フュージョンというジャンルは、かつてクロスオーバーと呼ばれていたことがある。
ジャズとロックがかなりあったところに生まれたもの、という意味なのだが、しだいに口当たりのいい、ポップ色の強い作品ばかりが世に出るようになっていった。そうした状況に反旗を翻し、重たいビートのロック的なジャズを追求したのがこのバンドである。
メンバーがそれぞれ年齢を重ね、バンド活動を再開してからも、そうした反骨精神というか、いい意味でのやんちゃさは健在なのだ、とこのアルバムを聞いて思わされる。
ビートの重さの原動力は、なんといってもドラマーの東原力哉の自己主張の強い音にあるのだが、なんとこのアルバムではゲストドラマーとのツインドラムでさらに重たーいノリを出している曲すらある。
かと思うと、しれっとメロディアスな曲もやっちゃうところも、魅力だったりするのだが。
ともかく、ロック色の強いジャズ、というキーワードにビビっと来る人には手放しでお勧めしたい1枚だ。