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誰か―Somebody (文春文庫) 文庫 – 2007/12/6
宮部 みゆき
(著)
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菜穂子と結婚する条件として、義父であり財界の要人である今多コンツェルン会長の今多嘉親の命で、コンツェルンの広報室に勤めることになった杉村三郎。その義父の運転手だった梶田信夫が、暴走する自転車に撥ねられて死亡した。葬儀が終わってしばらくしてから、三郎は梶田の娘たちの相談を受ける。亡き父についての本を書きたいという姉妹の思いにほだされ、一見普通な梶田の人生をたどり始めた彼の前に、意外な情景が広がり始める――。稀代のストーリーテラーが丁寧に紡ぎだした、心揺るがすミステリー。テレビドラマ化でも話題となった人気の杉村三郎シリーズ第一弾。
宮部作品では強烈な「引き」を持つ謎が冒頭に呈示されることが多い。不思議なことに、その謎は成長するのだ。これは話が逆でしょう。通常のミステリーの場合、謎は解明されるにしたがって小さくなっていくものである。どんな魅力を誇っていた謎も、要素に分解され、構造を分析されれば謎とは呼べないものに変わる。最後に残るのは、きわめて即物的な個人の事情です。しかし宮部作品は違う。いつまで経っても謎の魅力が褪せないのである。なぜならば、物語が進行するにつれて、謎に未知の側面があることがわかり、ますますその神秘性が深まっていくからだ。(杉江松恋「解説」より)
宮部作品では強烈な「引き」を持つ謎が冒頭に呈示されることが多い。不思議なことに、その謎は成長するのだ。これは話が逆でしょう。通常のミステリーの場合、謎は解明されるにしたがって小さくなっていくものである。どんな魅力を誇っていた謎も、要素に分解され、構造を分析されれば謎とは呼べないものに変わる。最後に残るのは、きわめて即物的な個人の事情です。しかし宮部作品は違う。いつまで経っても謎の魅力が褪せないのである。なぜならば、物語が進行するにつれて、謎に未知の側面があることがわかり、ますますその神秘性が深まっていくからだ。(杉江松恋「解説」より)
- 本の長さ469ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2007/12/6
- ISBN-104167549069
- ISBN-13978-4167549060
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2007/12/6)
- 発売日 : 2007/12/6
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 469ページ
- ISBN-10 : 4167549069
- ISBN-13 : 978-4167549060
- Amazon 売れ筋ランキング: - 143,233位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,927位文春文庫
- - 23,986位文学・評論 (本)
- - 26,900位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1960年生まれ。東京都出身。東京都立墨田川高校卒業。
法律事務所等に勤務の後、87年「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞してデビュー。
1992年 「龍は眠る」で第45回日本推理作家協会賞長編部門、 同年「本所深川ふしぎ草紙」で第13回吉川英治文学新人賞。1993年 「火車」で第6回山本周五郎賞。1997年 「蒲生邸事件」で第18回日本SF大賞。1999年 「理由」で第120回直木賞。2001年 「模倣犯」で毎日出版文化賞特別賞、第5回司馬遼太郎賞 、 第52回芸術選奨文部科学大臣賞文学部門をそれぞれ受賞。2007年 「名もなき毒」で第41回吉川英治文学賞受賞。2008年 英訳版『BRAVE STORY』でThe Batchelder Award 受賞。2022年 第70回菊池寛賞受賞。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年6月14日に日本でレビュー済み
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杉村三郎シリーズはやはり面白い。人間の感情が良く書かれていて共感できると思う。
2015年6月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大会社の会長のお抱え運転手、梶田がある日自転車に追突され命を落とした。逃げた犯人を捜す助けになるかと、梶田の娘姉妹は梶田の人生を記録した本を出したいと願う。そんな姉妹の思いに協調した会長は、自分の娘婿で社内広報部に勤める杉村に本の出版を助けるように命じる。杉村はさっそく調査を開始するが、彼はすぐに姉妹の思いに大きな違いがあること、そして梶田の過去に触れてはいけないものがありそうなことを聞かされる。
あとがきにあったが、宮部みゆきは、故美空ひばりの「車屋さん」の歌が小説のきっかけになったという。信頼する運転手に恋文を託すといった陽気で洒落た歌だが、口の固い運転手、梶田が娘達にも語らなかった秘密の過去を、まるで「博物館を逆に回るように」現在から過去へと調べていくのが作品の主な流れになっている。
4歳のころに誘拐された記憶を持つが父親の梶田からは何も聞かされなかった姉は、過剰とも言える心配性で人に気を遣うばかりな一方、妹は大胆でわがまま。父親の過去をつまびらかにすることで、不名誉な事実が自分の婚約者と家族に迷惑をかけることを心配する姉に、犯人を捕まえることを第一優先に考える妹とは決して噛み合わない。そんな姉妹の間に挟まれながらも杉村は少しずつ、梶田を死なせた犯人、そして梶田の過去に近づいていく…というストーリー。
もはやミステリーの大家となった宮部みゆきの文章は、豊かな描写の反面ムダがなく、数多くの登場人物のキャラをしっかりと描き出す。起承転結の後半はほとんど最後の100ページに凝縮されていて、それまではこれといった大きな動きはないけれど、義父である会長の貫禄、女編集長のマイペースな言動、自己現場にいた管理人や理事長、また近くのおばあちゃんやエプロンおばさんに、玩具店の家族など、とても現実的で生き生きしているので退屈することなくどんどん読めてしまう。
ただ結末はどうもしゅっと腹落ちしない感じだ。なぜそこまで傷つけるようなことをする必要があるのかよく分からない。性悪女でした、と納得するしかないよう結論。また、主人公の杉村はまだ若いはずなのに非常に冷静で辛抱強く、落ち着いた初老の人物であるかのキャラなのが若干妙な感じだ。
あとがきにあったが、宮部みゆきは、故美空ひばりの「車屋さん」の歌が小説のきっかけになったという。信頼する運転手に恋文を託すといった陽気で洒落た歌だが、口の固い運転手、梶田が娘達にも語らなかった秘密の過去を、まるで「博物館を逆に回るように」現在から過去へと調べていくのが作品の主な流れになっている。
4歳のころに誘拐された記憶を持つが父親の梶田からは何も聞かされなかった姉は、過剰とも言える心配性で人に気を遣うばかりな一方、妹は大胆でわがまま。父親の過去をつまびらかにすることで、不名誉な事実が自分の婚約者と家族に迷惑をかけることを心配する姉に、犯人を捕まえることを第一優先に考える妹とは決して噛み合わない。そんな姉妹の間に挟まれながらも杉村は少しずつ、梶田を死なせた犯人、そして梶田の過去に近づいていく…というストーリー。
もはやミステリーの大家となった宮部みゆきの文章は、豊かな描写の反面ムダがなく、数多くの登場人物のキャラをしっかりと描き出す。起承転結の後半はほとんど最後の100ページに凝縮されていて、それまではこれといった大きな動きはないけれど、義父である会長の貫禄、女編集長のマイペースな言動、自己現場にいた管理人や理事長、また近くのおばあちゃんやエプロンおばさんに、玩具店の家族など、とても現実的で生き生きしているので退屈することなくどんどん読めてしまう。
ただ結末はどうもしゅっと腹落ちしない感じだ。なぜそこまで傷つけるようなことをする必要があるのかよく分からない。性悪女でした、と納得するしかないよう結論。また、主人公の杉村はまだ若いはずなのに非常に冷静で辛抱強く、落ち着いた初老の人物であるかのキャラなのが若干妙な感じだ。
2021年12月16日に日本でレビュー済み
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商品は良かったです。
ただ、配送の方が悪いのか、折り曲がった状態でした。
ポスト投函はいいのですが、無理やりねじ込んだんでしょうか。
ただ、配送の方が悪いのか、折り曲がった状態でした。
ポスト投函はいいのですが、無理やりねじ込んだんでしょうか。
2017年11月2日に日本でレビュー済み
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このシリーズを読んだことが無かったと思い込んでいて、半分過ぎたあたりでデジャブ。大昔に読んだから杉村三郎シリーズって知っていたと思い出す。
再読にもかかわらず、読者をひきつける描写は素晴らしいと思う。著者の作品は心底善い人が多く描かれ、好印象を持つ反面、相乗効果で悪意が際立ち、悪意そのものの印象を際立たせていると感じる。本作も、3/4くらいまでは杉村三郎の善良さ、周りの人の良さに救われるが、読了に向け悪意にさらされてしまう。
本当、3/4までの流れでスッキリなら、それはそれで良かったのかもしれない。しかし、悪意にさらされて終わる流れであっても、後味が悪いと捉えることなく、深く考えて読み終える事ができたのは、著者の描写のうまさが際立つからではないだろうか。
再読にもかかわらず、読者をひきつける描写は素晴らしいと思う。著者の作品は心底善い人が多く描かれ、好印象を持つ反面、相乗効果で悪意が際立ち、悪意そのものの印象を際立たせていると感じる。本作も、3/4くらいまでは杉村三郎の善良さ、周りの人の良さに救われるが、読了に向け悪意にさらされてしまう。
本当、3/4までの流れでスッキリなら、それはそれで良かったのかもしれない。しかし、悪意にさらされて終わる流れであっても、後味が悪いと捉えることなく、深く考えて読み終える事ができたのは、著者の描写のうまさが際立つからではないだろうか。
2016年12月13日に日本でレビュー済み
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第一作これからファンになりました
もう何回も読み返しています
気になる杉村三郎のその後です
もう何回も読み返しています
気になる杉村三郎のその後です
2017年6月23日に日本でレビュー済み
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価格に対して、きれいだったので、とても満足しています。ありがとうございました。
2021年1月28日に日本でレビュー済み
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普通の小説にミステリーの要素を加えて書こうとしたのかも知れませんが、どちらも中途半端。著者は犯罪者を書いた方が、断然巧い筈なのに。この小説辺りから筆者の書くものはつまらないさの度合を増していく。
2014年1月17日に日本でレビュー済み
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続編の方を先に読んでしまったので、これを読んでやっと主人公の気持ちが理解できました。
ありそうであまり無い設定ですが、面白いと思いました。
ありそうであまり無い設定ですが、面白いと思いました。