レビューメディア「ジグソー」

暗い世紀末の....

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。音楽を極めたひとが必ず聖人君子とは限らない。特に麻薬はその効果が音楽の至高の時と近いと感じさせるのか、洋の東西を問わず常用者に事欠かず、音楽、特に一部のジャンルはダーティなイメージで語られることが少なくありません。そんな状況の中からひとつのジャンルをなすほどよみがえった人の作品をご紹介します。

ラッパー、Warren G。Gファンクの開祖の一人として知られる彼は、命を狙われること日常茶飯事、刑務所とシャバをいったりきたりの前半生を送るが、刑務所で何を磨いたのかあるとき音楽に打ち込むことになる。そして同じくワル仲間の?Nate Doggや異父兄弟のDr. Dreらと「Gファンク」と呼ばれるスローでCOOLなグルーヴを持つヒップホップを創り出した。
ちょっとワルそう??
ちょっとワルそう??
この“Regulate... G Funk Era”はそのWarren Gの出世作。

なんと言っても「Regulate」。4小節のループ(サンプリングネタはMichael Mcdonaldの「I Keep Forgettin'」)、硬いサンプリングのシンバル。夜のイメージで繰り返されるバックに、リズミカルに、でも粘るところは粘って乗せられるWarren Gとゲストラッパー盟友Nate Doggのラップ。COOL!

「So Many Ways」。シンセの特徴的なイントロと、ブリっとしたシンセベースのループに乗せてクリスピーなラップが乗る。バックコーラスのアフリカンな感じがミスマッチなおもしろさだ。

「This D.J.」女性ラッパーG-Childのパッキングとスクラッチがアクセントのミディアムテンポのループラップ。ブリッジ部分でソロラップ?を取るゲストラッパーO.G.L.B.の深い声がCOOL!!

結局このGファンクのムーブメントは世紀末の一瞬の燦めきではあったけれど、確かに音楽史に黒々と足跡を残した。このCOOLで乾いた肌触りの緩やかなグルーヴに身をゆだねていると、何処か遠くで喧噪が聞こえるようなバブル後の行き場のない暗さが、強制的なグローバル化で歪んだ世相が、20世紀末のアノ肌触りが蘇ってきます。

【収録曲】
1. Regulate
2. Do You See
3. Gangsta Sermon
4. Recognize
5. Super Soul Sis
6. '94 Ho Draft
7. So Many Ways
8. This D.J.
9. This Is The Shack
10. What's Next
11. And Ya Don't Stop
12. Runnin' Wit No Breaks

Warren G HP
  • 購入金額

    2,500円

  • 購入日

    1994年頃

  • 購入場所

16人がこのレビューをCOOLしました!

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