レビューメディア「ジグソー」

限界を目指すのはそれ自身に意味がある! 冷やせ! そして耐えるんだSSD!

Intel SSD 730 480GB ギリギリチャレンジレビュー

快適さを求めるならやっぱりSSD!
近年のコンピュータ用記憶装置のトレンドは、大量のデータを安価に保存するストレージデバイスとしてのHDDとOS起動用のための高速なSSD(Solid State Drive)をうまく使い分けることです。もはやSSDという単語は自作PCに覚えがある人はほとんどが知っていると思うし、さまざまな種類のSSDが各社から発売されています。それらのSSDの差、というのはなかなか理解できないというのが私の見解。コントローラの種類が、とかいろいろチェック項目はあるものの、実際使ってみないと何とも言えないというのも本当のところでしょう。しかしまだまだSSDは高価で、決して安いパーツではないから慎重にならざるを得ません。そこで今回のように、極限を目指したレビューは非常に有意義なものとなる(本当か!?)でしょう。性能の限界を知っておけば、SSDの耐久性を知っておけば、購入時の選択の一つの基準となる・・・かもしれない。

【過去のモデルとの比較】
以前にプレミアムレビューでレビューさせていただいたIntel SSD 520 120Gと比較してみます。


情報はIntel Ark
より検索しました。以下、比較表です。


これを見ると、
・ランダムのリード・ライト共に向上したが、シーケンシャルは若干低下
・消費電力は大幅に増加
・耐衝撃性が500Gも減少
・故障間隔は800時間延びて2000時間に
といった特徴がうかがえます。これらの特徴から考えると、モバイル向けではなくデスクトップ向けの仕様と考えられるでしょうか。消費電力も大幅に増加したとはいえ、デスクトップ機なら問題になるような数値ではありません。耐衝撃性などはデスクトップ機なら関係ありませんし、つけっぱなしなど稼働時間の長くなるデスクトップやサーバー機向けでしょう。

【外箱・付属品】


今回テストに使用するのは480GBのモデルです。240GBモデルも外箱は同じで、未確認ですが中身も同じだと思われます。


裏面にも説明がたくさんあります。ちなみに保証期間は5年間ですが、今回のチャレンジには適用されません。。。


中身はこれらですが、とりあえず、いまどき8cmのCDにソフトウェアを詰め込むならダウンロードでいいと思うのですが・・・。

【検証用PC】
今回検証に使用したPCはTSUKUMO電気より発売されているeX.computerシリーズのミドルタワー機で以下のようなスペックとなっています。



eX.computer エアロストリーム RM5J-D41/S
OS Windows7 Home Premium 64bit SP1
CPU Corei7-2600 4C8T 定格3.4Ghz/TB時3.8Ghz
M/B Intel H67 MSI製 H67MA-S01
RAM DDR3-1333 4GB×2
HDD Seagate ST31000524AS 1TB
電源 Topower TOP-500D-B Max550W/定格500W 80PLUS BORNZE

大きな特徴や偏りはなく、多くの作業をこなすことができるように導入したPCで主に動画編集用として現在運用しているものをお借りしました。M/BはLGA1155世代のH67なのでSATA3に対応したSATAポートも備えているが2本止まり。今回は普段はDVDドライブに接続しているのだが、そのうちの1本を使用して検証しました。

【基本性能ベンチマーク】
以下、基本性能のチェックです。
Intel SSD 520 120GB
プレミアムレビューで使用してからほとんど使っていませんでした。

 


うーん?なんか遅い?Seq Readでは速度はまずまずですがWriteが軒並み低くなっています。理由は不明ですが遅いですね。

一方の本命です!
Intel SSD 730 480GB

 


本命のほうは速度がかなり出ています。512KのWriteなど圧倒的ですね!
一方で512KのReadは負けていますから、うーん?
使用したマザーとの相性もあるかもしれませんが、全体的には大幅に性能は向上しているが部分的には同程度の部分があるという結果になりました。


【で、何の限界を見極めるか?】
※ここから次回に続きます!

限界チャレンジですから、何か限界を見極めないといけません。今回は、「ある過酷な条件」に耐えられるのか?検証したいと思います。第三段階までを考えていますが、最後のはもしかしたら限界を突破してしまうかも!?

少しヒントですが・・・
Product Specification
これはIntel SSD 730の英語版のスペック表です。先ほど紹介したIntel 520との比較表には書いていなかった項目も細かく書いてありますので・・・。

では、待てしばし。


4/10 追記


さていよいよ後半戦では、ギリギリ限界チャレンジに挑戦していこうと思います。


今回私が選んだテーマは・・・「低温耐性」です。電子機器において熱はご法度、という話はよく聞き、耐熱については色々と設計されていると思います。しかし低温耐性はあまり検証されていないと思われます。というのも起動中は常時発熱しているわけですから、低温にはなりえません。一方、モバイル機器は屋外でも使用する場面がありますが、極端な例としてモンゴルの首都ウランバートルでは連日-20℃以下の気温だそうです。屋外に持ち出すということを考えると低温耐性は見逃せません。また、CPUのWebサイトでは直接液体窒素をマザーボード上に流している様子も紹介されていました。ということは、CPU以外の最低限のパーツも液体窒素下で正常動作しないといけないわけですね!今回は常温から徐々に温度を下げていき、SSDの低温耐性を検証します。
ちなみに、インテル公式のスペック表によると、動作範囲は0℃以上、-55℃から0℃の間では動作保証がありません。最低でもこの-55℃は下回ってみたいところです。


【ルール】
検証方法はごくごくシンプルにしました!
「低温下に一定時間放置し、その直後にPCに接続して起動、SSDの状態をチェックして問題なければベンチマークして正常動作するかをチェックする。」


【STEP1 -20℃ 家庭用冷凍庫レベル】
冷凍食品は-18℃が適当とされているのでちょうど冷凍食品程度ですね。今回は大型冷蔵庫の冷凍室に1時間入れてみました。直接だと氷とかの影響がありますので薄手のビニールに入れてあります。

 



では実験スタート!

・・・1時間後!

見た目には変化有りません。なるべく迅速にSSDをPCにセット。


温度をチェックしましたが、11℃と室温より少し低い程度でした。


ただCDIでは温度計測が不能になっているので検出以下なのは間違いなさそうです。


CDMによるとほぼ正常です。まったく問題ありませんでした。


SSDは筐体が金属でおおわれていますし、温度変化はすぐに是正されてしまうのかもしれません。-20℃くらいでは何も問題ないといった感じです。これでウランバートルでも使えますね!


【STEP2 -80℃ ドライアイスよりも冷たいぞ!】
ドライアイスが-60℃程度ということを考えるとそれ以下です。しかも-20℃の時の結果がいまいち面白くなかったので今度は3時間、行ってみます!


この極寒の世界で耐えられるのか!?





・・・3時間後。
お、温度差で霜が降りてますねー。



PCに接続したところ、一気に全体が真っ白に



そして、このままの状態でPC起動!

 

 

・・・・にんしきしなーい!!!

 

 

 




お、落ち着け、落ち着くんだ!
一度PCをシャットダウンし、接続を確認、よし、問題ない。
ふう・・・。深呼吸して再度電源ON!
今度は慎重にBIOS画面を確認だ!




おおBIOSではちゃんと認識されている!そのままPCを起動して・・・




そして温度は・・・出ました!1℃!


これより下の温度は計れないっぽいのでおk!最低値です!
で、ではこの状態でCDIによる状態チェック・・・あ
















ああああああああああああやっちまった

 

よ!orz










と、とりあえずCDMで速度ベンチだ!




Writeが明らかに下がってる・・・


Seqと512Kが約100MB/sほど、4Kと4KQD32がきれい

 

に半分、減少。

結論:-80℃からの衝撃に耐えきれず破損。故障しました。

原因を考えてみたのですが・・・正直よくわかりません。エラーの正体は「電源断保護失敗」ですね、これが何のエラーかというと、「ちゃんと電源を切断しなかった際のSSD内のデータ転送エラーの保護に失敗」ということです。しかし電源に関してはちゃんとシャットダウンしていましたし、ベンチマークのみしかデータは転送していないので起きようがありません。しかし現実はこのエラーと速度が低下したという事実。おそらく内部パーツの一部が破損していて本来の速度が出ないものと思われますがそれ以上のことはわかりません。すいません。
ただ、速度が低下したといっても高速なSSDには変わりなく、現状では普通に使用できます。そういう意味では故障であって故障ではないというか、そういう状態です。故障してもデータは守る!という素晴らしいSSDとも言えますね!

ちなみにCDI以外の、特にIntel公式のツールはなんと言っているかというと以下の通りです。


中程度の警告という感じです。

エラー詳細はこんな感じ。インテルの担当者に聞くと直してくれるのかな?まあさすがに動作保証外の使い方なので言うに言えませんが・・・。


さらに診断用クイックスキャンをしてみました。


その結果、データを保存する部分については障害は認められないそうですので使用することはできるようです。

というわけで、以上-80℃の結果でしたー。


【STEP3 -196℃ 

 

      液体窒素の世界へ・・・】
さて、実はここからが最大のポイントだったのですがその前に異常が出てしまったのでさくっと行きます。CPUのオーバークロックで液体窒素、ならばSSDにも液体窒素をかけてみよう!という無謀企画です。

ここで注意点です!
※今回使用した液体窒素は主目的で使用した残りで廃棄するものを利用しています。
※筆者は液体窒素の取り扱いについて講習・指導を受けた者であり、適切な方法に従って十分注意して取り扱っています。
※液体窒素を使用する際には所属する機関や施設のルールに従って適切な運用を行う必要があります。


では液体窒素です。どんっ☆




って簡単に出してますが、非常に危険です。医療用で皮膚科などで治療でお世話になった方もいるかもしれませんね。これにバラを入れるとバラバラになったりしますが今回はそういうことはやりません。

今回はこういう形でSSDを発泡スチロールの箱に入れ、その上から液体窒素を流します。
流します!

 



SSDから白煙が!!!



しばらくすると大量の霜が!!!





とまあこんな感じで冷却しましたが、-80℃で壊れたものをこのままPCに接続してもなー。ということで30分ほど放置して落ち着いてからPCに接続しました。


状態は何も変わらな・・・あれ?電源団保護失敗の生の値が00100010005から00100020005に増えてる!?やはり低温にするとこの部分の数値が上昇していくようですね。

 

確実に破滅には近づいています。


気になる速度はこんな感じで先ほどの-80℃の時に比べて若干改善した気もしなくもないが誤差範囲でしょう。




というわけで液体窒素編はここまでです。

【総括】
SSDは低温に弱いみたい!といってもこんな低温に置く場面はないと思いますので心配する必要はありませんが。電源断保護についてはどういう仕組みになっているかいまいちわからないのですが、温度変化に敏感な感じがします。可能性にすぎませんが、もしかすると温度上昇に対しても敏感で、最初にここにエラーが発生するのかもしれません。しかし、エラーが出ようが、データはちゃんと守る、という姿勢は最後まで崩さなかったSSDですからかなり信頼して使えるのではないでしょうか。

【お詫び】
ギリギリ限界チャレンジなのに壊してしまってごめんなさい。今後このSSDをどう運用していくかは非常に悩ましいところです。読んでいただいたみなさんに少しでも喜んでいただけたのなら幸いです!

2014年4月10日
白輝望

コメント (10)

  • リンさん

    2014/04/03

    もう遅いかもしれませんが、CDMの結果を見るとBIOSでAHCIモードになっていないか

    ドライバが適切に当たっていないように感じます。

    Readの速度が著しく低いので時間がある時に見ていただければ・・と思いましたが、

    もう吹っ飛ばしちゃった?(笑)
  • 白輝望さん

    2014/04/10

    >>リンさん
    AHCIモードに変換を試みましたが、ちょっとお借りしていた環境でしたので無理でした。すべて本編ではIDEモードで接続しています。ただ、すべて同じですので、比較としてはこのほうがいいかもしれません。ご指摘ありがとうございました!
  • ジェイソン太郎さん

    2014/04/11

    お疲れ様でした。素晴らしく実用的なレビューですね。
    極低温で動作するSSDを求める人たちがハードウェア開発陣営に思いのほかたくさんいらっしゃると思います。通常の寒冷地仕様を超えた基準の低温環境で問題なく動作するノートPCやモバイル端末を求める需要は一定にありますからね。
    実際に、そういった使われ方をされていますからね。温度差の激しい砂漠で使われたり北欧のフィールドで携行されたり戦場で酷使されたり、と。このようなシーンでは氷点下まで下がることは日常茶飯事ですから、低温方向へのマージンはいくらあってもあり過ぎるということはないでしょう。
    Panasonic の TOUGHBOOKブランドが評価を確立していますが、AMREL社のROCKYシリーズも同じ路線ですし、最近 DELLもこの分野に参入してきました。極低温に耐えるストレージは今後一層求められると思います。
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