ZIGSOWラウンジ


Product INSIDE 01 究極のアナログ再生を求めて ハイパーエミネント開発背景に迫る

未だかつてない音楽再生。聴いたことが無い鮮度感。うねりのように押し寄せる音の洪水。初めてエミネントシリーズを聴いたオーディオファイル(愛好家)の多くは、驚嘆の声を上げる。
これが今まで聴いていたディスクなのかと。音程がしっかりと感じられる低域や、伸びるのに刺々しくならない高域。厚みも艶も十分な中域が分離良く、怒濤のように押し寄せてくる様がそう言わしめるのだろうか。
それは今まで数多くのカートリッジメーカーが挑戦し続けている大命題でもある。その答えに近いような再生がなされているのは一体何故なのか。それを開発者である松平氏本人に訊ねてみた。

40数年間オーディオ業界の中枢で活躍をしてきた松平氏が興したマイソニックラボは、コア素材に全く新しい新素材を使ったカートリッジ、エミネントで一躍有名になり、その後エミネントソロ(モノラルカートリッジ)の発売を経て、現在ではハイエンドに位置するハイパーエミネントまでをラインナップする。他には、それらのカートリッジに最適な形でマッチするトランスであるStage302も販売している。
良い音で聴きたいというのは、この業界に入ってから始めたこと

【zigsowラウンジ編集部(以下編集部)】本日はお忙しい中、お時間を頂戴致しましてありがとうございます。今回は 2003 年に突如、エミネントが登場した経緯も教えて頂きたいのですが・・それをお伺いする前に、少し違った角度から質問をさせて頂きたいと思います。とても抽象的になるのですが、松平さんにとって音楽とは、どのようなものですか

【松平氏】 (笑)音楽ですか・・音楽とは、などとあまり考えたことは無くて、自分が好きだから。もう、ただそれだけですね。良い音で聴きたいというのは、この業界に入ってから始めたことで、それまではもう、心地良いから聴く、音楽が好きだから聴く、という気持ちでしか向かい合ってきませんでしたね。

良い音で聴くというのは、良いカートリッジを作るということそのものだったんです

【編集部】なるほど。そういたしますと、やはり心地良いのは CD ではなくて、アナログの方だったということになるのでしょうか

【松平氏】音楽とのふれあいはアナログが殆どでしたね。しかしアナログを聴くことが多かったのは、単純に仕事がカートリッジを作るということだったから、というのが大きいですね。 CD が出てきても、それはひとつの参考でしかありませんでした。当時はもう生活と仕事が一体化していましたから、良い音で聴くというのは、良いカートリッジを作るということそのものだったんです。また、もうひとつは、当時デジタルマスタリングされた音に、がっかりしたという経験があるんですね。当分デジタルは駄目だという部分もありまして、カートリッジに一層注力するようになりました。あとは、 LP が好きだったんでしょうね。

【編集部】 つまりクオリティ的にも、アナログの方が良いとお考えだったのでしょうか

【松平氏】 いえ。そんなことは思ってもいませんでした。デジタルはいずれ良くなるだろう、しかしそれまではアナログだと、そう思っていただけです。確かに良くなりましたよ、デジタルは。でも、今聴いても、上手く鳴った時のアナログって、やっぱり良いなと思っています。

Product INSIDEとは…

普段は表舞台に出ない開発者、製作者へのインタビュー企画。
彼らの抱く「ものづくり」へのコダワリをお伝えします。

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