作品数からいっても、作品の質の観点からも、日本人ゲームブック作家といえば、代表格は鈴木直人だと思います。その鈴木直人の代表作ドルアーガの塔三部作の第一巻が『悪魔に魅せられし者』です。シリーズ全体の中ではウォーミングアップと伏線張りの巻なのですが、この巻単独で考えてもゲームとして各フロアに工夫が凝らされていて楽しめます。
双方向システムなので自分の納得いくまで探索ができます。が、慣れていない人にとっては双方向迷路というのはちょっと戸惑うかもしれません。この第一巻に関しては、フロア一つずつ上がって行き、逆行はありません。だからプレイヤーの行動は作者によってきっちり管理されています。ゲームバランスという点では全三冊の中では最も優れているといえます。後半のホワイトナイトの所では無限アップもしようと思えばできるのですが。
シリーズを通してD&Dをほうふつとさせる魔法がいくつか登場します。チャームパーソンやマジックミサイルなど。魔法を優れた技として描く文章力も素晴らしいです。イラストもまた雰囲気を良く表していて、またゲームをクリアする上での重要なヒントとなっていてグッドです。
隠れキャラしていたレッドソードが印象的でした。憎いくらいに上手い仕掛けですね。
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