【編集部】今回、運命的な流れで生まれたこのカートリッジですが、お仕事としてはご満足していますか?
【松平氏】そうですね。40数年の仕事の中で、満足度は最も高い。集大成であると言ってもいいと思います。
【編集部】最後にオーディオファイルの方々に、音に関してのアドバイスなどを頂戴できればと思うのですが。
【松平氏】これは非常に難しいです。しかし、ひとつ言えるとしたら、やはりターンテーブル周りでしょうかね。ひとつは、トーンアームはビンテージものを使うのはやめるか、もしも使うのであれば、アーム内部の線を新しいものに取り替えられることをお勧めします。アーム中の30センチの内部損失はひどいですから。シェルリードで音が変わるのに、アーム内部に気を遣わないのはやはりおかしいです。もちろん、ここは簡単に交換ができる部分ではありませんので、作業は専門店などに依頼したほうが良いと思いますが、フォノケーブルやリード線がどうのこうのと言うよりは、中の30センチを変えた方が良いと思います。
あとはターンテーブル電源アースと、ターンテーブル、トーンアームのアース。それを一緒にしないこと。それがアナログを良く鳴らす秘訣です。ターンテーブル電源アース、ターンテーブルとトーンアームのアース、これらを一緒にするから極めて問題なんですね。ターンテーブルとカートリッジが容量接続の状態になっていますから、これをしっかり処理してあげるだけで、音は見違えるようになると思います。
【松平氏】それと余談ですが、ステレオが良くて、モノラルが駄目、と言う問題。それは本当によく考えなくてはならないですね。モノラルの音が悪いというのは、単に接続の仕方を間違えてしまっていることもあります。一般的にはステレオがもてはやされますが、モノラルには音の密度というすばらしい点があります。これは、その当時のレコーディング技術やそれを録音したエンジニアが良いということもあると思っています。当時は当然、機材は良くない。真空管で、場合によってハムってる音まで録音されています。しかし、そこに凝縮されている音楽のエネルギー感は非常にすばらしい。私はそれを最高に鳴らすことが、エミネントソロの命題であると考えています。
【編集部】本日はお忙しい中、貴重なお話をいただきまして本当にありがとうございました。これからの新製品にも期待しておりますが、ハイパーエミネントソロの登場は近いのでしょうか?
【松平氏】それは、今は答えられません。
しかし私はこれからも、カートリッジを作り続けますので。
Eminent ステレオMCカートリッジ 低インピーダンスと高出力を両立した画期的MCカートリッジ。 出力電圧:0.5mV/1kHz 内部インピーダンス:1.8Ω 針圧:1.9g~2.2g 自重:9g |
Eminent Solo モノラルMCカートリッジ デュアルコイルの採用により理想的なモノラル再生を実現。 出力電圧:0.5mV/1kHz 内部インピーダンス:2Ω 針圧:3g±0.3g 自重:9.5g |
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Hyper Eminent ステレオMCカートリッジ 航空機やレーシングカーに使われるA7075(超超ジュラルミン)を使用したリファレンスモデル。 出力電圧:0.5mV/1kHz 内部インピーダンス:1.8Ω 針圧:1.9g~2.2g 自重:9.5g |
SH-1Rh ヘッドシェル エミネントシリーズに最適化したシェル。接点のメッキ処理には腐食に強いロジウムを採用。 質量:約14g |
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Stage 202 MC昇圧トランス エミネントシリーズに最適化した昇圧トランス。 昇圧比:22dB(2Ω/47kΩ/1kHz) カートリッジ適合インピーダンス:1~6Ω 負荷抵抗:47kΩ |
Stage 302 MC昇圧トランス Stage 202をブラッシュアップした上級モデル。 出力ターミネイト抵抗にVISHAY・Z201を採用。 昇圧比:22dB(2Ω/47kΩ/1kHz) カートリッジ適合インピーダンス:1~6Ω 負荷抵抗:47kΩ |