▲坂本真綾 PROFILE
1980年3月31日生まれ。15歳から、本格的に音楽活動を開始。ナチュラルなボーカルと、瑞々しい感性に裏づけられた作詞力が各方面から高い評価を得る。音楽以外の分野でも多彩な才能をみせ、舞台、声優、執筆活動、ラジオパーソナリティとして活躍中。
OFFICIAL HP:http://www.jvcmusic.co.jp/maaya/
坂本真綾 トライアングラー
今春放送開始のTVアニメ
「マクロスF」オープニングテーマ
坂本真綾×菅野よう子×「マクロスF」
大型新番組「マクロスF」のための
スペシャル“トライアングル”
コラボレーション
NOW ON SALE
VTCL-35024 ¥1,050(税込)
アイディ。(※1)
大ボリュームの書き下ろしエッセイを中心に、オフィシャルサイトに連載中のエッセイ(後日談の加筆あり)やこの本のために撮り下ろした写真を含む入魂のPHOTO & エッセイ集
地図と手紙と恋のうた(※2)
坂本真綾自身が厳選した83曲の歌詞と、フィンランドでの撮下ろしフォトで構成されたフォト&歌詞集
■zigsow編集部 坂本さんはエッセイ集を出されていますよね。
▼坂本真綾さん 私が唯一、並べてうっとりする物といえば「本」なんです。本が好きで書くことも好きだから「いつかは本を書いてみたい」という想いが以前からありました。そして念願のエッセイ集(※1)と歌詞集(※2)は、自主制作に近いかたちで作らせて頂きました。
■- この本を通して伝えたいことはありますか?
▼真綾さん
歌詞以外では自分の話を、私個人の出来事を書いています。そして、それが読んでくださる方の人生のどこかと、少しでも重ね合わせてもらえたら…そう思っています。
私の仕事は「特別」だと思われていますが、他とは表現の仕方が違うだけ。例えばパソコンを使って働いている人なら「パソコンで表現をしている」そう思えば、誰でも同じだと思っています。
私には同世代の女性ファンの方が多くて、皆さんからお手紙を頂くこともあります。その中には「羨ましい」「自分と同じくらいの年齢なのに私と違ってすごい」という内容を書いて下さる方もいるのですが、私の人生に起こっていることは、実は誰もが経験するような事ばかりなんです。紐解いてみれば、恋もする、失敗もする、恥もかく、でもすごく良いこともある、それは本当に「あたりまえ」のことばかりです。その日々普通のことも一個一個、ちゃんと噛みしめたら結構面白かったり、エンターテイメントにもなるんじゃないかな、と思っています。自分の事ですが「パーソナル」と「エンターテイメント」が同居するように「頑張って書こう」と思っています。
■- 書くことも自己表現のひとつなのですね。
▼真綾さん
喋るよりも、やっぱり「書いているとき」のほうが「自分の言葉だな」とすごく感じます。ラジオで10年以上、切れ目なく番組を持っていますが、最初は本当に「3分間喋る」ことが苦手で、全然思うように口が動かなかったんです。つい余計なことをいったり、あとは思ってもいないのに、気の利かない、配慮の足りない言葉を口走ってしまったり…。人生経験も少ない10代の頃から「電波に自分の言葉をのせる」ということが本当に怖くて、喋ることに対して苦手意識が強くありました。ライブでMCを全部やめてテロップにしたいと思っていたくらい(笑)。でも文章は本当に落ち着いて「自分の言葉」にできる、「書く」という表現が私にとって「自分にいちばん近い」そう思うほど好きなんです。
今ちょうど3月から始まった連載コラムがあります。
■- どちらで連載をされているのですか?
▼真綾さん 「月刊ニュータイプ」という雑誌です。雑誌の連載は今までも、HMVのフリーペーパーなどに載せていただいてました。字数制限のないホームページはいくらでも書けますが、規約や締め切り、字数制限のある雑誌連載で「書くことで表現する」というのは、面白い挑戦でもあります。「歌う」「演じる」と共に「書く」ということも私にとっての、ひとつの大きな柱です。
■- 同じような質問になりますが、坂本真綾は何を仕事にしている人なのでしょうか?
▼真綾さん
「肩書きは何にしますか?」と聞かれると、いつもひとつに絞れなくて「なんでもいいです」「お任せします」と答えてしまいます(笑)。でも、強いていうなら「表現する人」であると。そうすると、表現するって何を?という話になりますね。
去年発売したシングル「さいごの果実」という曲のサビの部分に書いた「知りたい」という言葉のとおり、私は「知りたい」という願望が、あらゆることに対してすごく強いんです。
湧き上がる「なにか」の感情を抱いたときに「なんで今こんなに、なにかが気になっているんだろう」「その背景に何があるんだろう」「あの人は、どういうつもりで言ったんだろう」と、いちいち深く考えてしまう性格なんです。それぞれを紐解いて、その奥にあるものを知りたい、という願望が強く、それだけが原動力で色々な事をやっています。
だから、表現をしていて私自身に返ってくることは、いつも同じ「自分を知りたい」という気持ちなんです。自分のことをもっと知りたい、その答えが書くことや歌うことで、少しずつわかってくる気がします。もしかしたら探検家に近いのかも。
■- 探検家…、探求者ですね。
▼真綾さん そう言うと、格好良すぎて恥ずかしい…。何て言えばいいんでしょうか。真剣に考えれば考えるほど、伝えるのは難しいですね。宇宙でも、歴史でも、なんでもそうなんですが、とにかくその中に、奥にある、生まれた根源を知りたい、そんな想いです。根本的な衝動を仕事にするために表現をしている、自分を知るためにやっている自己満足にも近いので、どうにかエンターテイメントに転換しよう、といつも頑張っています。
■- 真剣だからこそ自分を枠で括らないのですね。
▼真綾さん
坂本真綾を舞台で初めて知った人もいれば、歌手だと思っている人もいる、声優と思っている人もいる、それぞれの人にとっての私、それで良いと思っています。私にとっては全部が「ひとつ」なので、何をしている時の坂本真綾が一番好きか、人それぞれに思う私があっていい、そう思っています。
「声優をしているところがイチバン好き」という人には「私のことを声優として応援してください」と思いますし、「歌手をやってるところがイチバン好き」その人には歌手だと思ってもらえれば凄く嬉しい。
私としては、見てくれる人にお任せしたいんです。どういう人か、どういう肩書きかは「そのヒトの入口に任せます」という感じでしょうか(笑)。
■- なるほど。自分の中では全てがひとつだから表面的な肩書きにはこだわらない、とお考えなのですね。
▼真綾さん
はい。正直言うと「好き勝手やっていてスミマセン」とも思いますが、本当に楽しくて。仕事だからではなくて、楽しいから、だからやっているんです。本当は、そういう人が世の中には多いと思いますよ。
だって、zigsowに会員がいっぱいいるということは、それぞれ夢中になる事を持っていて、そのために色々と労力を使って、好きなものを集めることでヒトとコミュニケーションをとって。何かを好きと思う気持ちは、行動の一番大きな理由になるんです。良いと思います、zigsow!
だから私も歌うことや演じることを好きだと思える間は、絶対大丈夫だと思っています。いつもラジオでも言っている言葉ですが『好きなことを見つけた人は、必ず、それを大事にして欲しい』
■- 最後に素敵なメッセージをありがとうございました。
(2008年4月 青山にて)