レビューメディア「ジグソー」

使い勝手はほぼWindows 8.1+Office 2013+IE11のタブレット、軽さと求められるものの高いバランス。

世の中最近「タブレット」である。
PCと言えばデスクトップPCと同義で、ノートPCは性能が低いため限られた作業しかできなかった..という時代は去り、グラフィック系の重い作業を除けばほとんどの作業がノートPCで可能な時代になって久しい。そして2012年頃からそのノートPCに取って代わる勢いで伸長しているのがタブレットPCである。一部予想では出荷量ベースでは2014年にノートPCを逆転するとみられており、2015年にはデスクトップPCを含むPC全体をも凌駕するとみられている。「情報端末」の第一選択はスマートフォンだが、その次のチョイスとしてはPCからタブレットに移行している、ということだ。確かにcybercatもiPad

の入手後、「ちょっとした調べ物」ではPCを立ち上げなくなった。妻や子供も、レシピや時刻表といったその瞬間だけ判れば良い調べものは基本iPadだ。瞬間起動、タッチパネルで道具いらず、何処にでも持ち運べてすぐネットにアクセスできる。スマートフォンより広い画面でWebページは見やすく、独りでなくてみんなで見ることもできる。

文字の入力、特に延々と数字を打つとか、表計算ソフトを用いて仕事をするとかといった使い方ではまだPCに優位性があるが、その可搬性と簡単な操作(できる事が限られる、というのは見方によっては決して悪いことではない)で、「ネットで情報を調べ、簡単なメールを打ち、たまにプログの更新をする」といった「普通の人の情報端末の使い方」にはスマートフォン以上PC以下のタブレットというのが実はジャストフィットだ。

この分野のPCは10年以上前から存在するが、今の「タブレット(PC)市場」を形成したのは2010年のiPadの登場がきっかけだ。その直感的な操作性と先進的なデザインで一大市場を築いた。それを追うようにオープンソースであるAndroid OSを使ったタブレットが市場を賑わせた。それらは当初は安価な中国製のものが多かったので性能も決して高くなく、「中華Pad」と呼ばれて、洗練度も性能もiPadに及ぶべくもなかったが、各社の切磋琢磨や日本や欧米のメーカーも参入して最近は急激に品質を上げている。

その激戦区に出てきたのがWindowsという特にビジネス分野では標準OSともいえるプラットフォームの作者でもあるMicrosoft。今までマウスやキーボードといったPCの周辺機器は手がけてきたが、PC本体は手がけずOSとアプリケーションに集中してきた同社がはじめて世に問うた本体が「Surface」シリーズだ。Windows 8ライクな操作性の独自OS、Windows RT 8を積む「Surface RT(現在は「Surface」にリネーム)」が2012年末に、PCと共通なWindows 8 Proを積む「Surface Pro」が2013年初頭に発表された(日本での発売はそれぞれ2013年3月と6月)。

それがともに2013年10月に第2世代である「Surface 2」と「Surface Pro 2」に進化した。OSはWindows RT 8.1/Windows 8.1へバージョンアップされた。それぞれWindows 8で導入されたタッチパネル前提のスマートフォンライクな操作性を持つOSで、パッと見た目は同じだが、スタートボタン(厳密にはスタート画面へのアクセスボタン、だが)の復活、検索チャームでPC内からインターネットまで検索できる検索機能の強化、Windows ストアアプリとの親和性が向上したInternet Explorer 11の搭載など、Windows 8で「使い勝手が悪い」といわれたところに手が入れられている。このうち「Surface 2」はWindows RT 8.1をOSに持つタブレット端末だ。容量として32GB版と64GB版が用意される。

そう「Windows RT 8.1」。これは「Windows 8.1」とはまさに「似て非なるもの」だ。パッと見の外見はまさに同じ、操作性もほぼ同等。設定など奥深いところに若干の差異はあるが、「ユーザーとして」使う分には大きな差がない。しかし、Windows 95以降爆発的に増え、異様に長期にわたって使われたOS=Windows xpでその地位をゆるぎないものにした、Windowsアプリケーションは「使えない」。今まで持っていた「一太郎」などの他社オフィス、住所録ソフト、お絵かきソフトなどの資産も、インターネットで有償無償で配布されるユーティリティツールや動画保存ソフトなどまで一切今までのWindowsのソフト資産は使えない。

しかしその分、本端末は軽くて安価になっている。同時発売のSurface Pro 2に比べるとProの最低容量(128GB)のものと本機の高性能版=64GB版を比較しても、200g以上軽く(しかも4.6mm薄く!)、4万5千円も安い。それでいてディスプレイはフルHD(1920×1080)。前回Windows RT版のSurface RTはPro版と異なり1366×768のサイズとクラスが下だったが、今回は薄く(9.3mm⇒8.9mm)、軽く(680g⇒676g)しながらもPro版と同じフルHDの解像度となった。

USBが3.0対応になったのも見逃せないポイントで、さらにバッテリー駆動時間は8時間から10時間にまで延長されiPadなど他のWiFi Padと遜色なくなった。

初代Suface (RT)と同時発売のWindows Surface 「Pro」と比較。
初代Suface (RT)と同時発売のWindows Surface 「Pro」と比較。

このあたりを評価しないと「Surface 2」の立ち位置は微妙なものになる。
次のようなネガティヴな捉え方をすると実に中途半端に見える。
・Officeはマクロが「使えない」
・重量は600gを切らず他の「WiFi Padに比べて」重い

マクロを使いたければRTではないほうのOfficeである必要があるのでSurface 「Pro」の方が必要で、iPadや多くのAndroid Padの方が高解像度だ。600g超の重さは片手で持って使うには苦痛でない上限だ。しかし
・OfficeはマクロやVBAが使えないだけで、「Microsoft純正である」
・重量はMicrosoft OfficeがインストールされるSurface ProやUltrabookと比べても「十分軽い」
と見ればこの端末の美点が見えてくる。

世にあまたある互換オフィス。各社いろいろと改良を加えてはいるが、レイアウトの再現性やアニメーションの作動具合など作成したものが「思った通りのイメージで」再現できる、というのはハードルが高い。以前のようにレイアウトが完全に崩れてしまうことがあったのに比べるとかなりの再現度になってきているが、「Microsoft純正」に比べるとまだまだだ。それが本機の「Office Home and Business 2013 RT」は「Microsoft純正」。再現性もほとんど完璧といえるだろう。「Surface 2」の魅力の大部分は「持ち歩けるMicrosoft Office」。これが最大の特徴であり、アドバンテージ。

そしてiPadに勝るのはFlash対応版Internet Explorer 11。これで世界中のサイトがほぼ制作者の意図したとおりに表示されることも大きい。

つまり『ほぼ』「Microsoft Office 2013」と『Flash対応版』「Internet Explorer 11」これが本機の最大の特徴だ。

実際の製品はとても薄いパッケージに入ってくる。左下にMicrosoftのマークが唯一の有彩色として入り、その隣に社名、その上には「Surface」の文字が白で入る。その横に黒で大きく「2」と染め抜かれ、光の加減で文字が文字が浮き出るケースだ。

「2」は光の加減で浮き出る仕組み。
「2」は光の加減で浮き出る仕組み。

斜めにカットされた外箱から内箱を引き出し蓋を開けると、本体とACアダプタが姿をあらわす。ACアダプタはコンセント部分がたためるタイプで本体とは磁力で接合する様になっている。

内側に入っている箱を引き出すと中には本体とACアダプタ。
内側に入っている箱を引き出すと中には本体とACアダプタ。

本体の下にはPCリサイクルマークを含む説明書類と、購入特典であるオンラインストレージSkyDrive 200GBを2年間使用できるキャンペーンコード、1年間60 か国で国際通話ができるSkypeの無料利用と200万か所を超えるホットスポットでのSkype WiFiが無制限利用できるキャンペーンコードが記載されたクーポンが姿を現す。

「いわゆる」ハードは本体とACアダプタだけ
「いわゆる」ハードは本体とACアダプタだけ

実にシンプル。2段階に調整が可能となったキックスタンドが一体化されたスマートなフォルムと、シルバーの本体にシルバーで控えめに「Surface」と刻印されただけの本体は意外に多くのインターフェイスを持っている。

まず右側は端子類が並ぶ。

右側は上からスピーカー、micro HDMI、USB3.0、AC端子
右側は上からスピーカー、micro HDMI、USB3.0、AC端子

逆の左側は音声系だ。

上からスピーカー、ヘッドホン端子、ボリューム
上からスピーカー、ヘッドホン端子、ボリューム

上部には、電源/スリープボタン。

上部には電源/スリープボタンのみ。
上部には電源/スリープボタンのみ。

底面には純正キーボードである「Type Cover/Touch Cover」との接合部がある。

下側にはType Cover/Touch Coverとの接合部が。
下側にはType Cover/Touch Coverとの接合部が。

さらにキックスタンドをめくると、64GBのmicro SDXCカードまで対応したmicroSDカードリーダが隠されている。

対応は64GBまで。
対応は64GBまで。

非常にシンプルな外見ながらUSBという汎用端子、microSDというカメラやスマートフォンに広く使われている保存媒体、HDMIという映像音声出力と、現在PC~情報家電に求められるインターフェースを装備しており、独自インターフェースで内部の情報を外に出すのに一苦労するiPadに比べると、この「Surface 2」が「開かれた端末」であることが判る。

ではその性能はどのようなものだろうか。

性能的にはどうだろうか。まだ数機種しかWindows RT系端末というのは出回っていないし、それらをcybercatは所持していないので、相対的に見てどうか、ということは判別できないが、各種ベンチマークを取得してみた。

2013年末現在Windows RTでのベンチマークは選択肢が少なく、グラフィック側に比重を置いたものとして3DMark

のWindows RT版がストアから無償ダウンロードできる。PC版の3DMarkがエントリークラスのPC向けの「Ice Storm」、ノートPCや一般のPC向けの「Cloud Gate」、ハイパフォーマンスPC用の「Fire Strike」の3モードあったのに対して、Windows RT版は「Ice Storm」だけの提供となる。しかし、PC版では無償版の「Basic Edition」ではパラメーターが設定できなかったが(cybercatが持つ「Advanced Edition」は可能)、Windows RT版には最初から3つのプリセットモードが設定されている。負荷の軽いほうから(無印の)「Ice Storm」、「Ice Storm Extreme」、「Ice Storm Unlimited」となる。「Ice Storm」と「Ice Storm Extreme」の関係は後者の方が負荷の高い高解像度だが(720pと1080p)、「Ice Storm Unlimited」はOSの影響などを排除できるモードとのこと。

本機でスコアを取得してみた。
「Ice Storm」

スコア上限オーバー
スコア上限オーバー

「Ice Storm Extreme」

スコア9612
スコア9612

「Ice Storm Unlimited」

スコア14236で「Extreme」より良いな
スコア14236で「Extreme」より良いな

PC版と比べるにしてもどれと比べたらよいのか、という問題はあるが、右側に表示されるスコアからは(Unlimitedを参考とすると)楽天が扱うAndroid端末「KOBO Arc 7HD」の上位機種、「KOBO Arc 10HD」(日本未発売)あたりとほぼ同等の性能のようだ。

素の「Ice Storm」モードで、上限を振り切っているということは、このテストが想定している端末群の中で低い性能ということはないだろう(実際「Extreme」と「Unlimited」のスコアの下には“Good news! This is one of the most powerful devices around and everything seems to be working normally.”とのメッセージが表示されるし)。実際の動作もきびきびとしていて、アプリの実行程度では「待たされ感」はなかった。市場の評価では「もっさりしていた」といわれる初代Surface RTに比べると、画面が細密になり処理量は上がっているにもかかわらず、CPUの強化(Tegra 3⇒Tegra 4)が功を奏したのか、OSの最適化が進んだのかはわからないが、ストレスを感じない端末に仕上がっている。

もうひとつWindows RT用としてストアで配布されている「PC Benchmark」も取得した。Jujuba Softwareが開発した当ベンチマークはまだ採用例が少ないため評価が難しいが、インターネットでの情報をあさると「ASUS VivoTab TF600T」などに比べるとはるかに良好なスコアを残している。

これらの数値の評価が難しいが...
これらの数値の評価が難しいが...

少なくとも本機は2013年末のWindows RT系タブレットとしては充分高性能といえるだろう。

今回初代から解像度や性能を大幅に向上させながら、より薄く・軽くなった「Windows RT 8.1」タブレット、「Surface 2」を持ち歩きつつ使ってみた。キラーアプリとして『ほぼ』「Microsoft Office 2013」と『Flash対応版』「Internet Explorer 11」を持つ本機はタブレットながら、仕事にも趣味にも使える幅広い対応力を持った端末だった。

ただその特徴がないと、ちまたに溢れる10型クラスタブレットと大きな差がない。
「Surface 2」単体としてもっと魅力を高めるには次のポイントの改善を望みたい。
・重量:堅牢なボディは安心感を与えるが、iPad Airが出た現在では明らかに古い感じの重さだ。軽量な「Touch Cover」系と組み合わせた際に合計で700gを切る重量に収めることを望みたい
・価格:Officeが標準添付とはいえ、まだ少し割高感がある。高性能版で実売5万円以下を実現すること。
この2ポイントが改善されれば、仕事⇔遊び・趣味を縦横に行き来し、かつ、ひとつの端末を家族全員が使っても問題ないセキュリティをそなえた「アウトドアビジネスツール」兼「家族の情報センター」になり得ると感じた。この1週間ほど会社に持っていき、通勤時の電車内や休み時間に様々な作業が出来、時間の節約ができた。予想を上回ってこの「WindowsのようでWindowsでない」端末は、とても役立つ端末だった。ぜひ、この「カルイ」「使える」タブレットを経験し、仕事と遊びとを充実させて欲しい。

末筆とはなりましたが、今回このような機会を与えてくださった 日本マイクロソフト株式会社様 、zigsow事務局様に御礼申し上げます。またレビューアップまでの応援など常に支えとなってくれたおものだちの皆様はじめzigsowerの方々に感謝いたします。

ありがとうございました。

【Surface 2 仕様】
CPU:NVIDIA Tegra 4 (64ビット メモリー アクセス)
記憶容量:64 GB
メモリ:2 GB RAM
ディスプレイ:5 ポイント マルチタッチ10.6 インチ(解像度:1920 x 1080)
ポート:フルサイズ USB 3.0、microSD カード リーダー、ヘッドフォン ジャック、HD ビデオ出力ポート、カバー用ポート
カメラ:3.5 メガピクセル (フロント)、5.0 メガピクセル (リア)
ワイヤレス:Wi-Fi (802.11a/b/g/n)、Bluetooth 4.0
OS:Windows RT 8.1
Office:Microsoft Office Home & Business 2013 RT
外形寸法:約275 x 173 x 8.9 mm
重量:676 g 未満

Microsoft 製品紹介 Surface 2
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2013/12/27 ベンチマーク、写真追加
2013/12/28 付属品・インターフェース、デコ題字追加

更新: 2015/09/14
Surface 2 / Surface Pro 2 と、その他デバイスとの比較 PREMIUM REVIEW

独自路線のiPadと違って王道を征く軽量端末。仕事にも趣味にも!

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Surface 2は「Type Cover 2」、「Touch Cover 2」などの純正キーボードを使うか、Bluetooth キーボードを追加すればノートPCの代替デバイスとしても使用できるが、
・キーボードレスのピュアタブレットとして設計されている
・Windowsと操作性は似ているが独自のOS=Windows RT 8.1を採用すること
・Windows RT 8.1のスタート画面からアクセスするストアアプリは全画面表示される
ということから、直接の対抗はいわゆるタブレット、一番のターゲットはiPadと10インチクラスのAndroidタブレットになるだろう。

このうちAndroidタブレットは、各社から発売されているので仕様が統一ではないが、2013年秋冬モデルでは、CPUはCortex-A7ベースのAllwinner A31~Cortex-A15ベースのNVIDIA Tegra 4やデュアルコアのAtom Z2560を採用、画面解像度としてはフルHD~2560×1600ドットのIGZO液晶ディスプレイ搭載のものまで、実売価格20,000~50,000円程度で提供されている。以上のようにスペックには各社バラツキがあるが重量はすべて600g前後に収まっている。

iPadの方は2013年末についに500gを切った(469g)iPad Airに進化したが、その前年の 第4世代iPad(以下iPad4)は652g。iPadは初代から第4世代まで601g~680gに収まっていた。こちらは解像度としては第3世代以降2048×1536ドットのQXGAだ。
iPad(4)は672g
iPad(4)は672g
2013年末の10型クラスのピュアタブレットとしては「フルHD以上の解像度」、「600g前後の重量」、「5万円以内の価格」というあたりが最大公約数的な括りとなるようだ。
Surface 2は実測657g
Surface 2は実測657g
その目でSurface 2をながめると、そのゾーンにはほぼ入っているが、いずれのファクターも突出して「頭抜けている」訳ではない。解像度は1920×1080のフルHDで最低限、重さは676gでやや重めの部類、価格は32GB版では44,800円と5万円を切るものの、64GB版は54,800円とオーバーする。10型クラスのピュアタブレットのカタログスペックとしては平均以下でしかない。
表示エリアは細密なiPad(4)の圧勝。ただ読みやすさはSurface?....老眼か?ww
表示エリアは細密なiPad(4)の圧勝。ただ読みやすさはSurface?....老眼か?ww
であれば、通常のWindowsソフト(アプリ)が使える「Surface Pro 2」の方が万能かというと、やはり重さの差が大きくのしかかる。907gと「Surface 2」の30%増しの重量、そして「PC」ならばやはりキー入力が基本となるため、より高速の入力ができるメカニカルキーボード「Type Cover」と合わせるシーンが多くなるとすると実に1163gで、もはやUltrabookの領域に入ってしまう。

やはりタブレットの真骨頂は「片手で持てる」こと。その意味ではやはり600g前後がスイートスポットだ。では「Surface 2」は「とりたてて高解像度でなく」、「やや重めの」、「少しお高い」端末に過ぎないのだろうか。

「Surface 2」の良さはずばり、「Office 2013 RT」標準搭載、「IE11( Internet Explorer 11)」および「Adobe Flash対応」にある。

「Office 2013 RT」は「Surface 2」からOffice Home and Business 2013相当のOutlookを加えたWord、Excel、PowerPoint、OneNoteの5つのアプリケーションを含むバージョンになった(旧「Surface RT」にはOutlookがない)。マクロを使えないなど一部の制限はあるが、他社製の互換オフィスに比べてほぼ完璧な再現性を示す。報告書の下書きやちょっとした表計算、PowerPointによるプレゼンテーションには対応できる。

そしてAdobe Flashに対応したIE11は世界中のウェブサイトにアクセスしてもストレスがない。Flashを極大まで利用したアーティスティックなウェブサイト。それに対応していない端末はインターネット情報端末としては画竜点睛を欠く。
Flash使用サイトの例(http://www.nadinefeghaly.com/)。iPad(下)は表示できない
Flash使用サイトの例(http://www.nadinefeghaly.com/)。iPad(下)は表示できない
さらに対iPadという点ではUSB3.0ポートやmicroSDXCカードスロットといった汎用的な外部接続手段を持つことで「開かれた」端末であることも見逃せない。iPadで作成したドキュメントや撮影した写真を外に出すのは一苦労だ。Dropboxなどのクラウドストレージを使うか、メール添付で外に出す以外は、各社から発売されているWiFi経由のSDライタといったアクセサリを利用する必要がある(純正で用意される「Apple iPad Camera Connection Kit」はSDカード⇒iPadの一方通行で逆はできない)。

これが標準でUSB3.0ポートやmicroSDXCカードスロットを持つ「Surface 2」ならば直接のやりとりが可能だ。
更新: 2015/09/14
Surface 2 / Surface Pro 2 の特長的な利用シーンを動画で紹介 PREMIUM REVIEW

仕事も遊びもコレ一台、ソフトはストアアプリに限定されるとは言うもののOfficeとIEがあればほぼOK!

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同梱される「Office Home and Business 2013 RT」があまたある互換オフィスとがなにが違うかというと当たり前だが「Microsoft純正であること」。現在において事実上の標準となっている「Microsoft Office」。その最新版と「ほぼ同じ」であることが、ビジネスの効率を上げる。互換オフィスもだいぶ精度を上げてきているが、テキストベタ打ちの文書ならばともかく、複数のフォントを使って飾り文字を配したりしていると、やはり、崩れる。複雑な書式設定の微調整や用意されるフォントの差などでどうしても制作者の思うとおりに表示されない。それがこの「Surface 2」に同梱されるOfficeならば完璧だ。実際にデスクトップのMicrosoft Office 2010 Professionalで作成した、文書、表計算、スライドショーを本機で表示させたが全く破綻がない。Microsoft Officeは2007以降保存形式をXML(Extensible Markup Language)形式としたが、本機のOfficeは2003以前の形式でも、2007以降の形式でも問題なく扱える。それはWindows xpがまだ世に結構なボリュームで残る(つまりプリインストールOfficeとして「2003」(以前)がかなり残る)2013年末現在、大変役に立つ。

これらのことは出先での報告書作成、売上計算、プレゼンテーションをPCなしで実行できるということになる。ここで「軽さ」が活きてくるのだ。

そしてWiFiエリアに入れば、インターネットでの情報収集やブログ更新、SNSへの書き込みなども自在。スマートフォンの小さな画面であくせくするよりも遙かに効率が良い。

仕事⇔遊び・趣味を1台で行き来できる「Surface 2」は荷物を少なくしたい出張時に特に役立つと感じた。

更新: 2015/09/14
周辺機器と組み合わせた使い勝手や対応状況 PREMIUM REVIEW

カバーはあえて「Touch Cover 2」がオススメ。USB機器は一部動作しない。

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基本ピュアタブとはいうものの、せっかく同梱されるMicrosoft Officeの入力速度を飛躍的に高めるのはキーボード。ということでまずキーボードの検証を行う。

最も親和性の高いのは純正で専用品のType Cover/Touch Cover系のキーボードだろう。
これらは名前の通り画面のカバーを兼ねるキーボードで、Surface 2本体とはACアダプタ同様磁石で接合する。プラスチックの凹凸があって、差し込むとパチンとロックがかかり、どこかを押しながらリリースする、という機構と違って耐摩耗性に優れている。

2系統のキーボードは、「Type Cover」がメカニカルキーボード、「Touch Cover」が感圧式タッチセンサーキーという違いだ。そしてSurface 2/Surface Pro 2の発売に合わせて、キーボードもそれぞれ「Touch Cover 2」、「Type Cover 2」にバージョンアップした。

この「Cover 2」世代の特徴はなんといってもバックライトの搭載と、薄くなったこと。
「Type Cover」が厚さ約6mmから5mmに、「Touch Cover」が約3mmから2.5mmへ。「Touch Cover」については実は軽くもなっている(209g⇒190g)。

なお初代が「Touch Cover」に4色のカラーバリエーションがあって、「Type Cover」は一色であったのと逆に、「Cover 2」世代では「Type Cover 2」が4色展開で「Touch Cover 2」は黒(チャコール)のみとなっている。これは先代では「Type Cover」に人気が集中したから、ということらしいが、「Touch Cover 2」は先代で不評だった感知力の向上にタッチセンサーを10倍以上に増やし、キーの端をタイプしたときの反応性を高めている。

ここでcybercatは、「Pro」なしの「Surface 2」に合わせるには「Touch Cover 2」を推したい。「Type Cover 2」と比較しても半分の薄さ、純正キーボード&カバーでは最軽量、それでいてバックライト付きで利便性が高い。この中で最軽量、というのが大切だ。「Surface 2」の軽量さを生かすには余分なものをつけない。ノートPCの「代用」として使う、と言うのであれば打鍵感が良くカラフルな「Type Cover 2」という選択かも知れないが、それにより厚くなり重くなる。基本ピュアタブとして使いながら必要に応じてPCの様に使う。あくまでピュアタブモード>クラムシェルモードとして使いたい。また、「カバー」としてみた場合は、画面側に硬いプラスチックのキーが触れる「Type Cover」系よりもフェルトのようなやや柔らかい手触りの「Touch Cover」の良さが活きてくる。

薄くて軽量で使い勝手は良いが、若干同時押しに弱い傾向とタッチパッドの狭さが減点で、純正キーボード兼カバーとしては★★★★

「Surface 2」は、2013年末現在従来のUSB2.0に替わってPCの標準的な汎用外部接続ポートとなりつつあるUSB3.0ポートが装備されている。USB接続できるいろいろなデバイスを検証した。

まず、カバー兼キーボードであるType Cover/Touch Coverを使っても担保できないテンキー。標準添付のExcelを使い倒すには必須のデバイス。これはあえて普通のUSB接続のテンキーではなく、Canonの「テンキーにもなる」ソーラー電卓LS-12TKIII

を使用してみた。これはドライバの組み込みもなく、普通に利用できる。文字化けもない。★★★★★
入力結果が反映。
入力結果が反映。
次にUSB3.0の高速性を生かすべくUSB3.0接続ポータブルSSD「カクうす9」HDPX-UTSS120K。

こちらも特に問題なくファイルの中身が読み込める。もちろん、読み込み/書き出し/書き込み、すべて可能だ。★★★★★
「カクうす9」の内容もばっちり!
「カクうす9」の内容もばっちり!
USBメモリはELECOMの8GBのUSB3.0対応USBメモリMF-ASU308GSV

を使ってみた。ネットの情報ではUSBメモリに関しては一部相性がある、と報告もあったが、無事ドライバが読み込まれ、使用可能に。★★★★★

もうひとつUSB2.0だが64GBの大容量メモリ、Transcendの“JetFlash”USBメモリ、TS64GJF530

も検証したが、挿すなりしばらくするとフォルダが開き、全く普通に使える。★★★★★
問題なくフォルダーがオープン。
問題なくフォルダーがオープン。
基本アプリはストアからのダウンロードで、Windows Media Playerも同梱されない「Surface 2」では利用するシーンは少ないかも知れないが、USB接続のBDドライブLBD-PME6U3VBK

も検証してみた。...が。なにも起こらない。差し込んでもランプもつかない。通電しているのは間違いないみたいでトレイオープンもできる。ただエクスプローラでも認識もされておらず、USBを挿し直してみてもなにも起こらないので、これは「非動作」と判定した方が良さそうだ。☆
ロジのBDドライブは挿しても「なにも起こらない」
ロジのBDドライブは挿しても「なにも起こらない」
プリンタは現在複合機、EPSONのPX-1600F

を使うが、プリンターもスキャナも特にドライバーを入れるなどの手間をかけなくても問題なく使用可能に。ただ会社に持っていくなどWiFiエリアから一度外れた際には、エリアに戻ってきてもプリンタがグレーアウトし、すぐに接続復活とならず、プリンター側を再起動させなければならないところはイマイチか。★★★
印刷したWebページとZIGSOWからのお知らせを取り込んでみたw
印刷したWebページとZIGSOWからのお知らせを取り込んでみたw
最後にBluetoothを検証した。キーボードはカバー兼用の「Type Cover」で良いが、タッチパッドの縦方向の狭さとボタンとの境界の判りづらさのため、マウスがあった方がよりベターだ。MicrosoftのモバイルマウスWedge Touch Mouse

が一緒に持ち歩くにはスマートのような気もするが、本体と同一の製造会社では作動しても当たり前なので、今回検証したのはiBuffaroの超小型マウスBSMLB06NSV。

これはコントロールパネルの「デバイスの追加」を選んで、マウスのペアリングボタンを押すとすぐに終了。問題なく使えた。★★★★★
インストールは問題なく進む。
インストールは問題なく進む。
検証した結果、一部機器では使用できない場合もあるが、大多数の周辺機器が使用可能で、今までのPC資産も充分転用可。今はまだ新しいからかもしれないが、多くの周辺機器に関してOSに標準状態でドライバが組み込まれているのは心強い。
更新: 2015/09/14
Surface 2 / Surface Pro 2 の良かった、気に入った、オススメしたい機能や特長など PREMIUM REVIEW

堅牢さと軽さ、「ほぼ」OfficeとIE11で8割方のニーズはOK。

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現在毎日持ち歩いてテキスト入力やExcelの閲覧などに使っているが、互換Officeでない「Microsoft」 Officeが添付された端末の中では軽量、薄型、そして「Touch Cover 2」以外のケースを必要としない堅牢性が魅力。カバンの隙間にすっと落としこんで行けば、出先でUSBメモリ経由でもらったExcelの閲覧・修正や、Wifi環境下ではSkyDriveに保存した作業しかけのファイルにアクセスできる。マクロが使えない、という問題はあるが、自分はほとんどマクロは使わないので、大画面でExcelを使える利便性の方が大きい。ここまでCDやDVDを持っていると管理しきれなくなって、まれに同じものを購入してしまうことがある(バージョン違いや装丁違い、ミックス違いで「あえて」購入するものは別)。家のPCにはExcelで作ったリストがあって、それをみればわかるので通販(インターネット)でダブリ買いをすることはないのだが、店舗だとありうる。しかも店舗だとその時点を逃すと買えない(普段行かない地区の店で掘り出し物は見つかる)。いままで家のExcelの表を印刷したり、iPhoneで見られるようにクラウドにファイルを置いたりしたが、前者はCDを買うたびに内容を更新するのはめんどくさく、情報が古くなりがち、後者は小さなiPhoneの画面では探しづらい上に、複数枚のシートまで管理できるiPhone用Excel閲覧・加工アプリが少ない。ということで「ホンモノの」Officeを持ち歩く価値は大きい。

またFlashに対応したInternet Explorer 11で全てのWebサイトが破綻なく読める、というのは情報収集の観点でも、趣味の見地からも望ましいことだ。
更新: 2015/09/14
Surface 2 / Surface Pro 2 を一言で表すキャッチコピー PREMIUM REVIEW

持ち歩けるOfficeとInternet Explorer、遊びも仕事もコレ一枚!端末管理という点では企業用・家族用としても。

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Surface 2の最大のウリはやはり仕事で標準といえる「ほぼMicrosoft Office 2013」の「Microsoft Office 2013 RT」、およびFlashにも対応した標準ブラウザ「Internet Explorer 11」が同梱されるにも関わらず本体600g強、軽量なカバー兼用キーボード「Touch Cover 2」と合わせても838g(実測)という「軽さ」が、仕事に遊びにアクティヴな人に向いている。

OneNoteでのアイデアメモ、Outlookでのメールとスケジュール管理、Excelでの売上計算、Wordでの報告書作成、PowerPointでの出先でのプレゼンテーションと活躍する「Microsoft Office 2013 RT」はクラウドストレージ「SkyDrive」で一括管理、オフィスで腰を据えて作業する際はMicrosoft Office 2013で続きを仕上げる。

そして標準ブラウザ「Internet Explorer 11」でインターネット上のあらゆるコンテンツを楽しむことができる。

「それならば多少重くなっても正式のMicrosoft Office 2013を備えるSurface Pro 2や軽量なUltrabookの方が良いのではないか」という意見もあろうが、重さ以外の点でも「Surface 2」を選ぶメリットもある。

逆説的だが、「Windows RT端末にはアプリ導入はストア経由しかできない」ことがメリットになる場合がある。特に企業用途と家族共用で使うという場合には、ちまたに溢れる様々なWindowsアプリの各個人による勝手なインストールをどう管理するか、が重要になる。企業用途としてはヘタなアプリインストールは情報漏洩の危険をはらむし、かといってある程度以上の規模の組織になると各部署・各個人に配布されたPCの中身を担当者が完全に検めるのは不可能に近い。家族共用の場合も好ましくないアプリのインストールを監視したいニーズもあるだろう。この際には一見不自由に感じられる「アプリ導入はストア経由しかできない」という特徴が生きてくる。Microsoftのストア管理はApple同様厳格で、Google Playほど野放しではないし、iPadと違ってユーザーごとの管理もできる。
このようにログインアカウントを分けることも可能。
このようにログインアカウントを分けることも可能。
cybercatのアカウントと....
cybercatのアカウントと....
家族のアカウントはアプリも変えることができる
家族のアカウントはアプリも変えることができる
導入後の端末管理というやっかいな問題を解決できる、それが「Surface 2」だ。

コメント (4)

  • 北のラブリエさん

    2013/12/27

    レビューお疲れ様でした。
    Office互換じゃなくて本物のOfficeが使えるのは大きいですよね。
    MacのOfficeもMS製ですが互換性がうまく取れてないといいますし。
    その点、やはり魅力的。
  • cybercatさん

    2013/12/27

    ラブリエさん、
    >Office互換じゃなくて本物のOfficeが使えるのは大きいですよね。
    本当に。

    互換オフィスも、昔のように文字化けしたり、ページ区切りが狂ったりというようなクリティカルなものは少なくなりましたけれど、いろいろな飾り文字を使ったWord文書のレイアウトやExcelのセル幅・線幅を駆使して造った文書のセル内の折り返し、パワポのアニメーションなどはやっぱり完全互換ではありません。

    この端末のよさは「マクロが使えないだけの」純正Microsoft Office 2013が軽量に持ち歩ける、ここに集約されます。
  • KAOさん

    2013/12/27

    レビューお疲れ様でした!

    Surface2が気になって気になっている私には、
    もっと欲しくなってしまうレビューでした。

    節約してやっぱり買おうかなあ~(#^.^#)
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