「小説現代」の別冊。今何故不良なのか、今ひとつコンセプトが分からないが、ショーケンが表紙を飾り、矢作俊彦による我らの時代のバイブル的TVドラマ「傷だらけの天使」にリスペクトされた新作が掲載されるとなれば、やはり興味が湧く。タイトルが「魔都に天使のハンマーを」。200ページを超える中編、早速購入し読み始めてみたら、何と、本当に74年のあのラストから30余年経った小暮修の“今”を扱った作品だったので吃驚した。
今やホームレス(宿無し)として自適に過ごす修、隠遁生活仲間が暴行拉致され、懐かしき新宿に戻り、その変貌ぶりに戸惑う間もなく、ヤクザ、警察に追われる内にいつしか生き生きとしたかっての自分を取り戻していく。
綾部貴子に辰巳も登場し、ノザキのコンビーフに魚肉ソーセージ、健太の絵、更にエンジェル・ビルに亨の“残痕”と、読んでいて、最後にこのドラマを見たのはもう10年くらい前にも拘らず、あのうら淋しいブルースと共に記憶が甦ってきて、すごく懐かしい気持ちになった。
綾部がM&Aで荒稼ぎしていたり、背後にヒルズ族がたむろしていたり、CGのシュミレーション世界で修と亨が邂逅したりとデジタル時代を象徴するキー・ワードが山積する中、“あの当時”の匂いを発散させているのが歌舞伎町や大久保通りの外国人街であるのが妙に納得できる。
修の一人称で語られる物語、その節々に紛れもなく矢作タッチが色濃く出ていて、矢作ファンは押さえておきたい一編。
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小説現代特別編集 不良読本 単行本(ソフトカバー) – 2008/3/28
「面白い」をぎっしり詰めました! 「不良」の魅力、それは世間の常識にとらわれず、己が信ずる正義を貫き通すところ。そんな主人公が縦横無尽に活躍するワクワクドキドキの物語が満載です。
- 本の長さ578ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2008/3/28
- ISBN-10406177803X
- ISBN-13978-4061778030
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2008/3/28)
- 発売日 : 2008/3/28
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 578ページ
- ISBN-10 : 406177803X
- ISBN-13 : 978-4061778030
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,208,168位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 17,512位近現代日本のエッセー・随筆
- カスタマーレビュー:
著者について
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1951年、東京都出身。1995年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、1997年『鉄道員』で直木賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、2006年『お腹召しませ』で中央公論文芸賞と司馬遼太郎賞、2008年『中原の虹』で吉川英治文学賞を、それぞれ受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 終わらざる夏 上 (ISBN-13: 978-4087713466 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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