MGS三部作は、
「アクションゲームの面白さ」「ユーザー個人へのメッセージ」
「世界に向けたメッセージ」「作中のギャグ要素」
が絶妙なバランスで詰め込まれたゲームである。
2作目である本作は、このうち「ユーザー個人へのメッセージ」が特出した作品だと思える。
よって、以下のレビューは本作の「ストーリー」に重点を置き書いてみた。
ステルスアクションとしてのゲーム性については「自由度が高く難しい」とだけ評価しておこう。
敵兵に対して行なえる行動は幾通りもあり、隠れて進もうが、麻酔で眠らせようが、殺害しようが、
そこはプレイヤーの選択しだいである。
ゲームをクリアしたのは4年も前になる。当時、
「とうとう、人の価値観や生き方に問いを投げかける、深い意味を持ったゲームが発売された!」
と衝撃を受けた。
しかも、そのメッセージが『戦術諜報アクション』のストーリーに巧妙に織り込まれていて、
ゲームを進めてきたプレイヤーの体験に響く演出になっているのだ。これには脱帽した。
本作のテーマは文化的遺伝子MEME(ミーム)の継承である。
エンディング直前の展開は映画『MATRIX』さながらにわかり難い。
だが、「ややこしい」と敬遠せず、真正面から向き合ってほしい。
小島監督なら、もっと売れる、大衆向けの娯楽作品を作るのは容易いはず。
それなのに敢えて難解なメッセージを付加し、ある意味「間口の狭い」作品にしたのは、
MGS2を最後まで遊んでくれたユーザーに考えてほしかったからだと思う。
自身の生き方や、次の世代のことを。
故に、本作は軽い気持ちで遊べる爽快なゲームではない。操作も難しい。
だが、デジタル社会についての鋭い意見を備えた、価値ある作品といえる。
作中から学べることも多い。
「amusing」よりは「interesting」な面白さを期待する方にはオススメである。