まず、美奈子さんの新作が安全に再生できる事がうれしい。
CCCDではないという事はとても重要なのだ。
特に美奈子さんのような「音に対する美意識」を尊重する方なら尚更。
本作は新旧選りすぐりの曲をまず30曲ピック・アップ、そこから
厳選した10曲を村田陽一氏が吹奏楽で編曲する、という企画である。
従来作と全く違うのはVocalも何もかもダビングをしていない事だ。
正確には木管楽器パート、金管楽器パート、唄、という順番で録音されたそうだが、
それぞれのパートに於いて、「切り貼り」を一切していないという。
つまりは全て一発必中の覚悟でレコーディングされたということだ。
今ではハードディスク・レコーディングが主流となり音の切り貼り、接ぎ直しなど当然のように行われているらしいが、
美奈子さん曰く『これが音楽の本來あるべき姿』なのであろう。
本作はそうした「良い意味での緊張感」と「美意識」に彩られた作品だ。
各々の楽曲が新たな響きで新たな姿に生まれ変わっている。
どの作品がBESTか。それは聴き手の判断に委ねるべきだろう。
しかし。 このような作品に巡り逢う機会は稀であろう。間違いない。