レビューメディア「ジグソー」

古き良きレコードを思い起こさせる

先日掲載した、レコード針JN-500を使うカートリッジです。

 

 

 

 

 

 

 

本来ワークショップで製作したレコード針は会場に用意されていたNT-500Mに装着して、音出し確認をして終わりの筈でした。ただ、参加者の中にNT-500Mを既に持っている人が含まれている可能性は低く、新たに自分でNT-500Mを調達しようにも十数年前に販売終了となってしまったカートリッジを今から入手するのも困難です。

 

するとスタッフの方から「折角作った針なら自宅で使って欲しい」という声が上がり、急遽ナガオカの本社に確認を取り、参加者の人数分以上のNT-500Mがデッドストックとして残されていることが判ったため、参加者は送付先を伝えておけばNT-500Mが後日送付されるということになりました。そのNT-500Mが本日私の手元に届きましたので、早速紹介していくことにしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参加者へのメッセージが印刷されて同封されていました。私としては組み立てて音を聴けただけで十分満足だったのですが、ここまでしていただくと恐縮するしかありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カートリッジに詳しい方なら気付かれるかも知れないのですが、実はNT-500Mは英国Goldringから発売されていたELEKTRA/ELANと酷似した外観ですし、ELEKTRAの交換針の写真を確認してみると、JN-500とほぼ同一のノブ形状に見えます。そしてELEKTRA/ELANはMade in Japanと表記されているということは…? まあ、これ以上は語るのを止めておきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

左がワークショップで作った針、右が純正装着です。よくみれば判るのですが、0.数mm程度、私が作った方がカンチレバーが長目です。

更新: 2023/06/29
総評

当時の価格を考えると驚異的なコストパフォーマンス

NT-500Mは、新品で販売されていた時期(約15年ほど前)の価格を調べてみると、メーカー希望小売価格が3,780円で、この価格でヘッドシェル取り付け済みで出荷されていました。今の物価で考えればどんなに安価な構造にしても、この価格で新品を販売するのは不可能でしょう。

 

OTOTENの試聴環境もTechnics SL-1200G(アンプ・フォノはSU-R1000、スピーカーはSB-R1)だったのですが、「Bohemian Rhapsody / Queen」は十分楽しめる水準の音で鳴っていたと思います。

 

今回は自宅の環境ですので、フォノイコライザーはPhasemation EA-200となりますが、早速試聴してみましょう。先に装着されていた純正針で聴いて、その後でワークショップ製作針に差し替えて聴きます。

 

ただ、ここで一つ問題がありました。NT-500Mはカートリッジ本体もヘッドシェルもかなり軽量で、総重量が14.4gしかないのです。SL-1200Gは一応14.3gから使えることになっているのですが、針圧を3gもかけられるのかはちょっと微妙でした。一応ゼロバランスを取った後、精一杯針圧をかけてみたのですが…。

 

 

 

 

 

 

 

標準針圧3gに対して、2.785gまでしかかけることは出来ませんでした。まあ、周囲の気温がかなり上がっていますし、元々±0.5gは調整幅を持っている針ですので、これで問題ないと判断して早速試聴してみました。「Fahrenheit / TOTO」の米国盤LPから「I'll Be Over You」を聴いてみます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

純正針は低域・高域に少しアクセントがあり、押出しの良さを感じさせる音ですが、ワークショップ製作針の方はそのアクセントがほぼ無くなり、むしろ中域の密度感が特徴的な音になります。

 

目立つ部分のアクセントが無いことから何となくレトロ感が出ているのですが、このバランスは私にとってのレコード原体験の音に通じるものがあります。TRIO製の型番不詳ターンテーブルに、ナガオカの交換針を買ってきて聴いた、あの音を何となく思い出すのです。現代的で高解像度のSL-1200Gからこんな懐かしさを感じる音が出てくるとは思いませんでした。

 

試聴を終えて、普段使っているaudio-technica AT-OC9/IIIに戻して同じレコードを聴いてみると、さすがにレンジも解像度も全くレベルが違います。オーディオ的に見ればAT-OC9/IIIの圧勝なのは間違いありません。しかし、NT-500Mの音は単に質が低いだけなのかといえば、そんなことは全くありません。何となくノスタルジーを感じさせるこの音にもとても惹かれるものがあります。標準装着の純正針の方がオーディオ的にはレンジも力感も上なのですが、ワークショップ製作針くらい振り切った音の方が、敢えて使い分ける意味は出てくるかも知れません。

 

ワークショップ製作針も標準装着の純正針も全く同じ部材で作られていながら、音は明確に別物となっています。ほんの僅かな組み立て方の違いできちんと音の差が生じる訳で、普段何気なく買っている交換針の精度の高さを改めて実感することが出来ます。

 

 

使い慣れたアナログ環境からまた新たな体験を得られた、とても貴重な機会をいただき、ナガオカの皆様に改めて御礼申し上げたいと思います。

  • 購入金額

    0円

  • 購入日

    2023年06月29日

  • 購入場所

    ナガオカ本社

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