所持する音楽データに対する私利私欲．．．イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。曲が人の心に残るとき、人の耳にとまるとき、詩のフレーズが心に焼き付いて．．メロディが頭の中でリフレインして．．あるいは刺激的な効果音や特徴的なコード進行にハッとさせられて．．と様々なパターンがあります。ただ多くの人は曲を「完成された作品」の状態で耳にしますので、詞と曲の他に最終的な味付けであるアレンジも重要です。それをあえて壊してファンからの評価の高い曲を再録したアルバムをご紹介します。

スキマスイッチ。大橋卓弥と常田真太郎からなるデュオ。大橋がギターとヴォーカル、常田がピアノとコーラスを担当。曲は常に共作でアレンジまで自分たちで手がける。そんな彼らがメジャーデビュー10周年を前にファン投票で選ばれた2011年の5thアルバムまでの曲ベスト12に対して、アレンジしなおして二人だけで録音したベストアルバム。ドラムやベースなど普段手がけない楽器まで二人が担当して創り上げた。多重録音も使っているので、弾き語りパターンばかりではないのだが、ピアノ（エレピ含む）弾き語り、もしくはそれに＋ギターという曲も多く、曲の良さ、詞の良さをかみしめられる造りになっている。

二人だけで新旧の曲を演ったことが象徴されているジャケット

「全力少年」。彼等の5thシングル（ファン投票3位）。スキマスイッチがブレイクした2ndアルバム“空創クリップ”のメインの？曲。シングルアレンジはバンド＋ブラス＆ストリングスでゴージャスなアレンジだが、後までライヴで歌われたのはよりソリッドなバンドアレンジ。それがギター＋ピアノでさらに贅肉をそぎ落とした。♪遊ぶこと忘れてたら老いて枯れんだ／ここんとこは仕事オンリー／笑えなくなっている／ガラクタの中に輝いてた物がいっぱいあったろう？／“大切なもの”全て埋もれてしまう前に♪のところの「老いて枯れんだ」を「置いて（行）かれんだ」とかけた大橋の歌い方がより近く聞こえる。

「螺旋」は1stアルバムから（ファン投票6位）。元曲はちょっとジャズっぽいバックとラッパのラインがカッコイイ、ハネたリズムの曲だが、よりスローにちょっちレゲエ風のレイドバックしたリズムになった。ややクリップしたwurlitzer（エレピ）の音がいい。

ファン投票1位である2ndシングル、「奏(かなで)」はこれで3バージョン目となるが、シングルバージョン

のバンド＋ストリングスに比べて前回

絶賛したピアノ弾き語りの<Studio Live ver.>のポツポツとした演奏と同じく切々（せつせつ）系の編曲。生ギの弾き語り＋ピアノの伴奏、という風情。ボーカルの比重がより強く、半音下げられたキーとあいまってより心に響いてくる。ラスト♪君が僕の前に現れた日から何もかもが違くみえたんだ／朝も光も涙も／歌う声も／君が輝きをくれたんだ／抑えきれない思いをこの声に乗せて／遠く君の街へ届けよう／たとえばそれがこんな歌だったら／僕らは何処にいたとしてもつながっていける♪のフェイクする節回しがどのバージョンよりも抑えめで、むしろイイ感じ。

例によって初回盤なので、DVDとボーナスCD付きだが、制作風景を収めたDVDに対してボーナスCDは2012年に出されたシングルそのまま。もともと2011年までのベストをリアレンジして録り直すというコンセプトと外れると、同梱を反対する二人とまだオリジナルアルバムに収められていない最新ヒットを入れてよりヒットさせたい制作側。その狭間でいろいろ言い訳書いているジャケットになっているところがおもしろいかな。w

最新2曲を入れたいきさつがくどくどとｗ書いてあるボーナスとCDとそのジャケットｗ

 

歌は詞、曲、アレンジ含めて一つの作品ですが、良い歌はアレンジを変えてもやはり良い、そんな事がわかる作品です。

【収録曲】
<CD>
1. 全力少年
2. アイスクリーム シンドローム
3. ふれて未来を
4. 藍
5. 螺旋(らせん)
6. ボクノート
7. 雫
8. 晴ときどき曇
9. view
10. ガラナ
11. 奏(かなで)
12. ただそれだけの風景
<DVD>
DOUBLES BEST Recording Diary：レコーディング・ドキュメント映像
<ボーナスCD>
1. ラストシーン
2. ユリーカ

「全力少年」（DOUBLES BEST Version）

DOUBLES BEST 公式特設ページ