レビューメディア「ジグソー」

どうしても初期のイメージが強いグループってあるよね?

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。長寿バンドと言われるバンドがあります。10年、20年と時を紡ぎ、継続して楽曲を届けてくれるバンドです。しかしその長い期間の間に音楽性が大きく変わり興味の対象から外れたり、あまりに変わらなすぎて昔の曲の焼き直しばかりになり飽きられてしまうグループもいます。そんななか芯は変わらないながらも少しずつ新しい風を入れてきた長寿グループの区切りの作品をご紹介します。

JAYWALK。旧表記J-WALKの頃から数えると30年を超す歴史を持つロックバンド。故柳ジョージと同じ事務所でバックバンドをしていたこともあったからか、音楽性もかなり近いものがあり、R&Bをベースとした80年代の日本のロック、という感じの曲が多いが、デビュー約10年後の「何も言えなくて…夏」のヒットで少しアカ抜けた?感じもテイストに加えた。

本作は30周年記念アルバムとして企画されたがお蔵入りしていた“WE ARE”と、それまでの代表曲をあつめた「最後のベスト」“FINAL BEST”のカップリング限定版。そして現在も活動している彼らの一つの区切りのアルバムでもあった。

長くバンドの顔でありつづけたボーカリスト、中村耕一。彼が覚せい剤所持で逮捕されたのは30周年記念アルバムとして“WE ARE”が発売されようとした矢先だった。この事件を受けて、当時の所属レコード会社は契約の破棄と全CDの回収を実行、当然録音済みの新アルバムもお蔵入りになった。その後、自主レーベルからリリースされるはずだった“WE ARE”は大震災でふたたびお蔵入りになる。震災はおりしも判決で執行猶予付ながら有罪になった中村が逮捕1年後に当たる日にJAYWALKを脱退したが、その翌日だった。

こんな紆余曲折を経た新アルバムが中村在籍時のJAYWALKの集大成ベスト“FINAL BEST”とカップリングされ、コンサート会場などで限定発売されたのが昨年6月。それが一般発売されたものを購入した。

実はcybercatは1980年代初頭、柳ジョージつながりで彼らを聴いていたのだ。しかし大学にすら入っていない当時、「レコード」を買うカネはなく、「FMエアチェック」で録音した「カセットテープ」(「」内全て死語)を聴いていた。その後自分の好みの変化もあり、離れていたので初CD。cybercatにとってはJAYWALK(というよりJ-WALK)といえば1980年代カラーだったので...

まず「ラストアルバム」“WE ARE”からは「JOE」...と言っても実はこの曲、彼らのデビューアルバム“Jay-Walk”の1曲目。録音時の最新メンバーでの再録で、音や音質は現在だが、曲はやや懐かしい感じ。ディストーションギターの8分音符刻みがラシイ。途中半速になる部分はSHOGUN

の1stの雰囲気がある。昔の日本のロックバンドってこうだったよね、という感じ。

“FINAL BEST”に行って「タクシー・ドライバー」。オンビートディレイのかかったギターのミュートカッティングがビートを形作っている。男臭い詩、太い声の中村のボーカル...♪北の故郷へ/朝のBusのTicket/やっと買ったけど/破いて投げ捨てた~過ぎた日を/背負って/立ち止まりたくないから/今日だけに生きようと/言いきかせてきたのさ♪イントロの雷鳴の効果音はやり過ぎ?wこれも初期(2nd収録)の名曲。

そしてなんと言っても「JUST BECAUSE」。彼らのデビュー曲でcybercatと彼らの出逢いの曲。もう30年前かぁ....中村の沁みるボーカル、作曲者でもある結成当時からのメンバー杉田裕のピアノ中心のバッキング、ベース下降の王道パターン(Bm⇒Bm on B♭⇒Bm on A⇒E on G♯⇒GM7⇒F♯⇒Bm)。♪今なら/お前を/愛することも/憎むこともできるだろう♪かぶせるようにコーラスが入ってくる中、最後のフェイクとともに始まる泣きのギターのエンディングソロが「来る」ねぇ~。フェードアウトでないところがありきたりでない感じ?

結局、中村と袂を分かったかれらは2名の新メンバーを加えて「THE JAYWALK」として再出発。中村は2012年現在謹慎中。続いていく歴史と終わる歴史と...
添えられるミニ写真集は彼らの歴史を感じる
添えられるミニ写真集は彼らの歴史を感じる
でも彼らと言えばやはり1980年代の楽曲と雰囲気がイカしていました。
時の流れを、感じます。

【収録曲】
DISC1:“WE ARE”
1. アイ・ラブ・ユー
2. 空と雲のように
3. FOR GOOD ~永遠に~
4. 春の夢
5. 僕の恋人~My Favorite Guitar~
6. SORE・ZOREの二人
7. JOE
8. 君にいて欲しい
9. 恋人(Live at GRAND CUBE OSAKA)

DISC2:“FINAL BEST”
1. 何も言えなくて…夏
2. その胸のヒーロー
3. RELAX
4. 200X年…公園
5. REASON~小さな君へ~
6. 雨上がりのRAINBOW
7. タクシー・ドライバー
8. 「俺…」
9. それはジェラシー
10. RELAY RUNNER
11. JUST BECAUSE
12. 心の鐘を叩いてくれ

「JUST BECAUSE」

  • 購入金額

    4,500円

  • 購入日

    2012年07月頃

  • 購入場所

15人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • cybercatさん

    2012/08/21

    北のラブリエさん、こちらもかぶりましたか!!ww
    >「JUST BECAUSE」なつかしい・・・
    名曲ですよね(ノД`)

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