序曲ニ長調、勝ち鬨と平和 の入ったnaxosCDが気に入り、しばらくして当CDを買いました。明治頌歌 はじめ全ての楽曲は前述のCD同様とてもすばらしい。ですが、やはり長唄交響曲 鶴亀。
なぜ作者がこのような長唄 鶴亀に伴奏を付すような曲を作ったのか、たくさんの方々のご意見があります。西洋音楽に興味を持ってもらえるように皆の馴染んだ 鶴亀 に伴奏を付けた、などなど。私は逆ではないかと。
既に大正の頃より日本は世界の中でクラッシック音楽レコードの一大需要地だったと聞いたことがあります。明治以降、西洋化を取り入れ富裕層も生まれている割にはほとんど実演が聴けなかったからでしょう。長唄交響曲 鶴亀(1934年)が作曲された前後に完成されたヴァインガルトナーのベートーヴェン交響曲全集などは日本の巨大マーケットのニーズに応えて企画発売されたと聞いています。
作曲者はそうした西洋音楽ファンに日本の伝統音楽のすばらしさを再認識させようとしたのではないでしょうか。
というのも私、この曲で俄然、長唄に興味を持ちました。長唄独特のドラマチックな音楽を耳にし、オーケストラ伴奏の付かないものを是非聴いてみたいと思ったほどです。なにより長唄を唄われている宮田哲男氏の存在感が格段に際立っています。
ということで、和魂洋才というより洋才付きの和魂を是非お楽しみください。