レビューメディア「ジグソー」

あらゆるPCに組み込めるオールラウンダー

GeForce GTX 750Tiを搭載したELSA製グラフィックカード。GTX750Tiは最新のMaxwellアーキテクチャを採用し、よりワットパフォーマンスに優れた性能になっているとの事で補助電源コネクタが不要。小型ケースや小容量電源のマシンにも組み込みやすい。

このELSA GeForce GTX750Ti 2GB S.A.Cは基盤長145mmというコンパクトサイズに納めているのが最大の特徴。PCIexpressスロットにほぼ収まる小型サイズだ。フルハイト2スロットという制限はあるものの、内部スペースの厳しい小型ケースでも収まるものは多いだろう。

やはりスロットのツマミが見えるくらいの長さだ。
とはいえ恐らく基盤自体はリファレンスと同等のもののように見える。やはりこのELSAモデルのアピールポイントはクーラーだろう。


製品名はGLADIACではなく「S.A.C」のシリーズ名を冠している。Silent Air Coolingの頭文字との事。基盤長は確かにローエンドグラフィックボードと同等…いや、ヘタしたらそれよりも短いサイズだが、クーラーは2スロット分がっつり使う形状で、9cmケースファン級のサイズを持つ冷却ファンが備わり小型ながら冷却性を確保。


クーラー自体はヒートパイプ等が見えないシンプルなものだが、金属製カバーも相まって信頼性が高そうに見える。ただ個人的にはELSAといえばGLADIACのような青系のクーラーを持ったモデルのイメージがあるのでちょっと寂しい。

ELSA=GLADIACの青いイメージがあったもんで。ちなみに並べたGTX 560TiはもちろんGT240よりも基盤長は短い。GT240は1スロットクーラーという差異があるがこの小ささは圧倒的だ。

画面出力はDVI*2にMiniHDMI*1。3画面出力を行う場合はMiniHDMI系の変換アダプタが必須となる点に注意。

付属品は日本語マニュアル、ドライバCD、DVI→D-Subコネクタなど。箱が他製品とあわせるためなのか妙にでかい。エルザ・ジャパン自身が日本法人ということでマニュアル・サポート面は安心だ。

 



 早速ベンチマークとワットモニターによる消費電力計測で、他グラフィックボードとのワットパフォーマンスを比較してみよう。古いVGAとの比較も行うのでDirectX9世代の3DMark06、そしてMMORPG系のFF14ベンチだ。

使用する環境は下記の通り。IvyBridge世代のi7を使用した構成で、消費電力の値はこれらを含んだもの。光物を多く仕込んでいるがマザーボードの消費電力が低いのでIvyBridge世代の自作PCとしては平均的…いや低めのマシンかもしれない。

CPU:Core i7 3770K
MEM:DDR3-1866 4GB*4
M/B:MSI Z77A-GD55
HDD:Seagate Hybrid SSHD ST1000DX001
PSU:Scythe ENERGIA-450(450W GOLD認証)

電源ユニットはGOLD認証の450W電源。750Tiだったらこれで十分と思われるが、むしろ他のグラフィックカードでの計測が怖い。比較するのは下記のグラフィックボードと3770K内蔵のHD4000。HD4000未満の性能のグラフィックボードもあるがキニシナイでおこう。

先にこれから掲載するスコアや消費電力の元データ一覧表を。グラフィックボードの詳細なモデル名はこちらを参照して頂きたいが、レビュー中では基本チップ名で表記する。

 ぶっちゃけ下のHD6450とか7800GTXとかNVSとかMATROXとか入れる意味があったのか謎なのだが。案の定FF14ベンチが起動すらしなかったグラボが3枚。

 

という訳でベンチマークスコアから。グラフがでかいので別途開いていただくと判りやすい。

 大まかな傾向はHD7770CFX>GTX750Ti≧GTX 560Ti>HD7770>HD7750

 

これだけ見ると560Ti+α程度の性能で、同じ補助電源無しクラスであるHD7750に対してワンランク上…いや、HD7770をもしっかり上回る性能というのが判る。

さすがにHD7770*2(CrossFireX)には負けていて、特にFF14負荷が大きい最高画質設定でのスコア差が大きく更に負荷の高いベンチやゲームだと差が広がるかもしれない。しかし単発性能では私が持っているグラフィックボードでは歯が立たない。


もちろんこれを越える性能のグラフィックボードは世の中にあるのだが、私自身が補助電源無しもしくはコネクタ1つ程度のクラスのグラフィックボードをメインに購入していたのでこうなった訳だ。当たり前の話だが旧世代VGAや画面表示特化モデルとは別次元のスコアだ。

次は消費電力。アイドル状態とOCCTによるPC全体及びGPUのみへの負荷。
そして一般的なゲームプレイ環境に近いであろうFF14ベンチの最初のシーン内での最大値。

 

大まかな傾向はHD7750<GTX750Ti≦HD7770<<HD7770 CFX<GTX560Ti


PC全体に負荷をかけるOCCTでも160Wという低さを記録。CPU次第ではACアダプタキットでの動作も狙えるレベルだ。先ほどほぼ同性能を記録したGTX560Tiはなんと282Wなので120Wもの差がついている。一方消費電力的に近いのはHD7770の170W。何故かOCCTGPUとOCCT全体で順位が変動しているが低めであることに変わりはない。
一方750Tiの他に眼をひくのがHD7750。性能的には一回り下ではあるもののその分消費電力も一回り低い。ワットパフォーマンスという点ではなかなかの強敵だろう。

 

個人的にはRadeon側で補助電源コネクタ有無の境界となったHD7750とHD7770に対してHD7770に近いという点が少しきになる。基盤には補助電源コネクタのパターンらしきものがあり、他社製OCモデルは補助電源コネクタ付きもある。750Ti自体結構ギリギリを攻めているのかもしれない。

 


 さて次はちょっと変わったベンチマーク結果を。

これは「カスタムメイド3D体験版ベンチマーク」を初期設定で動かしてその消費電力を計測したもの。

具体的に言うとHD4670程度の性能でほぼフレームレートが60に到達してしまい、それ以上はGPU負荷がかからない状態だ。FF14ベンチではぶっ飛んだ値を記録した560Tiを含めて60~70W台に収まっている。逆に性能が足りず全力稼動となってしまう旧型モデルの方が高い値を出している。もちろん2枚稼動状態になってしまうCFXもだ。

 

このようにある程度の負荷でとまってしまうゲームの場合過剰な性能のグラフィックボードは無駄に電気を食ってしまうかと思いきや、負荷にあわせて消費電力を抑えてくれるという事。もちろんゲームソフトの挙動にもよるのだが、今回のGTX750Tiには強制的にFPSを指定してそれ以上の負荷をかけないというフレームレートターゲット機能もあるので組み合わせればより消費電力や発熱を抑えられる。

 

またGTX750Tiは今回60FPSを維持できたグラフィックボード(グラフのHD4670より上のもの)の中ではHD7750を抑えて最低消費電力をたたき出しているのも見逃せない。

 


一方負荷の無いアイドル時の消費電力。GTX750Tiは44.2Wと相応に低いもののRadeon勢が元々低かっただけに突出している訳ではない。グラフィックボード無し状態のIntelHD4000が37Wと低いのは当然として、HD7750の低さ(40W)とCFXでも単発でも大差無いHD7770が際立つ。

 


少々強引だが3DM06の2項目のスコアを合計してOCCTのGPU負荷時消費電力で割ったワットパフォーマンスの値はこちら。

HD7750も善戦しているが、GTX 750Tiのワットパフォーマンスの高さは見事。もちろんあくまで3Dmark06+OCCTのデータを組み合わせた値なので参考値なのだが、ここまで差があれば今回使用したグラフィックボードの中で最高のワットパフォーマンスを持つといって大丈夫だろう。GTX560Tiに対しては実に2倍近いスコア差だ。

 

とまあ、ベンチマークと消費電力を見る限り基本性能に関しては高い次元でバランスが整っている。しかも発熱に関しても余裕があり、動作音もPCのほかの部分にかき消される程度。

 

もちろんファンレスVGAの無音には勝てる訳が無いのだが、ファンレスVGAは長時間のゲームでは不安が残る。一部ののファンレスモデルはベンチマーク中ヒートシンクを指で触ると熱っ!となるくらいの温度になっているのでケース側での冷却を考える必要がある。

またファンがあるのに560Tiは取り外し時に長く持ってられないくらい熱くなっていた。やはり消費電力の多さは熱にも影響してしまうのだろう。

 

一方基盤が長いぶん大きなヒートシンク&大型ファンを持ったHD7770が動作中も静かでヒートシンク温度も低かったのだが、今回のELSA 750Tiはそれに匹敵する静音性ながらコンパクトさを実現している。

更新: 2014/05/16
ELSA GeForce® GTX 750 Ti 2GB S.A.C の良かった、気に入った、オススメしたい機能や特長等 PREMIUM REVIEW

高いワットパフォーマンスとゲームに必要十分な性能

さてベンチマークでその性能のよさについては判ってしまったのだが、実際にゲームをプレイしてみよう。但しさすがにグラフィックボードは選抜して…

 

レビュー品のELSA GTX 750 Ti 2GB S.A.C GD750-2GERT
ベンチマークで近いスコアを出したELSA GLADIAC GTX 560 Ti GD560-1GERTI
消費電力の近いXFX R7770 BLACK EDITION FX-777A-ZDBC
更にXFX R7770 BLACK EDITION FX-777A-ZNBCを追加したCrossFireX環境の4つを扱う。(以下それぞれ750Ti/560Ti/HD7770/HD7770CFX)

 

そしてPC環境もより今までの実使用に近づけて少し変更。

 

CPU:Core i7 3770K(OverClock 4.4GHz)
MEM:DDR3-1866 4GB*4
M/B:MSI Z77A-GD55
HDD:Seagate Hybrid SSHD ST1000DX001

Sound:Sound Blaster X-Fi Titanium Fatal1ty Champion Series SB-XFT-FCS

PSU:Thermaltake EVOBlue 2.0 850W(850W GOLD認証)

他冷却ファン、アクセサリ類の追加

 

消費電力への影響が大きいのはやはりi7のOC化と電源容量の上昇。i7のOC化やパーツの追加も相まって先ほどのベンチ環境より一回り消費電力は増ており、アイドル消費の時点でベンチ環境より20W前後上昇している。

GTX750Ti:64.8W/GTX560Ti:75.2W/HD7770:64.3W/HD7770CFX:64.5W

 

実プレイテストに使うのはMMORPGのTERA -The Exiled Realm of Arborea-。

[TERA-The Exiled Realm of Arborea- 公式サイト]

 

ネットゲームというのはプレイヤーの間口広げる為にオフラインゲームに比べて比較的軽量なものが多いのだが、TERAはその中でも重量級の部類に入り、またアクション要素が多いのでフレームレートは高いに越した事が無い。

もちろん画質を上げれば細かく作りこまれた可愛らしいキャラの衣装が詳細に表示される。どうせプレイするなら綺麗な画質でぬるぬる動くキャラクターを見たいもの。とはいえガッチガチのFPS等と比べたらぜんぜん軽いのだが。

 

今回はフルスクリーン1920*1080解像度でプリセット画質を5(ほぼ最高)、dxtoryでFPSを表示し横に置いたワットモニターで消費電力を同時計測する。キャラクター選択→ソウルリーパーを使っての通常モンスター戦闘→ソーサラーを使っての中型モンスター戦闘だ。

手前にカメラを設置している関係でアクロバティックな姿勢でのプレイになっているのでただでさえヘタなプレイが更にヘタになっているがキニシナイ。

ソロプレイかつ他のプレイヤーが居ない場所を狙っているのでTERAとしては軽い場面になる(他プレイヤーが多く表示されるとガクっと重くなる)。

  • GTX 750Ti…最低FPS:40/消費電力:約130~154W
  • GTX 560Ti…最低FPS:39/消費電力:約236~254W
  • HD7770 …最低FPS:24/消費電力:約121~155W
  • HD7770CFX…最低FPS:30/消費電力:約215~236W

※読み込み時等極端な数値は省略

ご覧の通り実プレイでも「HD7770と同等の消費電力」かつ「GTX560Tiと同等のフレームレート」を実現している。今回のプレイ環境では3種共ほぼ30FPS以上を維持していたが、HD7770ではエフェクトが重なった時など一瞬30fpsを割る事がある。プレイヤーが密集する場面では体感でカクついてしまう場面も出てくるだろう。

 

録画以外でももちろんプレイしたのだが、750Tiなら首都の倉庫前など極端にプレイヤーが密集する場合以外は30を割る事も無く、通常のプレイでストレスを感じる事はまず無いだろう。

消費電力に関しても750TiはHD7770より微かに高い傾向があるものの、560Tiに対しては100W近い差だ。

 

※一応触れておくとHD7770CFXがHD7770単発より消費電力が高いくせに全体的にFPSが低下しているという悲しい状態になっているのだが、実はこれTERAがマルチGPU環境と相性が悪くパフォーマンスが出ないと言う特性を持っている為。この問題があるので今回CFX環境は動画にしないつもりだったのだが、ベンチマークで唯一750tiを超えていたCFXを省くのもアレかなと思いそのまま録画した。問題を回避する方法もありそれを行うとベンチに近いFPSが出るらしいが非公式なので行っていない。

 

 

さて、一つのゲームだけではアレなので同じ計測をもう一つのゲームで行ってみた。DLゲームの「GoatSimulator」だ。

…ヤギだ。

 

ヤギになれるだけのゲームで別にフレームレートが高くても低くてもヤギはヤギで、細かく作りこまれていても結局ヤギなのであんまりうれしくないし、ぬるぬるするとなんか不気味なのだがどうせなら快適にヤギになってみたいという熱狂的なヤギファンが居ないとも限らない。

プレイ内容はヤギの生贄を落とす能力を持つ「Goat Queen」状態でスタートし、近くの車に体当たりしたのち集会場でヤギの生贄を50匹くらい召還して荒らしたあと車道に戻る。意味がわからないがヤギだから仕方ない。

初出時書き忘れていたが1920*1080のフルスクリーンモード、画質設定はシャドウ有りなど上げられるだけ上げた状態。

 

  • GTX 750Ti…最低FPS:20/消費電力:約128~155W
  • GTX 560Ti…最低FPS:21/消費電力:約236~237W
  • HD7770 …最低FPS:13/消費電力:約123~156W
  • HD7770CFX…最低FPS:20/消費電力:約191~230W

※読み込み時等極端な数値は省略

TERAと異なりしっかりCFX環境の恩恵も出ているが、ベンチマークのスコア差からみるとやはり本領は発揮しきれていない様子で、750Ti・560Ti・HD7770CFXのヤギフレームレートに目だった差は無い。若干ではあるが560Tiの方が50匹召還時のヤギフレームレートの落ち込みが少ない気もするので向き不向きだろうか。

 

消費電力に関してはやはり明確な差が出ており、ベンチマーク時と同様。560TiやHD7770CFXは200~230Wを維持するのに対して750Ti・HD7770は120~150Wに収まっている。これなら長時間のヤギプレイも安心だ。

更新: 2014/05/16
ELSA GeForce® GTX 750 Ti 2GB S.A.C を一言で表すキャッチコピー PREMIUM REVIEW

コンパクトでも妥協はしない

とにかく基盤サイズの小ささが目を引くELSA GeForce GTX 750 Ti 2GB S.A.Cだが、コンパクトさの為に犠牲になっている部分は無いといっていい。HD7770クラスの消費電力と静音性を持ちながら560Tiクラスのゲーム性能を叩き出すという高次元で纏まったグラフィックボードと言える。


 「規格的には問題ないが実際つけてみないと判らない」点が何かとあるジャンルであるグラフィックボード。しかしこのELSA GeForce GTX 750 Ti 2GB S.A.Cは、2スロットフルハイトという点さえクリアすれば、殆どのPCケースに収まるサイズ、消費電力も普及帯の自作PC向け電源で賄えるレベル。静音性・冷却性も十分で長時間の動作もOK。大抵のゲームはプレイ可能な性能…とにかく隙が無くいろんなPCに組み込める。

最近は2スロットのスペースをとったITXケースも増えてきているのでそういうケースにはもってこいのパーツだろう。
 
ところで今回使ったPCは、元々Radeon HD7770を2枚装着していた比較的大柄なATXケース。


このELSA GeForce GTX 750 Ti 2GB S.A.Cには大きすぎる…内部スッカスカだよ。


一番の問題は「せっかく高性能なのにPCに組み込むとまるで目立たない」という点かも。

コメント (10)

  • 下小川さん

    2014/05/10

    修正しましたー。やっぱり私はギリギリにすると誤植もパワーアップするようで・・・ジャヤアアパアアン!
  • リーダーさん

    2014/05/10

    下小川さんのマシンで目立つためには
    光らないとダメですね(笑)
    それにしても、コンパクトでパワフルですねー
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