井沢氏と言えば近年は歴史研究で有名な方であり、このような分野の小説を書かれていたことに意外な思いをする方も多いと思いますが、私のような30年来のファンからすると、こちらの「作品の方」がなじみ深いんです。
1985というから、今から35年近く前の作品となりますが、古臭さを全く感じさせません。それどころか、物語世界の根幹をなすある技術に関しては、未来SF小説も真っ青という感じです。そういった意味では、荒唐無稽という言い方もできるかも知れません。
ですが、この物語の面白さは、その荒唐無稽な未来SFでしか描けないような世界観の中で、一人の快男児が大活躍するアクションだと思うのです。ネタバレがないように、その面白さを書いてみますね。
まず、題名の「復活」、そして最初のページ書いてある聖書の一節。最初の登場人物がヴァチカンの枢機卿の地位にある神父様。この神父様は、ある巨大企業の計画に、最初は純粋な希望を見出して参加します。しかし、それが実際はとてつもない恐ろしい計画であることに気付き、何とかしてそれをヴァチカンに知らせようとしますが、希望果たせず巨大企業の手にかかって殺害されてしまいます。どのような恐ろしい計画かは読者には分かりませんが、世界を壊滅させてしまうほどの恐ろしい計画だったのです。ヴァチカンでは、恐ろしい計画が進んでいるらしい、という程度の情報しか掴んでおらず、それがどのようなものなのかを把握するために、日本の忍者の末裔である主人公に、計画の全貌を調査するように依頼します。え?何でよりによって日本の忍者??となるかもしれませんが、そこには実に合理的でかつ、痺れる程に格好の良い理由があるのです。
ここから先はまさに危機また危機の連続です。主人公は鍛え上げられた肉体と忍びの者と言われるのが当然の不屈の精神でそれらの危機に立ち向かっていくのです。
とにかく、主人公が格好良いです。「寝るには小さなベッドがあれば十分」、「あなたには恩義がある。」、「美食は身を滅ぼす。」等の痺れるセリフが決まります。敵ですら、そんな理由でこんな危険な任務を!と言わせてしまう、実に実に良い男なんです。
物語が進むうちに明かされる世界秩序が崩壊してしまうかもしれない計画の全貌。ここまでの恐怖はなかなか他の小説世界でも存在しないかもしれません。かつての恩を返すためだけに、敵の壮大な計画を粉砕しようと戦い続ける主人公の姿に、本をめくる手が止まりません。シリーズは全4冊、その序章に相応しい物語が展開されています。

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