所持する音楽データに対する私利私欲．．．イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。テーマを定めて同じ楽器のプレイヤーが共演する企画があります。同じ曲をそれぞれの解釈でやる場合、同じ映画やゲームなどに寄せてそれぞれの感性で曲を成す場合、単にキーワードだけを決めて曲を持ち寄りやる場合などいろいろありますが、そんな中単に寄せ集めにならず参加ミュージシャンが他人の曲でソロを取るなど横のつながりによる広がりを見せたアルバムがあります。そんなオムニバスを越えた盤をご紹介します。

“TIME MACHINE”これはアルバム名であり、プロジェクト名でもある。エグゼクティヴ・プロデューサーの瀬古口精良が30年前に出逢った「NEW YORK」というコンピレーションアルバムが制作のきっかけらしい。松原正樹や大村憲司、鈴木茂、竹田和夫といったあのころのミュージックシーンを知るひとにとって「ををっ」となるギタリスト達が一つのテーマ=「NEW YORK」で共演するモノだったらしい（これはcybercatも聴いたことがない）。

今回のテーマは「TIME MACHINE」。このために集められたギタリストは松原正樹、岩見和彦 （NANIWA EXP.）、野呂一生（ex. CASIOPEA）、CHOKKAKU、梶原順、真鍋吉明 （the pillows）、西村智彦（SING LINE TALKING）、田中義人、安達久美の9人。そう、御大松原正樹も参加。本田雅人のサポートで名をはせる梶原順や、スガシカオのツアーで知られる田中義人など実力派も顔をそろえた。ヘヴィなディストーションから、オリエンタルな薫りがただよう音色、オーバードライヴのみでの素直な音までギターの音色も多彩。ギタリストのコンピレーションアルバムらしく、使用楽器とアンプ、エフェクターなどの記載もあるので、ギター小僧は必見？？

豪華なメンツだｗ

 

そんなツワモノ揃いのこのアルバムで異色な路線で攻めているのは、「Purple Night Love Affair」の岩見和彦。他のギタリストが、ディストーションを効かせた太い音で攻めたのに対し、一人オーバードライヴ系のクリーンな音で攻める。さすがナニワのカズボン。切ないピアノでサポートするのはNANIWA EXPRESSでの活動を停止中の元？メンバー青柳誠。山木秀夫の深いドラムスの音がまさにPurple Nightという感じだ。サイドでフォローする松原正樹のカッティングもツボはまり。

「Time Goes On You (The theme of Delorean)」では、梶原順のプレイがビビッドだ。キーボードレスでギター3本＋ベースとドラムスのこの曲は、音が迫ってくるっっ。ギターでサポートするのは、田中義人と安達久美という指折りのテクニシャン。音だけでどちらがどちらかが判る個性あふれる音色とプレイだ。ドラマー鶴谷智生がまた、いい。キーボードがないため、減衰系の音だけになり、間を切り取る鶴谷のプレイが生きた。

最後の「HUNGARIAN DANCE No.5」はお祭りｗ。アレンジャーでプロデューサーでもあるCHOKKAKUの手によって、ばらばらに録音された9人のソロがコラージュされ一つにまとまった。ライナーノーツにあるが、他人のプレイを聴くことなく好き勝手に録音したらしい。それを一つにまとめたCHOKKAKUの力量と、パーツを構成する各ギタリストの存在感あふれるプレイがサイコーだ。まさに各ギタリストの愛機がコラージュされたジャケットがそんな感じだ。あの有名な「ハンガリー舞曲第5番」がどうなったか．．．それは聴いてのお楽しみｗ

知った顔がいるはず？

名うてのプレイヤーが互いを認め合い、そして自己主張もし．．バトルしたアルバム。ギタリストは必聴かもｗ

【収録曲】
1. Welcome！aboard！ / 西村智彦
2. Stutter∠Caster / CHOKKAKU
3. Beautiful Struggle / 真鍋吉明
4. Purple Night Love Affair / 岩見和彦
5. mon e dora / 安達久美
6. Time Goes On You (The theme of Delorean) / 梶原順
7. TIMELINE / 田中義人
8. 深川慕情 / 野呂一生
9. REBORN / 松原正樹
10. HUNGARIAN DANCE No.5～TIME MACHINE　FORMATION～

「HUNGARIAN DANCE No.5～TIME MACHINE　FORMATION～」