RESONANCE VOX。フュージョンギタリストの嚆矢、渡辺香津美が立ち上げた超絶テクニシャンバンド。他のメンツはベースのバカボン鈴木とドラムの東原力哉、パーカッションの八尋知洋。香津美以外はいわばリズム隊でコードを奏でる楽器は基本ギターのみ。普通この構成なら「間」を持つ曲・奏法の楽曲をイメージするが、「リードベーシスト」と言っても通用する饒舌なテクニシャン、6弦ベースの使い手であるバカボンと、シングルバスとは思えないバスドラムの連打と隙間があるとスネアとハイハットオープンの装飾で埋めまくる怪獣（力哉）、ソロでも充分楽しめるほど多彩な音を駆使して空間に切り込む八尋とすべてウルサイやつばかり．．．つか、こいつらたぶん「自分こそ主役」と思ってるなｗというメンメン。“Pando:ra”
でデビューした彼等は3枚スタジオアルバムを作るが、どれも4人とは思えない饒舌なプレイでぎゅぅぅっと凝縮された作品だった。
そんな彼らの初のライヴアルバムにしてラストアルバム。このアルバムからキーボードの島田昌典が加わっている。最近はアイドルやいきものがかり、スガシカオなどJ-POP系のアーティストのプロデュースやアレンジの仕事が多い彼だが、1990年代前半に関西テレビ制作の音楽番組「夢の乱入者」で香津美と組んでゲストミュージシャンとセッションを繰り広げるという企画に参加していた名うてのテクニシャン。余談だが彼はHuman Soul
のメンバーでもあり、このバンドのリーダーであった清水興とはつながりがある。清水興と言えばNANIWA EXPRESS
で力哉と組んでいたベーシスト。この番組では香津美＋島田＋清水＋力哉がホスト側メンバーだった（なんつーゴリゴリなメンメンだｗ）。島田はライヴということで（音が薄くなるため）サポートに入ったのではなく、正式メンバーとしての加入。より音が厚くなった彼等の狂乱のライヴが収められている。
偶数小節のバックビート4拍目が16分音符分遅れるというトリッキーなリズムで緊張感あるハードチューン、「Barong」。この曲はキーボードもあまり持続音を使わず、ギターかベースとのユニゾンが多く、「埋めて」ないが、彼らに「スキマ」を期待してはならなかった．．．つか、全員曲を通して「今、俺のソロパート」と思っている（たぶん）。
「RESONANCE VOX Plays Your Hits」は他者のカバー。カバーであってコピーではない。「Superstar」はThe Temptationsの方ではなくCarpenters（もしくはDelaney & Bonnieというか）のほう。ベースのイントロから香津美の優しく歌う泣きのギターが美しい。ブラシを振り回している力哉のプレイもエモーショナル。続く「Come Together」は当然Beatlesのナンバーだが、一転してかなりハードなメタル調。キーボードソロがへヴィだ。
ラストの「No Money, No Girl, No Business, - But We Still Have Music!」はポップなライトフュージョン。Larry Carltonのようなフレーズから始まって、このままスムージーにいくのか．．．と思いきや彼らにそんな選択肢はなかったw
5人になって、これから．．．というところでRESONANCE VOXは3年間にわたった活動を終える。島田が入って聴きやすくはなったが「普通の」フュージョンに近くなった感じ。スーパーテクニシャンギタリストの香津美とリズム隊の3人ががっぷり組みあい、香津美のリードのときはバカボンの複数弦弾きや高速ランニングで音を埋め、饒舌な力哉のプレイが「環境音のヴォリューム」をあげ、数少ないスキマを狙って八尋が切り込む．．．
5人組になって音は厚くなったが．．．．
【収録曲】
1. Glory's Stomp
2. Barong
3. Wise Up
4. Black Stone
5. RESONANCE VOX Plays Your Hits
-Superstar～Come Together-
6. O-X-O
7. RESONANCE VOX Plays Our Hits
-Plor～薫風満々～On the Beach～Pandora～Dr. Mambo X-
8. No Money, No Girl, No Business, - But We Still Have Music!
「No Money, No Girl, No Business, - But We Still Have Music!」
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購入金額
3,000円
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購入日
1994年頃
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購入場所
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