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絢風の後継となれるのか?セミファンレスプラチナ電源

Huntkey製の80PLUS PLATINUM認証電源。容量は500W。
海外ではX7シリーズという扱いになっているのだが、国内向けには「黒風」のペットネームを与えられて、あの「絢風」に続くモデルという位置づけのようだ。

絢風といえば当時のATX電源としては最小クラスの300Wという低容量で80PLUS GOLD認証を得て低容量高効率電源としてその地位を確固としていたモデル。


 

一方今回の黒風は500Wと最近としては一般的な容量になった一方、更に上位となる80PLUS PLATINUM認証を取得。このPLATINUMを取得するには定格に対して20パーセントの低出力でも9割を越える変換効率を出さねばならない。
 という訳で今まで絢風が得意としていた100W未満の低出力環境でも、変換効率が期待できる。また低負荷時はファンレス動作を謳っているセミファンレス仕様も特徴。


公称効率を比べてみると…(出力は小数点以下四捨五入)

絢風300  61W 88.47% / 152W 91.15% / 303W 88.15%
黒風500 101W 90.63% / 252W 92.62% / 502W 90.31%

と、さすがプラチナ!と言いたいところだが、消費電力効率のグラフが山を描いているとすれば100W未満の消費電力帯ではどうなるか判らない。実際に比べてみるしかあるまい。
但し絢風は購入して丸2年、ほぼ毎日使用しているので劣化している可能性はある。というかそれを鑑みての置き換えを狙った訳ですが。

 

 

 

 



 使用PCはXeon E3-1260LにHD7770、マザーボードはMSI B75MA-P45、SSDと2.5インチHDDが1台づつという、ネトゲ向け自作機。計測はワットモニターで、アイドルは前後する数値を目分量で一番回数が多く表示された値、OCCTとPrimeは2分程回した間の最大値だ。

絢風300  アイドル33.3W  Prime78.5W  OCCT150W
黒風500  アイドル33.8W  Prime78.4W  OCCT148W

 (掲載当初絢風の数値ちょっとだけミスってました)

なんかもう調整したんじゃねえかってくらい意図を感じさせる数値なのだがそうでてしまったのだから仕方ない。アイドルでは若干絢風有利(但し誤差レベル)、Prime95でほぼ同じ数値、そしてOCCTでは逆転だ。

しかしこれは困った、ネトゲPCは用途上OCCTのような最高負荷になることは殆ど無く、大抵アイドル~70W前後辺りをウロウロする用途。つまり今回の実測から察するにあまり交換する意味が無い。

 

実はもう1台交換候補PCがあったのでそちらを…

 

Super Flower SF-350P14XE (350W 80PlusGOLD)。以前購入時のレビューでは絢風に僅かに及ばなかったものの、かなりの効率を見せ付けてくれた電源だ。絢風と殆ど同じ効率なら置き換えても同じ結果になりそうなものなのだが、コイツが搭載されているPCは一回り消費電力が大きいPC。これなら500Wの黒風もプラチナの本領を発揮できるのではないだろうか。

 



 構成はXeon E5-2620にMATROX M9138、ASRock X79 Extreme6に4GBメモリ*8、HDD2台にSSD1台。特殊すぎて全く参考にナラン。OCCTは上手く動かないのでアイドルとPrimeのみ。

SF-350  アイドル81.5W  Prime149W
黒風500  アイドル79.8W  Prime145W

とまあやはりほぼ対絢風と同じような結果。負荷が大きくなれば黒風のプラチナが生きてくる。このPCは100W前後で動作する事が多いのでコチラを交換しよう。

元々この2台の消費電力低下を狙った訳ではなく、玉突きで絢風かSF350を家族用PCに回したかったのが主目的だったのでOK。

ちなみにどちらの構成でも待機電力はワットモニター読み0Wを達成している。

 

 

 


 

 

さて、恐らく殆どの人が注目するであろう効率実測を先に書いてしまったので後は電源本体の仕様や、細かい点を絢風と比べてみよう。

 



 まず決定的な差と共に特徴となるのが「セミファンレス」仕様。低負荷・低温時はファンが回らないという高効率電源ならではの仕様なのだが…今のところファンを回っているのを見たことが無い。最大で150Wくらいしか負荷をかけていないせいなのか、涼しい日のせいなのか、実は初期不良なのかと心配になるのだが。とにかく今のところまるでファンは回っていない。

 

 


 
実はこの思った以上に回らないセミファンレス仕様というのが絢風側の置き換えをやめた理由のひとつで、絢風を搭載している自作PCは電源の排気がケース内のエアフローを維持するのに重要だったのだ。

 

同じように電源排気が重要な構成(例えばAntec P183の下部とか)の場合エアフローが変化してしまう事があるので注意。せっかくセミファンレスならSuperFlower製のようにセミファンレスモードと通常モードの切り替えスイッチが欲しかったところ。
 
とはいえ、その特性を生かせばファンレス電源に近い運用が可能という超静音電源ということになり、この価格帯では珍しい存在。動作中電源ユニットの外側に手を当ててもひんやりしており、発熱自体がは少ないのは確かなようだ。うまいことかみ合えば静音化の大きな武器になる。
 
 

 

本体は絢風と全く同じサイズ…というかほぼ同じ筐体。背面のコネクタ向き及びメッシュ形状が変更されているだけ。Huntkeyらしいツマンネー…じゃなかったシンプルな見た目。但し塗装は光沢ブラックで差別化された。

 


 そして絢風同様相変わらずスイッチが無い。
 
一方コネクタ類は大幅に増量されている。というか絢風があまりに割り切りすぎたケーブル構成だったせいなのだが。

 


 但しペリフェラル4pin>SATAコネクタだったり、PCIexpressが1本だったりちょっと古さを感じる構成。ちなみに絢風では一部白が混じっていたコネクタカラーは黒に統一。相変わらずケーブルは剥き出しでスリーブ処理なんてオシャレなものとは無縁。


 ところで注意したいのが、ネット上で使われている「X7-500」の写真。何故かプラグインコネクタを装備したものを使っているサイトがあり、Amazonの見本もそれ。公式サイトは背面側の写真のみなので、別モデルと写真を間違えているのかもしれない。とにかく私の買った「X7-500 黒風」はご覧の通り通常ケーブルだ。

 

 

 


 
 


 
さて、実質100W未満となる自分のPCでは絢風の置き換えとはならなかったのだが、ワットモニターによる手動読みなので誤差を考えれば、低消費電力帯でも1W未満の差=ほぼ同性能と思って構わない。もちろん実消費電力が100W以上のクラスの構成なら絢風を超える効率を叩き出す。

0.1Wを競う低消費チャレンジャーならともかく、一般的な観点から見れば絢風に対してほぼ同等の低消費電力性能を持ちながら、容量が多くなり後々の拡張にも耐えられるし、ケーブルの本数も余裕があるし、セミファンレスで静音性も高い。
 
絢風の後継としてみれば十分その役目を果たしているし、500Wという容量も最近のPCならちょうどいいサイズなので、旧型電源からの乗り換えにも扱いやすい。
 
が、取扱店も少ないし、ネット上の情報も少ない。絢風の注目度に比べてしまうとあまりに地味。幾つか理由を推測してみると…


 
●発売時期の遅れと取り扱い店舗の少なさ
2011年3月にコレのサンプルがツクモに入荷したという記事がある。その時はまだプラチナ電源といえばSuperFrowerくらいだったのでもしココで発売していればもっと注目されたはず…が、結局発売されたのは思いっきり間が空いて2012年11月。ナンテコッタイ。

●価格とブランド力
失礼な言い方だがHuntkeyのブランド力はあまり無く、国内では廉価電源のイメージが強いメーカーだ。サンプル発表の頃ならともかく、こいつが発売した時にはAntecや玄人志向といった人気のあるメーカーのプラチナモデルが発売されていた。
しかも発売時の価格は約10000円と、セミファンレスという付加があるものの両者に対して割高。

●EA-450-PLATINUMの存在
結局のところコレに尽きる。信頼性の高いイメージのあるAntec製電源で、450Wプラチナ。実売価格も安い事が多く、以前キャッシュバックキャンペーンとの組み合わせで5980円-2000円という恐ろしい実価格で入手できる時期があったので、この辺の容量のプラチナ電源を求める人は既にEA-450を買っているのでは。

※あくまで全部想像
 
 
と、なんとなーく理由が判る。しかし今回の現品はツクモDOS/V館の店頭特価で6980円。その後更に低い価格をつけたショップもあったようなので、安く入手できる可能性はある。この値段ならコストパフォーマンスは文句無し。

目立たない存在ではあるものの、500Wの高効率電源として、また低消費PCのファンレス気味静音電源として、面白い存在じゃないでしょうか。

 

 

【13年6月追記】

使用して3ヶ月弱が経過したが、問題なく動作中。

それにしても室温が30度近くなる時期なのに未だにファンが回っている所を見たことが無い。まあピークでも150W程度の構成なのでそのせいかもしれないし、電源背面を触っても極端に熱い感じはないので大丈夫なのだろう。

 

【13年7月追記】

室温30度オーバーの中長時間動作していたらついにファン回転を確認。壊れてはいなかったのか!回転時はそこそこの風量があるようでしっかりと放熱している。音もそれなりにあるはずだが、コレが回るような環境だとCPUクーラーがそれなりの回転数になっていたせいでかき消されていた。

 

【14年11月追記】

構成変更で負荷時消費電力が最大300W程度まで上がったが、それでもなかなかファンは回らない。長時間の負荷がかかるエンコードやゲームでもしない限り殆ど回らないのでは。1年半以上毎日のように使っているが特に怪しい挙動やコイル鳴きはなく安定。

  • 購入金額

    6,980円

  • 購入日

    2013年03月29日

  • 購入場所

    TSUKUMO DOS/V

コメント (4)

  • cybercatさん

    2013/04/04

    おお、これいいですね。
    絢風はその尖ったセッティングと350Wという微妙な出力でセミファンレスには興味があったんですが、結局見送り。
    こっちの方が使いやすそうです。
    5000円くらいになってくれないかな~
  • 白輝望さん

    2013/04/04

    この電源は私も気になってたんですよ。セミファンレスってのは記事を読んで初めて知りましたが、いいですねー!

    うちの構成でも大丈夫そうだし。(H61、i7-3770K、RAM2GBx2、7750、SSDx1、3.5HDDx1、DVDx1)

    しかもDOS/V館ってことは…ああ、あれですかw
  • カーリーさん

    2013/04/04

    arkで5,980円で出てましたねー
    色んな利点をケーブル構成がダメにしているような気がします・・・
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