時代をリードしてきたAppleの作品たち Vol.3
──スティーブ・ジョブズとその魔法──

デジタル革命の10年が始まる

1990年代から2000年代中盤にかけて、我々の生活はデジタル化への過渡期を迎える。デジタルビデオカメラやデジタルカメラが登場し、人々の生活は劇的に変化。またインターネットの普及に伴い、アメリカや日本など各国で多くのIT企業が立ち上がり、IT業界はバブルを思わせる好況に包まれていた。その一方でネット上には不正にアップロードされた動画や音楽が溢れ返り、それを享受する人々がいる反面、ネットと著作権の共存という新たな社会問題にもなっていた。


Apple iPod shuffle 1GB(JUN8731さんのもちもの)

1996年の復帰と共にアップルを華やかな復活へと導いたジョブズ。「iMac」と「iBook」で身近な家電としてコンピュータという概念を生み出した彼は、様々なデジタル機器で取り込んだデータを管理するプラットホームとしてのコンピュータの重要性に気付く。普通の人々がデジタルカメラやビデオで撮った画像をPCで加工・保存し、気軽に自分で作った楽曲をネットにアップロードしたり、楽曲をダウンロードしてプレイリストを作ったりする未来の社会。いわゆるデジタルハブ構想だ。こうした環境を整えるため、まずはアプリケーションソフトの制作に取り掛かる。当時、このような用途のソフトがまったく無かったわけではないが、ジョブズがこだわったのは『ごく普通の人』が扱える事だった。1999年には動画の編集ができる「iMovie」を、2001年には音楽と動画の再生・管理ソフト「iTunes」を、そして2002年には写真編集・管理ソフトである「iPhoto」、2004年には簡単にPC上で音楽制作ができる「GarageBand」と立て続けにリリース。中でも力を注いだのは「iTunes」だった。

スローガンは「リップ(読み込む)」「ミックス(編集して)」「バーン(CDに焼く)」。操作は簡単で、誰もが簡単に自宅でアルバム編集ができるようになった。そして「iTunes」をリリースした同じ年の10月に、アップルのそして世界の歴史を塗り替えたデジタル音楽プレイヤー「iPod」を発売する。驚くほどにシンプルでコンパクト。5GBの超小型ハードドライブを搭載し約1000曲の保存が可能。余計なボタンはなく、特徴的なホイールで簡単に聞きたい曲を選曲することができる。そして画期的だったのは「iTunes」を使えば、PC上に取り込んだデータを簡単に同期させられることだ。暇つぶしにぴったりな簡単なゲームも内蔵。当時、ポータブル音楽プレイヤーはSONYのウォークマンの独壇場だったが、「iPod」は発売されると同時に爆発的なヒットを記録する。「ポケットに1000曲を」。発売当時のこのキャッチフレーズは、来るべき未来の姿を予感させた。


Apple iPod nano 4GB(zigsowユーザーのみ閲覧可能)

Apple iPod touch 16GB (zigsowユーザーのみ閲覧可能)