうと問題ないのです。折角のコンパクトさですが、それをどうやって活かすのかといわれると、なかなか難しいものがあります。

 

 

レビュー機を受け取った際にスタッフの方からは「良くない点についても遠慮無く書いて下さい」と言われておりましたので、必ずしも全体的に高評価というレビューにはなっておりません。ただ、SIMフリー化と小規模な改良で製品としての魅力が大幅に増すことは間違いないと思いますので、次期モデルへのフィードバックを楽しみに待ちたいと思います。

 

 

 

 

 

  • 購入金額

    0円

  • 購入日

    2016年03月15日

  • 購入場所

    ZenTour 2016 東京会場

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