高校時代リアルタイムで読み衝撃を受けた名作。神林長平作品にのめり込むきっかけになったんだけど、当時何を考えたのかストーリーは全く思い出せなかった。50歳を超えてから再入手して読んだけど、この作品の感性をまだ理解することの出来た事が嬉しかった。
当時を想起すると、この作品全然理論的にはきちんと説明されてないのに未熟な少年の心理やら彼に襲い掛かる事件やらが圧倒的な迫力でよくわかり、凄いと思ったのだった。これが理屈で説明されていたら駄目だったろう。SFだと思って読んでいたら、純文学の先端に触れてしまったような気分とでも言えば良いのだろうか。
わからない世界を説明なしで強引に納得させてしまう神林長平の力業に脱帽。
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七胴落とし (ハヤカワ文庫 JA 167) 文庫 – 1986/7/1
神林 長平
(著)
- 本の長さ278ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日1986/7/1
- ISBN-104150301670
- ISBN-13978-4150301675
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (1986/7/1)
- 発売日 : 1986/7/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 278ページ
- ISBN-10 : 4150301670
- ISBN-13 : 978-4150301675
- Amazon 売れ筋ランキング: - 420,722位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1953年新潟県生まれ。1979年、第5回ハヤカワ・SFコンテスト佳作入選作『狐と踊れ』で作家デビュー。
第1長篇『あなたの魂に安らぎあれ』以来、独自の世界観をもとに「言葉」「機械」などのテーマを重層的に絡みあわせた作品を多数発表、SFファンの圧倒的な支持を受けている。『敵は海賊・海賊版』、『グッドラック 戦闘妖精・雪風』などの長短篇で、星雲賞を数多く受賞(以上、早川書房刊)。1995年、『言壺』で第16回日本SF大賞を受賞した。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年1月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2021年7月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
いい加減大人になれ、そんな台詞は、いい大人になっていたとしてもよく聞く事だろう。体は既に大人だけど、肝心なのは精神性である。要はそんな物語。
紛れもないリアルな思春期の頃、"この作家は間違いなく自分を理解してくれる"、そう感じさせてくれたのがこの作品であった。
自身ではどうしようも出来ない、小さな世界でもがく情緒だとか衝動だとか、説明のしようのない焦燥感だとか、一体あの頃はどうやり過ごしていたんだろうか。もう、思い出せないでいる。
世界とのやり取りが、巧みであった器用な子はいいだろうけど、全てがそうでは無い。小さな世界をどう壊して飛び立つのか、或いはするりと抜け出して成長して行くのか。
血縁で縛り付けられた巣の中を、世代で無理矢理にまとめられた籠の中を、鋭利な刃物でばらばらに切り刻んでしまえたら、どれだけ楽だろうか?
若いから、と言う理由で何も持つ事も出来ず、狭い場所に押し込められた苦しさは、どの様に昇華したら良いのか。
危険なゲームを中断した成長の証に、迷路の様な内面の旅から目覚めたら、もう、後には戻れない。
甘美な痛みよ、残酷な妄想よ、さようなら。
紛れもないリアルな思春期の頃、"この作家は間違いなく自分を理解してくれる"、そう感じさせてくれたのがこの作品であった。
自身ではどうしようも出来ない、小さな世界でもがく情緒だとか衝動だとか、説明のしようのない焦燥感だとか、一体あの頃はどうやり過ごしていたんだろうか。もう、思い出せないでいる。
世界とのやり取りが、巧みであった器用な子はいいだろうけど、全てがそうでは無い。小さな世界をどう壊して飛び立つのか、或いはするりと抜け出して成長して行くのか。
血縁で縛り付けられた巣の中を、世代で無理矢理にまとめられた籠の中を、鋭利な刃物でばらばらに切り刻んでしまえたら、どれだけ楽だろうか?
若いから、と言う理由で何も持つ事も出来ず、狭い場所に押し込められた苦しさは、どの様に昇華したら良いのか。
危険なゲームを中断した成長の証に、迷路の様な内面の旅から目覚めたら、もう、後には戻れない。
甘美な痛みよ、残酷な妄想よ、さようなら。
2002年12月8日に日本でレビュー済み
大人と子供の差異、そして断絶をSF設定によって前面に押し出し、意識下で感じている不明瞭な日常感覚を明確に文字であらわしてくれる。
物語はいささか内向的で悲劇的。そのまま読むと気分が落ち込みそうであるが、それぞれのシチュエーションを自分の学生時代と照らし合わせて理解すると、当時感じていた感触を相似拡大させた寓意の集まりなのだととることが出来る。
そうしてみると全体は古典的な「おおげさな」表現で描かれた日常であり、親近感を持って読むことが出来るだろう。
ラストは尻切れトンボ感が強い。
物語はいささか内向的で悲劇的。そのまま読むと気分が落ち込みそうであるが、それぞれのシチュエーションを自分の学生時代と照らし合わせて理解すると、当時感じていた感触を相似拡大させた寓意の集まりなのだととることが出来る。
そうしてみると全体は古典的な「おおげさな」表現で描かれた日常であり、親近感を持って読むことが出来るだろう。
ラストは尻切れトンボ感が強い。
2008年10月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
僕は数ある作品の中でもトップレベルに好きなのですが、
例えば「敵は海賊」シリーズの方が内向的な神林作品よりも好きだ、と
いう方には向いていないかもしれません。
恒例の言葉への考察、大人になるとは、なんなのか。
子供時代とは。
そんなテーマについて深く考えさせられる作品でした。
また、悲劇的、とのレビューがあったと思いますが、
そんなことはありません。
悲劇的でも、喜劇的でもありませんが、
残酷な描写はあります。
が、それもまた神林長平が書く物語の魅力なのではないでしょうか。
例えば「敵は海賊」シリーズの方が内向的な神林作品よりも好きだ、と
いう方には向いていないかもしれません。
恒例の言葉への考察、大人になるとは、なんなのか。
子供時代とは。
そんなテーマについて深く考えさせられる作品でした。
また、悲劇的、とのレビューがあったと思いますが、
そんなことはありません。
悲劇的でも、喜劇的でもありませんが、
残酷な描写はあります。
が、それもまた神林長平が書く物語の魅力なのではないでしょうか。
2009年6月25日に日本でレビュー済み
最近読んでたのが「雪風」なだけに、ずいぶんナイーヴな話だな、初期の頃のものだからかなぁ、と考えた。物語の中頃まではずいぶん内向的というか、子供から見た大人への視点が良くも悪くもガキ臭い、中高生くらいのが共感もちそうな内容で、そのくらいの世代向けの物語なのかと思ったのですが、いやいや、後半がすごい。
感応力という精神を共感させる力を持った子供たちが、大人、大人が使う言葉への不信感を持ち、無邪気な悪意の悪戯へ繋がっていく。大人を憎む子供と、子供を見下す大人。ここまでは割りとよくある話かも知れない。
でも「七胴落とし」という妖刀が登場してからストーリーが加速していく。言葉という、良くも悪くも不完全なコミュニケーション手段を使った問答、相互に殺しあうゲームの描写はすごく引き込まれます。途中まではちょっと退屈してたのだけど、主人公が逮捕された後はぐいぐい引き込まれました。
感応力という精神を共感させる力を持った子供たちが、大人、大人が使う言葉への不信感を持ち、無邪気な悪意の悪戯へ繋がっていく。大人を憎む子供と、子供を見下す大人。ここまでは割りとよくある話かも知れない。
でも「七胴落とし」という妖刀が登場してからストーリーが加速していく。言葉という、良くも悪くも不完全なコミュニケーション手段を使った問答、相互に殺しあうゲームの描写はすごく引き込まれます。途中まではちょっと退屈してたのだけど、主人公が逮捕された後はぐいぐい引き込まれました。
2014年11月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
感応力なるものを、子供だけが持っているという設定。
思春期の描写もありますが、相変わらず設定が良く、引き込まれます。
思春期の描写もありますが、相変わらず設定が良く、引き込まれます。
2015年12月5日に日本でレビュー済み
成人前の子供だけが使える感応力。
言葉を介さずに術者同士コミュニケーションを取ったり精神攻撃で相手を殺すことまでできる強力な力ですが、二十歳になる前にはこの力は自然消滅してしまいます。
感応力を失いたくない、大人になりたくないと苦悩する主人公と、それを取り巻く登場人物たちのやり取りが面白かった。
しかし物語のほとんどが主人公視点なため世界観がとにかく狭く気になる部分がほとんど明かされないまま終わってしまったのは残念でした。
精神攻撃により証拠を残さず殺人を犯せるのにそれに対して対抗手段はないのか?大人は全員子供の感応力によってできた幻という説は本当だったのか?この展開なら別にあれほど刀の描写を強調する必要はなかったんじゃないの?麻美はどうなった?月子ってなんだったんだ?などなど数ある疑問に対して明確な回答は一切出ません。
やったらやりっぱなし、風呂敷を広げたまま放置という印象が強かったため評価は☆2です。感応力者をどう社会が管理しているのかなどもう少しこの世界の外側が知りたかった。
感応力を失った大人を見下す子供と感応力に頼りきる子供を見下す大人という互いに見下しあった構図は斬新。ただ余分な描写も多かったので、もう少し削って設定や展開を膨らませてくれていたら☆4相当かも。
言葉を介さずに術者同士コミュニケーションを取ったり精神攻撃で相手を殺すことまでできる強力な力ですが、二十歳になる前にはこの力は自然消滅してしまいます。
感応力を失いたくない、大人になりたくないと苦悩する主人公と、それを取り巻く登場人物たちのやり取りが面白かった。
しかし物語のほとんどが主人公視点なため世界観がとにかく狭く気になる部分がほとんど明かされないまま終わってしまったのは残念でした。
精神攻撃により証拠を残さず殺人を犯せるのにそれに対して対抗手段はないのか?大人は全員子供の感応力によってできた幻という説は本当だったのか?この展開なら別にあれほど刀の描写を強調する必要はなかったんじゃないの?麻美はどうなった?月子ってなんだったんだ?などなど数ある疑問に対して明確な回答は一切出ません。
やったらやりっぱなし、風呂敷を広げたまま放置という印象が強かったため評価は☆2です。感応力者をどう社会が管理しているのかなどもう少しこの世界の外側が知りたかった。
感応力を失った大人を見下す子供と感応力に頼りきる子供を見下す大人という互いに見下しあった構図は斬新。ただ余分な描写も多かったので、もう少し削って設定や展開を膨らませてくれていたら☆4相当かも。