レビューメディア「ジグソー」

【全面改定】TurboV EVOも腰が引ける,Ivy Bridge のハイエンドCPU i7-3770K はどんな性能なのか?

最終更新日 2012.7.22
【2012. 5.4 初回登録】 ファーストインプレッションとして登録しました.
【2012.5.30 全面改定】 レビューコンテスト用に全面改定しました. 
【2012.7.7 追記】 Z68 vs Z77の比較レビューを追記しました. 
【2012.7.22 追記】 CPUクーラー比較を追記しました. 

 




Ivy Bridgeこと,第3世代Core iシリーズのハイエンドプロセッサです.
こんなCPUを発売日にゲットするなんて,今までは考えられませんでした.
それもこれも,zigsow関係者,zigsow住人の力だと思います.



このレビューでは,第2世代Core iシリーズのハイエンドプロセッサi7-2600Kと比較検証を進めていきます.
まず,その比較表を作成してみました.

比較表
比較表



・第2世代であるSandy Bridgeをベースに,製造プロセスを22nmへと縮小した第3世代がIvy Bridge
・世界で初めて3次元トランジスタを採用
・4つのCPUコアとグラフィックスコア、メモリコントローラなどを集積
・iGPUグラフィックスについては,”Intel HD Graphics 4000”へと進化し,実行ユニット数が16基へアップし,DirectX 11に対応
・iGPUのメディア処理”Quick Sync Video”も,2.0に強化
・2chのDDR3-1600MHzメモリのサポート,PCI Express Gen3、内蔵ビデオの3画面出力(※)などが利用可能
 ※ 3画面出力については,2つのDisplyPort+1が必要であり,現在この仕様を満たしているマザーボードは存在しない模様

同じLGA1155ソケットを採用し,Sandy Bridgeの正統進化系がIvy Bridgeとなります.
CPUコアは,同じアーキテクチャーを採用し,4コア/8スレッドですが,デザインルールの縮小により,低発熱,高クロック対応が可能になります.
iGPU部は,大幅に強化され,HD Graphics 4000への進化により,DirectX11対応や,Quick Sync Video 2.0へのアップグレードされています.
メモリーコントローラーも,Dual-Channel DDR3-1600を正式サポートしています.
PCI Expressも,Gen3をサポートし,32GB/sという広帯域化が図られています.



今回検証で使用したPCの構成はこんな感じです.
諸事情により,現在Z77搭載マザーボードが手元にありませんので,Z68搭載マザーボード(メインPC)で検証します.

あくまでも,Z68チップセットでの比較検証であることを念頭にお願いします.
Z77チップセットマザーとの比較は,まとめの後に追記しています(2012.7.7).



最初,IvyとSandyで,別PCを組んで評価しようと考えました.しかし,別PCでは,省エネの部分が正しく評価できませんので,CPUを入れ換えることにしました.
また,TBクロックですが,今回の評価では,揃えることにしました.つまり,Sandyの2600Kは,オーバークロックになります.
ただし,iGPUクロックは,デフォルトのままとしています.
メモリークロックは,1600MHz動作としています.

比較検証するベンチマークは,以下のものを使用します.
まず,①~④でCPU+プラットホーム比較.次に,⑤~⑧でiGPU検証.最後に,⑨~⑬で外付けGPUを使用してGen3の検証を行います.

①Windows Experience Index(iGPU)
②CINRBENCH R11.5(iGPU)
③3DMarkVantage(iGPU)
④OCCT4:CPU(iGPU)
⑤PCMark7(iGPU or dGPU) 
⑥CINRBENCH R11.5(dGPU)
⑦OCCT4:GPU(iGPU)
⑧MediaEspresso6.5(iGPU)
⑨3DMark11
⑩FF14(High)
⑪PSO2(Default)
⑫Stone Giant DX11
⑬OCCT4:Power

まず,CPU-ZとGPU-Zです.



比較表通りの情報が得られています.

それでは,早速,実力比較に入ります.

①Windows Experience Index(iGPU)

WEI比較
WEI比較



CPUクロックはTB=3.9GHzあわせており,iGPU設定はデフォルトのままですが,CPUで0.1,グラフィックス関連では0.2,i7-3770Kが上回っています.
iGPUは強化されている影響だと思われますが,CPUも効率が上がっているようです.

②CINRBENCH R11.5(iGPU)

CINEBENCH比較
CINEBENCH比較



最新ドライバーにおいて,i7-3770Kは,CPUで3%高速,OpenGLで17%高速という結果になりました.
ここでもiGPUの強化が見て取れますが,CPU自体も効率が上がっている事が確認されました.

③3DMarkVantage(iGPU)

3DMark Vantage比較
3DMark Vantage比較



iGPU時の3DMark Vantageの結果も,一言で言うとIvyがグラフィック性能の圧勝というところです.
また,CPUの性能も3%,Ivyのほうが速いという結果です.
トータルスコアでは,1.8倍以上の差がありますから,外付けVGAを追加したくらいの効果があります.

④OCCT4:CPU(iGPU)

CPUコア電力比較
CPUコア電力比較



OCCT4のCPU負荷を利用して,消費電力を比較してみました.
CPUの換算消費電力は,SandyとIvyで9W違いました.
処理能力が3%以上高いのに,12%もエコです.これが,Ivyの特徴だと思います.

⑤PCMark7(iGPU or dGPU)

PCMark7比較(iGPU)
PCMark7比較(iGPU)

 

PCMark7比較(HD7770)
PCMark7比較(HD7770)


 
iGPUでのPCMark7の結果は,ビデオトランスコードとDirectX9の処理が,Ivyのほうが速いですが,他はほとんど変わりません.
外付けGPU(HD7770)を利用すると,その差は無くなりますが,若干Ivyのほうがスコアが高いです.

⑥CINRBENCH R11.5(dGPU)

CINEBENCH比較(HD7770)
CINEBENCH比較(HD7770)



外付けGPU(HD7770)利用時のCINEBENCHも,Ivyの方が速いです.今回使用したマザーボードはZ68ですが,Gen3をサポートしています.
Gen3対応ビデオカードは,Ivyとの相性が良いという結果になりました.
ただ,この帯域制約でスコア差が出たとも思えませんので,CPUの処理能力差が出たのではないでしょうか.

⑦OCCT4:GPU(iGPU)

iGPUコア電力比較
iGPUコア電力比較



OCCT4のGPU負荷を利用して,消費電力を比較してみました.
ここで初めて,Ivyの方が消費電力が高い結果になりました.
この結果は当然で,実行ユニット数が12→16基に増えていますから,動作周波数の差はあっても,消費電力は上回ってしまったのでしょう.
iGPUの性能差を考えれば,この2W増加で済んでいることの方が凄いと言わざるを得ません.

⑧MediaEspresso6.5(iGPU)

エンコード時間比較(iGPU)
エンコード時間比較(iGPU)



Intel Quick Sync Videoのエンコード比較をします.
6分10秒のHD動画ファイル(MOV,887MB)を,MP4に変換します.
もともと,i7-2600Kもi7-3770Kも4C/8Tですから,H264のソフトエンコードも高速です.実時間の1/6以下で,処理できてしまいます.
iGPUを使ったハードウエアエンコードでは,さらに半分程度の時間で済んでしまいます.ここでも,Ivyのほうが実力を発揮しています.

⑨3DMark11(dGPU)

3DMark11(HD7770)
3DMark11(HD7770)



HD7770を使用した3DMark11に置いては,HD7770の性能を表していることになりますので,基本的にスコア差は出ないのですが,Physicsスコアが5%速いす.
IvyのCPU処理能力差が,ここでもしっかり発揮されています.

⑩FF14(High)
⑪PSO2(Default)
⑫Stone Giant DX11

ゲームベンチ(HD7770)
ゲームベンチ(HD7770)



i7-2600KのiGPU(HD3000)は,DirectX10までしか対応していませんので,HD7770を使用したゲームベンチで比較します.
ゲームベンチでは,スコア差を確認することは出来ませんでした.

⑬OCCT4:Power

消費電力(CPU+GPU)
消費電力(CPU+GPU)



ゲームベンチで,スコア差は見られませんでしたが,換算消費電力(CPU+GPU)が8WもIvyのほうが少ないです.
同じスコアを,少ない電力で得ることが出来ると言うのが,Ivyの特徴だと思います.



まず,ASUS製マザーボードの付属のオートチューニング機構を使って,自動設定と感触を掴みます.
i7-2600Kで行ったときの写真付き手順は,こちらに記載しています.

マザーボード添付のユーティリティソフト”AI Suite Ⅱ”を立ち上げて,Auto Tuningをクリックします.
Fastをクリックして,警告画面を確認し,スタートをクリックします.
再起動がかかり,OS起動後,画面にオートチューニングの結果が表示されます.
4.0GHz(103MHz×39倍)の結果しか得られません.

auto-tuning(3770K)
auto-tuning(3770K)


手強いです,Ivyさん.
ちなみに,Sandyのi7-2600Kのオートチューニング結果は,こちらになります.
BCLKは,同じ103MHzですが,43倍まで自動でオーバークロックされています.

auto-tuning(2600K)
auto-tuning(2600K)


仕方ないので,手動で43倍設定まで,OS上から上げてみました.
この辺までは,問題無く上げられました.
Vcore=1.3Vまでだと,45倍設定の4.64GHzまでが限界のようです.
47倍設定の4.84GHzは無理でした.ギリギリ詰めれば,何とか3DMark Vantageが通るかな?という感触です.
4.43GHzまでなら,SandyもIvyもほぼ変わらない設定で,OC可能です.
4.43GHz時のWindows Experience Indexと3DMark Vantageの結果です.

WEI(OC)比較
WEI(OC)比較



Windows Experience Indexスコアは,悲しいかなオーバークロックしても変わりません.

3DMark VantageによるOC比較
3DMark VantageによるOC比較



3DMark VantageのCPUスコアは,どちらも14%のスコアーアップが得られています.
しかし,ベースクロックの3.5GHzをからデータを取ってみると,おもしろいことがわかりました.

3DMark VantageによるOCスコア
3DMark VantageによるOCスコア



Sandyのi7-2600Kは,OCコンテストのデータを一部流用していますが,Ivyはクロックに対して,CPUスコアの伸びが悪いです.
よって,グラフ上はIvyのほうがSandyより,傾きが小さい(寝ている)事がわかります.
仮に水冷や高効率空冷で,CPUを冷やしたとしても,IvyはSandyに6GHzあたりで逆転を許すことになります(あくまでも仮定の話です).
これは,CPUコア内部の発熱により,TBの効きが悪いのだと思います.したがって,コア自体はIVYのほうが高速ですが,オーバークロック向きではないと思われます.

最後に,BCLK耐性を比べてみました.

BCLK比較
BCLK比較



設定は,Ai Tweaker画面から行い,TBは39倍設定で,負荷はSuper-πとしています.
BIOS設定は,デフォルトのままとし,メモリーがネックにならないように1333MHz動作としています.
SandyもIvyもベースクロック耐性は,変わらない(悪い)です.
BCLK=103MHzまでが,無難だと思います.

まとめ
まとめ



今回,第2世代と第3世代を比較レビューしたことで得られた結論です.


---------- 2012.7.7 追記 ----------------

Z68 vs Z77の比較レビューを追記します.

これは,GA-Z77X-UD5Hのレビューデータを引用し,まとめ直したものとなります.

Z77でのOCは,下記GA-Z77X-UD5Hのレビューをご覧ください. 

 

 

Z77搭載PCの構成はこのようになります.

かなりの部分で異なりますので,消費電流の比較は行いません.

 

まず,Windows Enterprise Indexです.

SSDが異なるため,スコア差が見られる意外に,差はありません.

CPUの効率をを見るためのCINEBENCHです.

Z77のほうが,有利なようです.

 PCの総合スペックを見るPCMark7です.

大きな差はありませんが,Z77がここでも有利です. 

 

iGPUの性能を見るために,3DMark Vantageを見てみます(i7-2600KがDX11未対応のため).

ほとんどスコア差は無く,Z77有利ですが,チップセット差誤差範囲です. 

 HD7770の使用したときの比較のため,3DMark11を見てみます.

こちらもCPU差はありますが,チップセット差はほとんどありません. 

 最後に,ゲームベンチです.

FF14(High),PSO2(Default),StoneGiant(FullHD)で比較します.

Z77のスコアが若干高いですが,誤差範囲です.

 

オーバークロックに関しても,Z77とZ68で差は見られません. 

 

以上の事から,上のまとめで述べた結論に変わりはありません.

CPUとマザーボードを新規に購入するなら,Z77とのセット購入がお勧めです.

Z68搭載マザーボードを既に持っているなら,第3世代のCPUだけで十分そのパワーを活かせます.

Z68搭載マザーボードと第2世代CPU,特にi7-2600Kや2700Kで,外付けGPUを使用している場合には,新規に購入するメリットは小さいです. 

 


----- 2012.7.22 追記 -----

CPUクーラー比較を追記します.

i7-3770Kは,非常に発熱に対して敏感です.

特にオーバークロックする場合には,VcoreよりTcoreに注意が必要です.

そこで,CPUクーラー比較を行ってみました.

方法は,OCCT4にて,CPUフルパワー時をPeak温度としています.

オリジナルクーラーのデータはありませんが,定格の場合でもこれらの高性能CPUクーラーをしても,60℃前後まで上昇します.

4.4GHz動作時に,95℃を超えなかったのは,水冷のCWCH80のみです.

ETD-T60-VDは,200W+の性能で,i7-2600Kなら5.3GHzまで回す実力があります.

Hyper 612は,それ以上の冷却性能があると思われますが,4.4GHzのOCは厳しいです.

ただ,これは,OCCT4による負荷ですので,実負荷はこんなには厳しくないです.ちなみに空冷でも4.4GHzでもCINEBENCHや3DMarkは完走します.

 



おわりに
今回使用したZinsowのlogoは,bibirikotetuさん作品です.
ありがとうございました.

 




--------  以下 5月4日 初回登録時の原文です  ----------
※頂いたコメントと整合性を取るため,そのまま掲載しておきます.

Ivy Bridgeこと,第3世代Core iシリーズのハイエンドプロセッサです.
こんなCPUを発売日にゲットするなんて,今までは考えられませんでした.
それもこれも,zigsow関係者,zigsow住人の力だと思います.

すでに,昨日の日記に登場していましたが,もちもの登録です.
しかも,今日は,記念登録でもあります.

今回,板祭りGA-Z77X-UD5H用にこのCPUを選んだ理由は,M/Bの箱に”UNLOCKED PERFORMANCE with K”の文字を見たからです.
初めは65Wの3770Kと悩みましたが,3770Kも77Wであることと,価格差が大きくないことに,"with K"が決め手となりました.
新リビジョンが出ても,Ivyのハイエンドには変わりはないので,当分楽しめそうです.

とりあえず,CPU-Z,WEI,Super-π,CINEBENCHのみ載せておきます.
i7-3770K+HD5870の組み合わせです.

CPU-Z(3.9GHz)
CPU-Z(3.9GHz)

 

i7-3770K+HD5870
i7-3770K+HD5870

 

super-pi
super-pi

 

CINEBENCH
CINEBENCH




消費電力は,Idleで97W,Peak(OCCT CPU)で162Wほどです.iGPUを動かしてはいないので,こんな所です.

今回,ASUS P8Z68-V PRO/GEN3に載せていますので,TurboV EVOで,プチOCの感触を掴んでみましたが,凄く弱気で,BCLKを103に上げただけで,CPU側は手を付けていません.

TurboV EVO 結果
TurboV EVO 結果



Sandyなら,簡単に4.4GHzまで自動設定してくれるのに,Ivy相手では弱腰の様です.


詳細やSandy Bridgeとの比較検証は,板祭りレビュー後に,追記していきます.
何かリクエストがあれば,コメントに記載していただければ,出来るだけ対応したいと思います.
ただし,5GHzでまわして欲しいとかいう無理な要望にはお応えできませんので,あしからず.


以下は,特徴を記載しておきます.
いろいろな情報の抜粋ですので,興味のない方は,読み飛ばしてください.

・第2世代であるSandy Bridgeをベースに,製造プロセスを22nmへと縮小した
・世界で初めて3次元トランジスタを採用した
・4つのCPUコアとグラフィックスコア、メモリコントローラなどを集積している
・iGPUグラフィックスについては,”Intel HD Graphics 4000”へと進化し,DirectX 11へ対応した
・iGPUのメディア処理”Quick Sync Video”も,2.0に強化された
・2chのDDR3-1600MHzメモリのサポート,PCI Express 3.0、内蔵ビデオの3画面出力などが利用可能

  • 購入金額

    29,980円

  • 購入日

    2012年04月29日

  • 購入場所

    パソコン工房

コメント (13)

  • Sheltieさん

    2012/05/04

    やはり購入するならK付きモデルですよね!

    IvyはOCすると一気に発熱が増えるのでASUS P8Z68-V PRO/GEN3の自動OC機能も弱気なのかも(>_<)
  • harmankardonさん

    2012/05/04

    Sheltieさん,コメントありがとうございます.

    OCできないという事前情報で,SとKとで悩みましたが,UD5Hの箱書きで決めました.
    でも,クロックフリーの出番が来るかどうかわかりません.
    板次第ですね.
  • リーダーさん

    2012/05/04

    もう完全にジグソニアンですね!
    エクスペリエンスインデックスに目玉が飛び出ましたw
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