レビューメディア「ジグソー」

瞬間の、奇跡...

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。 こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。「ライヴ」というのは難しい。一瞬でやり直しのきかないものだから...全てが高次元にバランスした時に残せる奇跡...そんな瞬間を切り取った盤をご紹介します。

MISIA。言わずと知れた...現在を代表する女性ボーカリストのひとり。楽曲や声質が好みでなくとも、彼女の歌のうまさ、天性の表現力に同意しない人はいないだろう。ただ、そんな彼女にとってもライヴは難しい。それが記録に残されるライヴアルバム/ビデオ/DVD/ブルーレイになるとなおさら。

何度も納得がいくまでやり直しができるレコーディングと違ってライヴはアーティストの声の調子、サポートミュージシャンの力量や観客のノリ、野外の場合には天候といった「そのときのシチュエーション」が強く影響する。そのアーティストにかける事務所/プロモーターの財力、ステージ美術のセンス、そのツアーを貫く演出といった外的要因も重要。さらにツアーはプロモーションの意味あいもあるため、直前に発表された作品に強く影響されることから、そのアルバムの完成度や選曲・曲調、といったこともライヴの出来には関わってくる(選曲に関しては好み、かもしれないが)。また映像無しのライヴ録音でも通常のツアー以上の機材を持ち込むため、すべての会場で録音する事は資金的にかなわない事が多いが、映像を伴う場合さらにスタッフ・機材が多くなるため、相当なビッグアーティストでも全部の会場で録画してベストテイクを選ぶ、というのは、ムリ。基本1~数ステージの中でベストなアクトをしなければならない。最後に、年齢。特に声を楽器とするボーカリストは徐々についてくるテクニック、深まる感情表現といった上昇カーブを描くものと、それと反比例して声帯の高域への伸びはどうしても鈍り低域へとシフトしていく。そんな様々な条件が重なるライヴ映像でベストテイクを残せたアーティストは幸せだ。

MISIAは現在ほぼ毎年ライヴ映像を残している。それは2系統に分かれていて「星空のライヴ」と銘打たれた、野外のアコースティックでバラード中心のライヴと彼女のもう一つの持ち味であるビートの効いたアッパーな、ダンサブルなツアー。後者のツアーも既に5本以上残しているが、cybercatがベストに推すのは2005年のコレ(あ、他のを持っていないわけではなく...(^^ゞ)。
ま、コレクターとしてはブックレット付きの初回盤を押さえているのは当然として(ぇ
ま、コレクターとしてはブックレット付きの初回盤を押さえているのは当然として(ぇ

2005年初頭のライヴで、前年末に出た「SINGER FOR SINGER」中心の選曲。その名の通りソングライティングもする様々なシンガーがシンガー=MISIAに楽曲を提供したコンセプトアルバム。久保田利伸や藤井フミヤ、GLAYのTAKURO、CHARA、THE BOOMの宮沢和史、BEGINの比嘉栄昇、玉置浩二といった「歌える」アーティストが創った曲を歌ったもので曲のクオリティも高い。

メンツも、いい。バンマスのキーボード重実徹、ドラムス青山純、ベース種子田健、ギター鈴木健治、オルガン&コーラス佐々木久美といった超定番メンバーだけど(他にパーカッションPecker、コーラスTIGER)、サックスにアキオチャンこと鈴木明男が入っているのがイイ。実は最近数年のツアーはSAXレス。「一番人声に近い楽器」サックスがないと締まらない。特にアンコール前の定番曲「INTO THE LIGHT」ではサックスソロが欲しいな、と。

そしてMISIAの声の調子!一部の曲では若干節回しを調整して温存している部分もあるが、最近ここまでぶっ飛んだのを聴く事が少なくなった成層圏まで突き抜けるような超高域、声の調子が万全でないと響かなくなる低域と3オクターブ超(!)の声がちゃんとデてる。くるよ!

「K.I.T」

デビューアルバムの2曲目で声のパワーに溢れた曲。cybercatとしてもMISIAの曲の中で5本の指に入るほど気に入っている歌。重実のソウルフルに崩したピアノのイントロに続いて、MISIAの歌。真ん中のG(ソ)から静かに入って一気に駆け上がるのは上の上のG(ソ)!上のGでも綺麗に出れば十分上手い、という音域のさらに1オクターブ上、2オクターブを一気に駆け上がる!!ト音記号の五線譜でもオクターブ記号(オーヴァアルタ)を付けなければならない領域って....(^^ゞ。最近のライヴであまり聴かないのは初期の作品であるからだけではないのかもしれない。声への負担が相当高い曲でここまで綺麗に出ているヴァージョンは多くない。必聴。

そしてライヴのアンコール前定番曲「INTO THE LIGHT」では彼女の声の調子がわかる。今度は(フェイク部分を抜かすと)下のF#(ファ・シャープ)から上のF#を使う低音?の曲(上がF#まで行ってる時点で「低音」というのもどうかと思うけど(^^ゞ)。調子が悪いテイクだと上よりもAメロの下(F#~G)が苦しそうで聴き取りづらい。ここがこの盤では綺麗に出てる!上は彼女クラスになると裏声との使い分けが高度になるので何とかしようがあるが、下は誤魔化せないので、これもベストライヴテイクの一つ。
このブックレットにあるセット。演奏後空へ(上に)上っていく...
このブックレットにあるセット。演奏後空へ(上に)上っていく...
こういった彼女の声のパワーをもらえる曲に加えて、これからの季節は久保田利伸作曲の(作詞はMISIA)「Holy Hold Me」。幻想的な浮かぶ機械仕掛けのピアノ、といった風情のセットの上でキーボードを弾きながら彼女が歌う♪Holy hold me Christmas!/この愛を・・・/きっと君がくれた喜びは/光を増し/その胸に戻る/Holy hold me Christmas!♪これからの夜に聴きたいネ...

いつでも彼女の歌からはパワーをもらえるけれど、ライヴの「瞬間を切り取った」テイクはまた、格別。生きた、声を、感じられます。

【収録曲】
DISC1(DVD)
1. K.I.T
2. LAILA
3. 星空の片隅で
4. 君だけがいない世界
5. 虹のラララ
6. Birthday Cake
7. Let It Smile
8. 冬のエトランジェ
9. 風のない朝 星のない夜
10. 名前のない空を見上げて
11. Mama Says
12. Holy Hold Me
13. Melody
14. INTO THE LIGHT
15. Everything
16. 果てなく続くストーリー
17. SONG FOR YOU

DISC2(CD)
1. SONG FOR YOU

↓オープニング「K.I.T」.....キますww



所属レーベルの特設ページ
  • 購入金額

    6,090円

  • 購入日

    2006年頃

  • 購入場所

15人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • cybercatさん

    2011/11/16

    Hiroさん、コメントありがとうございます!
    >Misia 大好きですo(^▽^)o
    最近お気に入りの

    のSDカードには2004年以降のMISIAの「非」星空系の全ライヴを入れてます。1本1本聴いてた時はあまり感じませんでしたが、比較して聴くとやはり彼女も人間、好不調はあるなぁ..と。

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