最初にメセニーの曲に触れたのは、フュージョンのジャンルに入るような軽いノリの曲。
その後数曲を聴いて気に入り、メセニーのアルバムを揃え始めてからは一気にのめり込んでしまったのだが、
このアルバムに関しては、メセニーとしては異色とも思える独特な世界観にあまり馴染めず、当初はそれほど好きにはなれなかった。
しかし、聴き込んで行くうちに、トータルなアルバムとしての流れや完成度、ロードムービーを見るような壮大なスケール感や
甘く切ないグルーブ感、アレンジの奥深さなど、じわじわと沁み入るように良さが理解できて行き、
今ではメセニーのアルバムの中でも5本の指に入る傑作として愛聴盤となっている。
単純なジャンル分けという括りが困難と思えるほどの独特の世界観で、フルオーケストラを加えた深みのあるアレンジ・演奏に、
ジャズ・フュージョンの手法・表現を取り入れた現代版交響詩のように感じてしまう。
メセニーの音楽的懐の深さに改めて感服してしまう。
一人旅のお供にも良い。車窓を流れ去る風景と心象風景がシンクロするような感覚にどっぷりと気持ち良くハマれる。
独特の心地良いグルーブ感は、個人的には寝る時にも良いと思っている。聴いている内に寝落ちしてしまい、
最後まで聞き終わる事が殆ど無い。
今回、未発表曲を追加して再発されている事を知り手に入れたのだが、どちらかというとメセニーらしい爽やかな楽曲が揃っていて
期待を裏切らない素晴らしい出来で満足。
当初発表されたオリジナルアルバムには、楽曲順の構成や流れ・収録時間の都合などで網羅されず、
泣く泣く捨て曲になってしまった楽曲なのではないかと個人的には勝手に想像しているが、
これらの未発表曲を、オリジナルアルバムの曲順構成を考えながら各々が組み入れて再構成して聴いてみるのも一興かも知れないと思う。
こちらの輸入盤は商品写真ではイマイチわかりにくいが紙ジャケ見開き仕様で、コレクターズアイテムとしても期待を裏切らないと思う。